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『ばかじゃないのに』考察

この考察を読む前に是非知っておいてもらいたいことがあるので、予備知識なども含めてこちらから読んでいただけるとありがたいです。ここに載せている考察ポイントは全て突破しています。考察がもっとおもしろくなるかも…。

まず初めに、ばかじゃないのにの考察ですが、みなさんめちゃくちゃ翻弄されてる気がします。
ACAねさんの実体験をもとに作られてるってかなりの人が思っている(実体験であることには変わりないんですが)ので、歌詞のこねくり回し方とかを考えずにそのままストレートに受け止めて、ACAねさんが体験した亡くなった人との恋愛のストーリー、あるいは失恋ソングだと思っていますよね。もしかしたらそっちの意味もあるのかもしれませんけど、回りくどく曲を作っていると考えたら、それはないかな、と思いました。
色んな考察があってそれはそれで楽しいんですけどね。
余談ですが、ACAねロスになってるガチ恋勢が多数いましたねw

実はこの曲、ACAねさんが路上ライブしていた時代に歌っていた『就活』という曲が原曲らしいんですよ。それを知った時に一気に考察が完成しました。(2021年7月中旬の時点で考察の80%は完成していました)

まず曲の冒頭で、リーンとかキュルキュルいってる電子音がありますよね?あれって虫の鳴き声、私にはヒグラシ(蝉)の鳴く声に聴こえました。ヒグラシの鳴く頃はだいたい8月の終わり、つまり夏の終わり頃を表現してるな、とピンときました。

これは 二十歳じゃない
作業着 剥ぎ取っても
まだ お線香の匂い 床に寝そべってた
一丁前に回り回る 扇風機に嘆いてた
ふと 会えない人を 思い浮かべてた

これは二十歳じゃない=未成年の時の話ですね。次の作業着っていうのワードで一気に男性の存在を匂わせています(まず最初のACAねトラップ発動w)が、ACAねさんってインタビューでワークマンや作業着が好きで、汚したら味が出るのがまた良いって言っていました。ということは作業着を着ていたのは実はACAねさんで、作業着を着ている状態=自分の好きなことに没頭している時間、つまりゲームや曲作りに夢中になっている状態のことを指しているんだと思いました。あともう1つ解釈できることは、作業着って淡々と作業をこなす服=学校の制服でもあると思います。作業着モードと普段着モード(「普段着」という歌詞も出てきますよね)のACAねさん。これは何を指しているのかと言うと、学生としてあるべき優等生の姿と自分の本心はこっち!っていう姿なんだと思います。

次の「お線香の匂い」ですが、これも亡くなった人のために仏壇に線香を焚いてる状態だと思わせておいて、蚊取り線香のことを指してるんじゃないでしょうか?
『就活』というのが原曲なんですよね。だからこれは自分の進路を決めなければならない高校最後の夏休みの話なんだと思います。
「扇風機に嘆いてた」扇風機の風に当たりながら何を嘆いていたのか…それは後述します。
「会えない人」=自分の中の自分、つまり相談したくてもできない人。自分の進路をどうすればいいのかわからない、自分の中の自分との葛藤、誰かと相談したくてもできない状態だろうと思います。

急な矛盾が 飼い慣らせない
誰のせいって わけじゃない
色の濃い野菜ばっかり 湯掻いてた
鮮やかな仕草に 混ざりたいのに
声があるのに いつもどうして

この歌詞、旬の野菜を調理している様子を表しているようですが、就活で就職先がどんどん決まっていく同級生の姿を表している感じがします。
食べ頃の野菜=就活生が鮮やかに就職先を決めていくことに不安を感じていて、その中に私も混ざりたいのに……
声がある=学校の先生が「こんな会社があるぞ、どうだ?」と言ってくれたり、同級生が「まだどこに行くか決めてないの?」いう風に言われているのに、自分の思いがあるからいつも突っぱねてしまう。アーティストとして生きるよりも、就職した方が安定した生活を送れることがわからないほどばかじゃないのに、いつもどうしてこんな感じで断っちゃうんだろう……っていう思いがこの歌詞に込められている気がしますね。

2021年1月12日に放送されたオールナイトニッポンは聴きましたか?あの中でACAねさんは「生きていくために、将来のために曲をたくさん書かなきゃ」と思って、高校生の時にめちゃくちゃ曲作りしてた、という話をしていたのを覚えていますか?それくらいACAねさんは音楽が好きなんですよね。でも、音楽でご飯を食べていくって相当の覚悟と努力が必要です。好きなもので生きていくって楽しそうですが、現実は非常に厳しい。だから安定した職に就くことを視野に入れていた可能性があります。でも、もし仕事をし始めたら「あのときにやりたかった音楽の道」を思い返して悶々としながら過ごしていける?という気持ちが読み取れます。

言っとけばいいのに ばかじゃないのに
在り来りだろうけど
僕には 君を思い返す日々で過ごしていける?
もう居ないのに 惹かれ合うのに
一瞬の夏だったよ
ありがとう
僕に残ってる 引き摺る温もり
ずっと まだ目の前に

