新春エンターテインメント

我が家の新年の恒例行事は、まず初日の出を見に行くことである。
近所の少し小高い場所へ行き、初日の出をまだかまだかと待つ。少し遅れて向かうと、すでに人だかりが。老若男女、犬までいる。
いい大人たちが寒さで震え、真顔で初日の出を待つその姿は非常に滑稽でもある。
全員真顔で同じ方向を眺めているのだから、とても面白い。初日の出の写真よりも、こっちサイドの写真撮りてえーとついつい思ってしまうが、本当に撮ったらすごく嫌な顔されるに決まっている。冷たい視線を浴びながら日の出を待つのはすごく嫌なので、グッと堪えた。

ところが日の出時刻になっても雲の層が厚く、なかなかお目にかかれない。今年は初日の出見れなかったねえ、、と周囲から感嘆の声が漏れ始め、我が家も「仕様がない、もう行くか」と腰を上げ、階段を降り始めた。
すると後方から「出たあああああああ!!」の叫び声。
テンション高めの中学生男子の一声である。
ずっと後方で騒がしかった彼らだが、この一声で我が家は日の出を見ることができたのである。騒がしいのも時には人助けになった瞬間である。

めでたく初日の出を拝み、お節を軽く食べてから、墓参りへ向かう。
スムーズに墓参りを済ませ、すでに観光客で賑わうちゃわん坂を降り、毎年正月に御守りを買っている某お寺に向かったのだが、なぜか今年はいつもの感じと違う。
お祓いのお経が、お坊さんの声ではなく、プロ野球のウグイス嬢のような女性の軽いアナウンスで、風情もひったくれもない。ここはイオンか?と何度も首をかしげたほどだ。
新年早々、なんとも言えない気分になる。
夫に目をやると、やはり複雑な顔をしていて、お祓いは受けず、参拝だけして今年は帰ることにした。

そのうちお寺のお賽銭がPayPay払いになるのだろうか・・そうなったら、もう訳がわからない・・と、新年早々どうでもいい事を考えながら帰宅した。



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