二次創作なので無断移動持ち出し等絶対厳禁⑬


美童⑫〔二次創作・愛の温度〕

さすが俺の見込んだ女だ。
俺を知ることでウォンを知り、ウォンを知ることで、作品に一段の厚みをつけようとしている。
チ・ホンアなら、印象のまま書くだろう。
金持ち。
財閥。
プレイボーイ。
母子家庭。
情報をまんま小道具として描く。
残酷なまでの紋切り。
そういうのを好きな視聴者もいるので、一概に悪いとは言わない。
だがヒョンスは違う。
いったん自分に落とし込み、自分の色に染め直す。
キャラクターは織り上げられた布によく馴染み、えもいわれぬ風合いを醸し出す。
その色が見たくて、俺は彼女の作品を待つのだ。
だから。

俺は自らを語るのに、もう一切躊躇はなかった。


母は病院で死んだ。
莫大な医療費が露と消えた。
妻を失った父は廃人同様となり、
事業を継続できる状態ではなくなった。
だが会社は維持しなくてはならない。
なりふり構わず稼ぐ日々が続いた。
汚いこともしたし、手を噛んだ飼い犬は干したし、そのくせ自分は下剋上し続けた。
二十三で没落した自分を、三十三で何とか立て直し、三十五にはこの自宅すらも取り戻したのだ。
それからは、誰の侮りも許していない。


侮りを許さない人生…

それ、キーワードだわ。
私の心の中に何かが動く。
ジョンウさんは続けている。


ちょっと親しくなると、人は簡単に変わる。
親しいんだから。
立場があるんだから。
このくらいいいだろう…

そうした甘えが積み重なり、人と人のつながりは簡単に崩れてしまう。
そういう失望を繰り返しながらここまできた。

だから、俺は不変のものが欲しかった。
君たち二人はまさにそれだったんだ。

常に素材と素材感を大切にする、あれ?


ジョンウさんはそこで言い澱んだ。


どうされましたか?

いや。
君たちを表現しようとすると、同じになるんだな、と思ったんだ。
常に素材と素材感を大切にするヒョンス。
常に素材と素材感を大切にするジョンソン。
二人は…


同じものを追い求めている…


それを言うならジョンウさんもそうなんじゃないでしょうか。
同じものを共有するとか愛でるとかって、感性が近くないと出来ない気がします。
例えば…

いくらジョンソンが美味しいフランス料理を作っても、

韓国料理は辛さが命!!

しか考えない人にとっては、

薄味の、赤くない料理

にしか思えないでしょうし。
私の作品にしても、ジョンウさんやジョンソンやギョンには理解されても、パク先生やユ監督とかにすれば、

アクションもケレンもない

って話になってしまう…
理解していただいて初めて、食べていただける、使っていただける、そういう存在なんですよね、私たちって…

それでも地球は回っている