自分が抱えてる思いを思い切って言えばいいのに、そんなことも言えないばかじゃないのに、あるいは周りからばかだと揶揄されても、音楽ばかで居続ける(STAY FOOLISH)のがACAねさんのやりたいことなんですよね。

「惹かれ合う」(恋愛のストーリーと思わせるトラップw)って別の漢字に直してみると、引かれ合う、つまりゲームのコントローラーのコードのことでもあるんじゃないでしょうか?アニメ、漫画やゲームもACAねさんの曲作りの大事な材料だから、曲を作るためにゲームをしていたのでしょう。周りから見たらただ遊んでて、何やってるんだって目で見られていたのかもしれません。
だから「一瞬の夏だったよ」=夏休みが一瞬で終わってしまった。これもすごいトラップですよね。一瞬の夏の二人の思い出みたいに解釈できませんか?

それは わたしじゃない
傷つけない さよなら を
靴に石入っても 歩き考えてた
先ばかり気にする君と 遅れをとるわたしと
ふと ぎこちない日々を 思い浮かべてた

「それはわたしじゃない 傷つけない さよなら を」=就職をすることは私の本心じゃない、でもそうだと言っても就活生としてあるべき姿を無下にする訳にもいかない。靴に石が入ってもそれが気にならないくらい悩んでいた。「君」と「わたし」ですが、安定した将来を提案してくる学校の先生や周りの人たちに影響されてる自分と、「いやちょっと待って、私の道はこっちだから!」っていう感じで遅れてついていく自分の心みたいですよね。どっちが先でどっちが後かは考え方によって入れ替わるかもしれませんが、仮に安定した職場に就職しても、本当にしたいこととは違うからモヤモヤしてぎこちない生活になっちゃう、ということでしょう。

この先どうする ね どうしよう わからない
君が溜息つく このやりとりに
安心できる 自分がいた
急な矛盾が 飼い慣らせない
何がきっかけとかじゃないけど
疲れてくことも 慣れていたと思う
それが始まりで 義務になったし
ゴールだったし ご飯できたよ

「この先どうする ね どうしよう」はそのまんまで、この先の進路をどうする、どうしよう…ということだと思います。自問自答しているこの瞬間、悩んでいる時にふとした安心感を覚えたんでしょうか。(こんな経験はありませんか?いざ旅行に行こう!という時よりも計画を練っている時の方が楽しいこと)
悩むことも自分自身の意思を確認する時間だったんでしょうね。
「それが始まりで 義務になったし ゴールだったし」ACAねさんが通っていた高校は実業高校なのかわかりませんが、就職するためにいろいろ斡旋してくれる学校だったなら、仕事に就くために入学したわけで、就職=ゴールになっていたんですが、ACAねさんの目指すものとは違ってたんです。これが「急な矛盾が 飼い慣らせない 誰のせいって わけじゃない」理由ですね。義務はギブアンドテイクや束縛感という解釈もできますし、ゴールは結婚することとも解釈できますよね?巧みな言葉使いでリスナーを翻弄させています。

そして、ここで唐突な「ご飯できたよ」w
いろいろ考え事してる間に時間が過ぎてしまって、ご飯の時間になっていた。だから家族が「あかねー、ご飯できたよー」って呼んだのか、もしくは家族を呼んだのかもしれませんw
これもめちゃくちゃ引っかかるトラップじゃないですか?w
好きな人のために「ご飯できたよ♡」って言っているんじゃなくて、自分が言われてる光景を想像してめちゃくちゃ笑ってしまいましたwww

君の普段着 畳む途端に
片付いた理屈の中で 吸って吐いて
だって大丈夫だって
終わりが近いと 仲良くなれたし
桃鉄勝って 君が寝落ちして
自分の好き<君の好き が何よりも大事で
同じ気持ちって 気づいちゃダメみたいな
さよなら ばっか だよ

2:48からギターのカッティングが始まりますが、このサウンドで焦燥感を表してますよね!
「君」や「僕」も、一人称や二人称を使うことで恋愛対象がいるように見せかけて、自分自身に問いかけているのかもしれません。しかも、その一人称を使う人間が入れ替わったりしてる感じで、なおさら難解で複雑な構成になっています。「君の普段着 畳む途端に」これも恋人の存在を匂わせてる感じがしますが、家族の普段着かもしれないし、内なる自分がACAねさんに話しかけてるとも考えられますよね?「終わりが近いと仲良くなれたし」も高校生活が終わりに近づいてくると共に、やっと自分のやりたいことを理解して貰えた、あるいは意思が固まってきた!ということを指してるように感じます。だから、ACAねさんは『糸(意図)を切り裂く「ハサミ」に勝てるのは、石(意志)だけなんだよね』というYouTubeのコメントにハートマークで反応していたんだと思います。
先述した「惹かれ合う=引かれ合う」ゲームですが、「桃鉄」というワードできっちり伏線を回収しています。

ハートマークで反応するACAねさん

あと、MVもニラちゃんとグレイくんが出てくるから、カップルっぽく見えますよね?でも、ゲーム機だったり、携帯電話だったり、引かれ合うもの=通信対戦できるものが出てくるから、曲と全然関係ないってわけでもないみたいですね。なんてトラップなんだwww 「贅沢な悲しみ」=好きなことに没頭できる時間が幸せだった、でももうその自由な時間も終わり。「自分の好き<君の好き」=自分が学生としてこれから生きるべき道よりも君(ACAねさんの本心)が好きなことを選んでよ!ということでしょうか。「僕に残ってる 引き摺る温もり」=遊びまくった後のゲーム機が熱くなってる状態を指している感じがしますね!

