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沖縄でメキシコご飯を考える

現在地

沖縄県国頭村の地域おこし協力隊。

心のふるさと

メキシコにはトータルで6年間住んでいました。大都市のメキシコシティ、中都市のケレタロ州、農村部のチアパス州、それぞれの土地で、いくつもの家族にお世話になりました。「メキシコ料理」と言った時に、「ひき肉を挟んだ”タコス”※」以外の料理を頭に思い浮かべる人はあまりいないと思いますが、幸いなことに、わたしはそれぞれの土地の、それぞれの家庭の、さまざまな料理を、自分の人生や、温かな思い出と共に思い出すことができます。

わたしを家に招き入れてくれた多くのメキシコ人家族の中でも、わたしが心のふるさととして今でも思い出すのは、メキシコシティの家族とチアパスにいる家族です。二つの家族に共通しているのは、わたしを彼らの日常に引き入れてくれたこと。カホという一人の人間として、家族の一人一人が受け入れてくれて、彼らの日常に、わたしがいる場所を作ってくれたことです。そして、同じくらい大事なことなのですが、わたしのお腹が満たされていることをいつも心配してくれたこと。

比較的早くに母親を亡くしていますが、今でも思い出すのは母の手料理。喧嘩をしても、「ご飯だから下りてきなさい」が仲直りの合図でした。あの味はもう二度と作ることができないけれど、その代わり、わたしにはまだメキシコという心のふるさとがあります。今でも会いにいけて、話ができて、元気をもらえる家族です。

沖縄でメキシコを想う

沖縄という土地は、メキシコの、特に南部の雰囲気に近いものがあります。強い日差し、日焼けしたカラフルなコンクリート住宅、熱帯雨林、トロピカルフルーツ、豚肉文化 etc…。わたしが地域おこし協力隊として、ここ国頭村にやってきたのも、チアパスのセルバ(ジャングル)に近い雰囲気に感動したことがきっかけです。沖縄の「セルバに広がるミルパ(とうもろこし畑)」を想像したら、この知らない土地が、わたしにとって少し身近なものに感じられたのです。

わたしは、沖縄のことや国頭村を熟知した人間ではありませんが、ここの土地に住みながら、この土地の文化を感じ、地域の美味しい食材を使って、わたしのメキシコご飯を作って、温かな気持ちになりたい、そして誰かが美味しいと言ってくれたら嬉しいと思います。

そんな日々を増やしていけるように、メキシコのことやメキシコご飯について、これから綴っていこうと考えています。

※タコス(tacos)は、スペイン語「taco」の複数形。タコ(taco)とは、何らかの食べ物を挟んだり巻いたりしたトルティージャ(tortilla)のことを指しているので、豆でも卵でも肉でも、何を挟んでも「taco」と言えます。狭義では、牛や豚などの肉類を挟んだものというイメージもありますが、「炒めた挽肉」はそのイメージにも通常入らないので、挽肉+レタス+トマトのジャパニーズタコスは、ある意味「カリフォルニアロール」だと思っています。




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