正義の女神


女神は地上に降り立った
大きい方の国の主の脳内に語りかけた

小さい国を奪おうとするのはやめなさい

主は言った

頭のおかしい女が話しかけてくる

見つけ出して処刑しろ

兵たちは困ったが、とりあえず捜しに出た

女神は小高い丘に立ち、一度だけ指を鳴らした

大きい国が持っていた、永久に世界を汚す爆弾をすべて炸裂させた

たくさんのキノコ雲があがったが、毒は一歩たりとも国土を出なかった
上空からも

大きい国のすべての人民が死に絶えた


女神は小さい国の主の頭の中にも入った

大きい国には自滅してもらいました
だからといってあなたがたが無謬ということではありません
失われたたくさんの命のことを忘れないで
あなた方の側に立った人たちもたくさんいたのだから

小さな国の主は青ざめた顔で、それでもしっかり頷いた


女神は超大国の主のところにも現れた

今回は、あの国だけに責めを負わせましたが、あなたの国にも毒の爆弾がありますよね

同じようなことをしたり、他国にさせたら、私はあなた方にも同じ罰を与えます
似たようなものを持つ、すべての国にもね
愚かなことはやめなさい

そう言って、女神は姿を消したという



ああこれで
世界は平和になったのだな


東の果ての小国の主が胸をなで下ろす
だがその脳に、女神が送った文言はこうだった

海にあれを流すのでしょう?
自国のミスを全海に担わせる
そういう考え方が嫌いです


東の小国は無くなった
瞬時に
跡形もなくかき消えたのだった


正義の女神に論理はない

ただただ我流の正義があるのみである

それでも地球は回っている