通信対戦できる惹かれ合う(引かれ合う)ものたち

あとMVの最後にニラちゃんが赤い糸をハサミで切りますよね?あれはACAねさんが自分にけじめをつけるために遊びの時間はもう終わり!という意味でコードを切ったところを表してるんだと思います。退路を断つことも表してるのかもしれません。だから後ろには「GAME CLEAR」と書かれているんじゃないでしょうか。

自分でケリをつける様子を表しているかのよう

その少し前、3:30あたりにはニラちゃんがはさみ持っているシーンがあります。

はさみを持つニラちゃん

このはさみ、実は公式サイトの隠しコマンドでプロフィールが表示されるのをご存知でしょうか?

はさみのプロフィール

「魔。すれ違い。別れ。卒業。」とあります。高校を卒業するまでに自分の進む道を決めないといけない、決断しないといけないその時が来た、そしてその決断は誰がするのでもなく、自分がすることだということをこれらのシーンで表しているんだと思いました。

考察好きな仲間がいるんですが、私の考察を読んだ後でこんなことを言ってました。
僕=今のACAねさん
君=学生の頃の先を考えなきゃいけなかったACAねさん(就職とか)
わたし=学生の頃の本当にやってみたいことを考えてたACAねさん(音楽)
自分=君とわたし、両方の立場からお互いに言っているACAねさん
という風に考えられるかも、と。

それから果羅火羅武ツアーのときに、ばかじゃないのにの前には必ずMCがありました。公演ごとに微妙に違っていたんですが、「茶の間に横になりながらぼーっと考えてた」とか、「自分は悪いことしてないのに不快なことを言われた」とか、いろいろ語ってたそうです。
多分ですが、扇風機の風にあたりながら家族や担任の先生、同級生から言われた事を思い返してたんでしょうね。

この考察をしていたら、ACAねさんがめっちゃ葛藤してた時期の心情がものすごく伝わって、胸に迫ってきて泣きました…
それからACAねさん、世間の冷たい視線とも戦ってますよね。「曲ばっかり作って何やってんだ、歌手になれるとでも思ってるのか」とかいろいろ言われて、うしろ指をさされて批判されてきた感じがします。でも、今のACAねさんを見ると、周りには力になってくれる沢山の仲間のアーティストがいて、ACAねさんをバックアップしてくれるスタッフがいて、数え切れないほどのファンがいるじゃないですか?ACAねさん、選んだ道が間違ってなくてホントに良かった😭って心の底から思えて涙が止まりませんでした。
こんなに感動するとは思ってませんでした。。

さらに、この考察を裏付けるのが、さいたまスーパーアリーナでのライブ『鷹は飢えても踊り忘れず』の2日目で、ばかじゃないのにを歌いながらACAねさんが泣いたことです。

夢に向かって走り出した当時の苦悩と葛藤の曲を歌ったんですが、それと同時に最終目標だった舞台での夢を実現させたからなんじゃないでしょうか。
『鷹は飢えても踊り忘れず』のBlu-rayでは副音声も聴けるのですが、ACAねさんは
「…2階の場所で歌っているときに、改めてこんなにずとまよを聴いてくれている人がいる。ものすごい景色だなと思って、、、うーん、自分の中でなんか、、、溢れ出そうだったけど。うん、なんか、、、いろんな感情がごちゃ混ぜになりながら葛藤しながら歌ってました」
「あぁぁぁぁ、、、涙waaa状態です、、、」
「みんながいてくれて、、、嬉しすぎて、、、涙でした。。。」と話されていました。
胸が熱くなる展開に再度泣きました😭

リスナーによっていろんな解釈の仕方ができる玉虫色のような曲を作れるACAねさん、日本音楽界の至宝だと私は思います。
この曲は私の中ではACAねさんの応援歌になりました!それから自分の進むべき道を決めきれずに悩んでいる人への応援歌でもありますね!

【追記】
最後まで考察を読んでいただき、ありがとうございました。
『ばかじゃないのに』はACAねさんの青春時代の葛藤を物語っている、そんな曲だと私は考察しましたが、ここまで述べてきたもの以外で、実は決定的な証拠があるのです。
ここから先は「知りたい!」という人だけ限定にしておきますが、知ればなるほどの内容です。
興味のある方だけどうぞ。

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