夜半

夜半。
さんぽに出る。
猫ドア抜けて。
りかさんはぐっすり眠っている。

公園には、トラ、黒太、まりりん、鈴と、エレンドラがいた。
変わったことはなし。
月の光がきれい。
でもこの辺でも、星はあまり見えなくなってきた。

道を渡る。
ブルルルルって来た『くるま』が通りすぎるのを待って渡る。
酔っ払いがこっち見て、
「にゃー、にゃおん」
って呼ぶけどムシ。

古いアパートの前に出た。
一階の右端の部屋。
小皿におかかが少し。
窓が閉まってる。
漫画家さん、ネームぎりぎりだな。
頑張ってね。

おかかはぐはぐしたら小学校へ向かう。
緩い水道の蛇口から漏れてる水を舐める。
ひと休み。
毛繕い。
あたしはみかん色。
雑種の和猫。

12階建てのマンションの二階。
見下ろしてるペルシアン。
外歩きたいの、って目で、
いつも、いつも、いつも見てる。
うちの子は外知らないから出たいとかないのよ。
飼い主がこないだ言ってた。
あなた猫語わかんの?
何で彼女はいつも見下ろしてる?
外を。
テレビの画面と思ってるわけじゃないんだよ。

大通りから引き返し、あたしの猫ドアがおかえりって言う。
ただいま、りかさん。
きょうはこおろぎしかとれなかった。
ごめんね。


それでも地球は回っている