見出し画像

『ミラーチューン』考察

ミラーチューンの考察に関する予備知識を読んでない方はそちらから読むことをおすすめします。こちらからどうぞ。

それでは早速歌詞を追っていきましょう。

抗い競り合い負けないよう
知識が僕を震わせる
葛藤リピートしている
もっと教えてくれ
有耶無耶な未知数
戦ってくもの

他のアーティストの卵の人達と互いに競い合って負けないようにがんばらなきゃ。思わず武者震いしてしまうよ。上手くいくかどうか分からない、失敗したらどうしよう、でもやらなきゃ…っていう葛藤がずっと頭のなかをぐるぐる回ってる。歌っていう私の武器がどれくらい通用するのか、その可能性を知りたい。

これは路上に出て、周りにはライバルとなる無名アーティストが多数いる様子を表してる感じがします。自分の好きな物=音楽で戦 戦おうとしているACAねさん。ただ、自分の中に怖気付いてしまう自分や、ホントに売れるのかな、大丈夫かな…っていう不安や葛藤が延々とリピートしてるみたいですよね。でも「有耶無耶な未知数」=「ほんの少しの可能性」に賭けて頑張る!という意気込みも感じられます。

いつからだろう独壇
思いやりよりずる賢さなんて
品がないし
うんと やり切れない場面で
僕が 信じていたいもの

一人で歌うようになったのはいつからだっけ。ソロの時には絶対に"自分の歌"を歌うんだ、だってコピーしたって何も目新しくないし。曲作りに行き詰まったり、ファンがいなくてもその信念は曲げたくない。

「独壇」とは自分一人が思うがままに振る舞うということ。つまりソロで歌ってる様子だと思います。「思いやりよりずる賢さ」と言うのはオリジナリティとパクリを表現してるんじゃないかな、と思いました。バンドでもコピーバンドってありますよね?確かに有名なアーティストの楽曲を完コピして本物そっくりに歌ったりするのはすごいですけど、本当に売れるためにはいつまでも誰かの真似に頼っていてはダメだから、路上でファンがいないやり切れない時も“自分の歌”を歌わなきゃ、という信念を持っていたんじゃないでしょうか。

もちろん問題は山積みですが
帰ってすぐ眠たいし
何処へも行けないこんな
夜更けも ずっと光り続けてる
神秘的なミラーチューン yey

もちろん問題や課題は山積みで、売れるために必死なんだけど、家に帰ったら寝ちゃいたいくらい疲れてる。どこへも行けないこんな夜中でも、東京の夜は輝き続けてる。このミラーボールみたいにキラキラした世界で林檎さんみたいに売れたいなぁ。

路上ライブでの収入だけでは生活できなかったから、バイトもしてたんじゃないかな、と思いました。実は路上ライブ時代を回想する貴重なツイートがあるんですよね。

苦労していた時の様子がよく分かります。命懸けでやっていたことも分かります。そんなときにいただいた投げ銭、本当にありがたかったんでしょうね。

ミラーというのは鏡で、対象となるものが映ってることを表してる気がします。つまり林檎さんとACAねさん、まだ売れていないけれど、林檎さんも下積み時代があったはずだから、憧れの世界へ飛び込めるように頑張る!っていう姿を表してるんじゃないでしょうか。

君がいなきゃ はじまんない
繋ぐぜ 笑っとく
どんな逆境だって煮詰まった
頑固な 僕だって
めんどくさい☆諦め悪いみたい
まだ重々謙遜したい yey
止まらないよ心臓 揺るがないんだ

私の歌を聴いてくれるファンがいなきゃはじまらない、素通りされて聴いてもらえない逆境になっても、内心は冷や汗かいていても笑顔でその場を繋いでる。創作する力が湧かなくて、どうしようって時にもオリジナリティ溢れる曲を作ることは止めない。地元から遥々東京まで来たんだから、その点は諦めが悪いよ。仮にファンができたとしても謙虚な姿勢でいたい。そして、後ろを振り向かずに止まらずに前進する、この信念は揺るがないんだ。

ずとまよの曲って複雑な音の重なりがあったり、難解な歌詞が多用されていますよね。手の込んだものを作るのは非常に大変です。ACAねさんもそれが面倒だと思っているけれど、それが逆に人を魅了することに繋がってると思います。これが「めんどくさい」=オリジナリティ溢れる曲作りだと思った理由です。まだ売れていない時期なのに重々謙遜?と思ったんですが、東京に送り出してくれた家族には「例えビッグアーティストになっても驕り高ぶることなく謙遜して低い姿勢で頑張ります」って伝えたかったんじゃないでしょうか。もしくはそう言われたのかも知れません。だからYouTube LIVEで「私はずっと底辺にいるので、底辺のてっぺん目指してるんで」と語っていたんじゃないのかな、と思いました。「底辺のてっぺん目指してる」とは「低い心で上昇志向」ということでしょうね。

ねね 楽しめる主導権 握らせて
情緒 高鳴る お互いに良き条件
もう明るい関係選んでゆくんだ
費やしてたいもの

ワクワクするような話があったよ。この機会を逃さないように主導権握りたい。私も向こうも良い条件だなんて嬉しい。音楽人生をここで終わらせたくないから、この関係は大事にしたい。

これは徐々に売れだして、ライブハウスや音楽業界の関係者と仕事の話をしてる様子のように見えます。すごい逸材を見つけたっていう業界関係者、そしてチャンスを逃すまいと気合いを入れるACAねさん。ドキドキする瞬間です。

