ピアス〔まるやまあつこさんに捧げます〕

アンモライトを身につける。
最近では、おもにピアス。
虹色の輝きが美しく、しかも力強い。

あの頃私はアンモナイト。
あいつと一対で暮らしてた。
人間の、五年程度の運命で、私たちはいつも一緒だった。
どこで、はぐれたのだろう。
私は何度も転生し、それでも再び出会うことはなかった。

今宵私は今生の、最後のパーティーで歌う。
アンモナイトが好きよと繰り返してきた私なので、ファンのみなさんも、主として、アンモライトのアクセサリーをくださることが多い。
一番気に入って、だからこそ今日まで身につけなかったこのピアスを付け、最後のラヴソングを歌うのだ。

ADが行ってと手を示す。
マイクまで歩みついたとき、ピアスが私にそっと囁いた。

僕だよ。




ああ。

ああ。

ああ!

あなたはここにいたのね。

私の瞳を、熱い涙が濡らす。
最後の歌。
最初の愛。
いま私たちはここにいる。
再びともに、一つになって。
ここにいる。

それでも地球は回っている