開〔knasadaさんに捧げる一作〕


門を開くと獅子がいた
獅子は問う
悔いなく生きたかと


頷くと
獅子は鼻で笑い
私を残して立ち去った



門を開くと鷲がいた
鷲は問う
悔いなく生きたかと


頷くと
鷲は眉をひそめ
私を残して飛び去った



門を開くと蛇がいた
地を這うものは問う
悔いなく生きましたかと


頷くと
蛇はうなだれ
首を左右に振り振り立ち去った



どうしてこの答えではだめなのだ!



門を開くと
そこには誰もいなかった


薄闇だけがそこにある


私は首を左右に振った
蛇のように


そして歩き出した
しょうことなく


地面には大きな赤い矢印があり


その遙か果てに

いま

大きな太陽が
上がってくるのが見えている



そういうことか


そういうことなのだな


門はもう

はるか背後だ


太陽には


まだいささかも近づけてはいないが



この瞬間(とき)に



いま我は

確かに在(あ)るのだ



テーマは 門。

knasadaさんの記事にはとうてい及びませんが、心を込めて書きました↓




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