変身モード全開でクリア情景
聴き倒したディスケット
憧れはきっと超えてくもの モット
ドキドキするほう優先しようよ
かぎりがあるもの

初めてのステージでのお仕事。路上とは違う、お客さんが足を運んで自分の歌を聴きに来てくれたというクリアな情景。だから普段とは違って変身モード全開。音源聴きまくって、もうイメージはできてる。憧れの林檎さんを超えていきたいな。この冒険、平坦な人生になるんだったら、ドキドキする方を優先して挑戦したい、だって(自分に与えられた時間は)かぎりがあるもの。

ディスケットっていうのはフロッピーディスクの事なんですが、ACAねさんはちょっとレトロなものが好きですよね。ぐされの特典にフロッピーのジャケットのCDがありましたが、時代でいうなら平成前期から中期にかけて流行ったものなどが多いように見えます。チャニーさんのMVにもそんなものがよく出てきます。これは推測なんですが、ディスケットとはMDのことなんじゃないでしょうか?いつも携帯音楽プレーヤーで好きなアーティストの音楽や、インスピレーションを得れるような楽曲を聴きまくっていた感じがしますね。憧れはいつまでも憧れで終わらせるんじゃなくて、超えていきたいというのがACAねさんらしいです。

もちろん引き下がりはしないですが
好きになってはもらいたいし
心意気やんちゃで危なっかしいけど
確信に疑えてる
それは夢のspace tune ~ ///

もしステージでの結果が失敗だったとしても簡単には引き下がりはしないよ、でも気に入ってもらえたら嬉しいな。私は向こう見ずで危なっかしいところもあるけど、成功するはずだよって根拠の無い確信を持ってる。だって、夢に見た初舞台だから。

「space」は宇宙ではなく、空間、ここでは舞台のことを指してると思いました。それから歌詞の中に「~ ///」という記号がありますよね。これは初舞台の嬉しい、恥ずかしいという感情を表しているんだろうな、と思いました。

とろけそうな月の狭間 毒だ
甘酸っぱい絆を恐れてしまうような
未開拓な世界は 矛盾で不安定で
カラ元気だよ。。。。ye ye ye yey

良い関係で仕事が出来ることになったけど、自分の思いと事務所の方針の板挟みになるよ。音楽業界に少し足を踏み入れたけど、なんか思っていたこととは違うところがあるなぁ。憧れと現実は違うのかな。でも、カラ元気でも頑張らなきゃ。

「狭間」ですが、ジレンマのことを指しているように感じました。何をジレンマに感じているのか…それは「とろけそうな月」=蜜月関係だと思います。ACAねさんは「音楽活動ができる!」、業界関係者は「逸材をゲットできた!」とそれぞれ喜んで、いわゆるWin-Winの関係になっているとします。でも、活動するには顔出しをしない、謎のベールに包まれたキャラになる、などの条件があったのではないでしょうか。昨今のネット発アーティストって顔出ししていない人が多いですよね?でも、ACAねさんは路上ライブしていたとき、顔を隠してなんかいなかったはずですし、もし最初から顔出しNGならネットを通して自分自身を売り込みにいってたはずです。だから謎のアーティストを世に出す会社の戦略として顔は出してはいけない等の制約があったと思うんですよね。もしかしたら他にも理由があったのかもしれませんけど、大人の事情でACAねさんのしたいことができなくなってしまった、「それが甘酸っぱい絆を恐れてしまう」ことであって、「未開拓な世界は矛盾で不安定」だと感じたことなんじゃないかなぁ、と思いました。
音楽業界に限らず、どんな世界でも一人では仕事はやっていけません。仮に実力があったとしても、他人の協力なくして仕事は成立しません。音楽業界であれば、レコーディングスタジオのスタッフ、新曲のプロモーター、MVのイラストレーターや監督、それぞれの仕事の契約を結んだり、管理するスタッフ、ライブともなれば舞台監督、照明やセットや演出に関わる人達....etc.いろいろな人たちがいて成り立っていますよね。その中には様々な思いがあるはずです。ホントはこんなこともしたいんだけど、契約上できない、そんなジレンマやもどかしさをこの歌詞で表現していると感じました。「カラ元気」なんですが、これは家族に対してのものだと思いました。「あかね、元気にしてる?仕事もできるようになったの?」って家族から連絡があり、カラ元気で「私は大丈夫、仕事も順調だよ」って返事をした様子を表している感じがしました。

君がいなきゃはじまんない
歌うぜGACHIフォー・ユー
どんな逆境だってあっちゅう間だ
頑固な 僕だって
めんどくさい☆諦め悪いみたい
まだ準々決勝したい yey
染まらないよ心臓 揺るがないんだ

自分のためにもファンのためにもガチで歌い続けるよ。夢見ていたステージでライブをすることができたけど、これがゴールじゃないし、まだまだ挑戦し続けたい。仕事とかで思っていたことと違うことがあっても、自分が持っている信念は他人に染められないよ!

「準々決勝」っていうのはこれが最終目的地ではなくて、まだまだ戦い続けるっていう意思の表れみたいですね。この曲が初披露されたのはさいたまスーパーアリーナでした。ACAねさんの夢の大舞台だったんですが、それさえも準々決勝、つまりゴールではなくて、夢の冒険の一里塚だったことを示してるような気がしました。

ミラーチューンは原点回帰で初期のACAねさんの懐かしい様子も伺える曲だと思います。
ずとまよの曲はACAねさんの人生そのもので、その冒険絵巻を私達は楽しんでいるんですよね。この大冒険、これからもお供していきたいと思いました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?