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【脳外科医が解説】脳ドックで発見される「脳動脈瘤」の驚きの事実

今日は脳動脈瘤について話していきたいと思います。

最近ではMRIの普及に伴って、脳ドックがますます身近な存在になっていますよね。

この脳ドックで、よく見つかる病気が「脳動脈瘤」なんです。

脳動脈瘤は簡単に言うと、脳の血管がコブのように出っ張った状態を指します。これが破裂すると、「クモ膜下出血」という、非常に危険な状態に陥ります。私たち脳外科医の使命は、この脳動脈瘤を適切に治療し、破裂からあなたを守ることなんです。

ただし、ここで重要なのは、
脳動脈瘤が見つかったからといって、すぐに手術が必要というわけではない」ということです。なぜそうなのか、それにはちゃんと理由があります。



脳動脈瘤の治療には「クリッピング術」や「コイル塞栓術」など、なかなか複雑な手術が必要となるんですが、これらの手術自体が一定のリスクを伴います。対して、脳動脈瘤の多くは破裂するリスクがそれほど高くないため、無闇に手術をするべきではないのです。

それでは、どの脳動脈瘤が破裂リスクが高いのか、どうやって判断するのでしょうか。そのための一つの基準となるのが、「PHASESスコア」です。このスコアでは、年齢、脳動脈瘤の大きさや位置、患者さんの血圧の状態や過去の出血歴などを考慮して、脳動脈瘤が1年間でどれくらいの確率で破裂するかを推定します。

PHASES Aneurysm Risk Score

私たち脳外科医は、これらの情報と、患者さんの他の健康状態や動脈瘤の形状などを総合的に評価し、治療が必要かどうかを判断します。

だから、「全ての脳動脈瘤を手術で治療すべき」とは一概には言えないんですね。

ですので、脳動脈瘤の診断をされた方は、まずは病院にかかって自分の画像を見ながら説明をしっかりと受けてください。
そこで、担当の脳外科医が治療が必要かどうか、それはどうしてなのかなどが詳しく教えてもらえるはずです。

手術が必要ないと言われても、何もしなくて良いわけではありません。
高血圧や喫煙、糖尿病などがあると動脈瘤が今後増大していく可能性が高くなります。つまり、基礎疾患の治療や生活習慣の見直しが大切です。

また、何より重要なのは、突然の激しい頭痛など異常を感じたら、すぐに医療機関に連絡することです。脳出血は予測不可能な病気ですから、早めの対応が何より大切なんです。

皆さんの健康は、皆さん自身が守るものです。私たち医療者は、そのためのサポートをする存在です。あなたの健康を一緒に守りましょう。今後も最新の医療情報をお伝えする予定ですので、よろしければフォローをしてお待ちいただけたら幸いです。

・参考論文

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/STROKEAHA.117.017391


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記事を読んでくださってありがとうございます。

このnoteでは
脳外科医あみと が
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