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現実になるとは (サッカー観戦)追記

この日もあつかった

秋だと思って帽子を忘れたのは失敗だった。
10月23日。この日もロートフィールドへ奈良クラブの応援に出かけた。
今回はメインスタンドが満席になりそうだったのであえてバックスタンドの方へ座ってみたが、屋根のない芝生席では晴れた空から太陽光が燦々と降り注ぎ、10月後半とは思えない暑さだった。
季節外れの日焼けに怯えながらも、対戦相手である鈴鹿ポイントゲッターズ所属の三浦知良選手をしっかり拝見する事ができた。今回はこれを楽しみにしていたところもあり、嬉しかった。
特に試合後、まるで磁石のように観客を引き寄せている姿が印象的だった。凄いパワーだ。

少年たちの憧れだったスター選手が奈良に来て、子供の頃からお馴染みの競技場で試合に出ている。なんだかふわふわした気分で観ていたのは、暑さのせいだけではなかったはずだ。
そして「キングカズの活躍は見たいが奈良クラブに勝って欲しい」という、よくわからない心理状態に陥る試合でもあった。
結果は1-1で引き分け。惜しかった。
いや、360度ぐるりと取り囲んだ1万4千人を超える観客の前では絶対勝ちたかっただろうから、悔しくて仕方ないのか。

「14,000」これがどれほど大きな数字なのかというと、私が夏に観ていた試合の観客数はおよそ1千人程度だったので、14試合分の観客がいっぺんに来場したようなものだ。
奈良クラブは遂に奈良をも動かしたのか。
試合が始まった後も続々と人が入ってきて次第に狭くなる芝生席。当日券完売を知らせるツイート。
何もかもいつもと違う1日だった。

惜しい!と思った事

今回は車での来場は諦め、駅から歩いてスタジアムに向かった。前回のヴェルスパ大分との試合は5千人来場で周辺の道路が大混雑していた。それを思えばベストの選択肢だったと思う。
日頃の運動不足、体力不足がやや気がかりだったが、思った以上に大丈夫だった。
ちょっと良い運動をした気分で鴻池に到着。
昔はこの道をドリームランドまで歩いていたのを思い出した。懐かしい。

スタジアム前に到着すると、イベントもまだ始まっていないのに既に入場待ちの行列ができていた。それも最後尾はどこに?という長さの。
その列の横を通り過ぎて、バックスタンドの列に並んだ。単にこちらの方がゆったり座れるだろうという思惑だった。
いつもの景色と反対側、目線の高さも違う感じに少し楽しくなる。レジャーシートに座って昼食を摂り、まるでピクニックでもしているようだ。
お尻が痛くならないか心配だったが、芝が柔らかかったので大丈夫だった。一部コンクリートが打ってある場所もあるので、折り畳み座布団的なものを持参するのもありだったかも知れない。
場所にもよるだろうが、試合は全体によく見えた。日光が正面からまともに当たり続けるのが辛かったけども。

試合が始まってしばらくして、ふと雰囲気が想像と違っていることに気づいた。
周りが何やら静かだったのだ。
いや、静かだといってもそこはもちろん何千人もの群衆である。ファインプレーには拍手も湧くし盛り上がってはいた。
ただ、ハリセンの音が妙に少ない。
右手と左手のゴール裏から聞こえる両チームサポーターのドラムの音。正面のメインスタンドからはハリセンの大合唱。遠くからは大盛り上がりが聞こえてきているのに、なんでこんなに音が少ないのか。
不思議な感じがして周りを見渡してみる。
すると、多数の人がハリセンのボール紙をお尻に敷いていたことがわかった。
確かに、芝生に座る上で敷き物にするのに丁度良い大きさではあった…。

前回このハリセンが作り出したスタンドの一体感に軽く感動を覚えていた私には、この事態がちょっと残念に思えてしまった。
この辺りはライブ好きのあかん所でもある。
ともあれ、ハリセンでなくクラップで応援するにせよ、初めて来たのでそもそも叩き方を知らないという人がほとんどだったと思う。
せっかくメッセージの込められたリズムである。試合前に少し叩き方の説明があれば良かったかもしれない。

功労者達に拍手を

最後に、今回とてつもなく大変な思いをしてくださっていたであろう運営の方々にお礼を申し上げたい。
観客数の条件を達成するためとはいえ、人を集めることも、実際に迎え入れることも難しく、準備万端にしていても当日はご苦労があったと思う。
完璧に運営するのは難しい状況であっても真摯に対応し、後日にはアンケート協力を呼びかけるなど、とても前向きに取り組んでおられることに頭が下がる思いだ。

いつもありがとうございます。

追記

早ければ10月末にもJ3への昇格条件を満たす見込みだった奈良クラブ。クリアソン新宿との試合には見事4-1で勝利したが、鍵となっていたラインメール青森も奮闘し、結果は11月5日のホームゲームに持ち越されることになった。
私はこの日のイベントの告知が出てからそれをずっと楽しみにしていたが、思いがけなく歴史的な瞬間にも立ち会えるかもしれないとあって、少々興奮状態である。
次回も是非1段、高みに近づくプレーを見せて欲しい。