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「禁忌のアリス」 第一話 血まみれのアリス

#漫画原作部門 #創作大賞2023

あらすじ  
「アリス、君は俺の特別な人。ずっと愛してる」
 指と指が触れ合い、なぞりあう。
 不倫をしてしまったアリスは奥さんに突き落とされ、不思議の国へと転生する。
 不思議の国では不思議な生き物に襲われる。犯した罪や真実に向き合い、苦悩するアリスは、自分や彼を許すことができず激しい怒りを押し込める。不倫の罪を背負い空虚になりながらも、案内係のウナギにお願いされ、女王陛下を助ける決意をする。罪に深い悔いを残すが、不思議な生き物や冒険を通じ、未来に向けて歩き出し大人になる。W不倫物語。

(あらすじ 239文字
第一話 2487文字
第二話 1606文字
第三話 1900文字 程度になります)


第一話 血まみれのアリス

「アリス、君は俺の特別な人。ずっと愛してる」
指と指が触れ合って、なぞりあう。
泣かない。
痛いほどの嘘だろうとしても  、気づかないように取り繕う。
「私も、愛してる・・・だけど・・・」

不倫とは不義の愛である。
正義や道徳に反し、家族も友情も周りを傷つける。

「自分の人生なんだから、相手の奥さんなんてどうだってよくない?」
脳裏にそんな言葉がよぎる。

自分勝手な行動が周りをも傷つけるとは知らず。
その罪や代償はいったいなんだろうか。

高層マンションのベランダで、私は彼と愛を交わし、奥さんに見つかった。
「何をしているの?あなたは誰?」
彼との情事の最中に声がして、後ろを振り向いた。
ストレートの髪のキレイでかわいらしい女性が立っていた。
「ち、ちがうんだ!入ってない、まだ!」
彼は私を振り払って離れた。
彼女に近寄って弁解を始めた。
「何をしていたのよ!最低!」
かわいらしい容姿とは打って変わって、大きな声で彼を怒鳴りつけた。
私は、これが彼の奥さんなんだと気づいた。
近くに脱がされて落とされた衣服を着直すと、
奥さんは私に向かってきた。
ビンタをされた。
パシンッ
おとなしく泣くのかと思った奥さんは、気が強かった。
「いった・・・」
私の口の中が血でにじんだ。
「なにするの?」
「あなたこそ、なんなのよ!」
私は奥さんともみ合いになって、髪の毛を引っ張りあったりひっかきあったりした。
彼は、おろおろとして周りをうろちょろして何も言わず、黙っていた。
奥さんともみ合いになってから、やっと止めに入った彼。
3人でベランダで揉める。
すると私は足を踏み外した。彼はとっさに、私へと手を伸ばした。
私は、彼と2人でベランダの淵へ落ちかけていた。
「キャア!!!!」奥さんの叫び声が聞こえた。
高層マンションでベランダの淵にしがみつく私と彼。
下に落ちたら死ぬだろう。

愛し合う姿がついにバレたのである。
私は彼に依存していた、彼が私のスターだった。
私のものになるまで、あきらめないつもりだった。
でも彼が最後に発した言葉は、私ではなく、奥さんに助けをこう言葉だった。
「俺は、誘われたんだ、だから違うんだ!
助けてくれ!」

私は幻想から目が覚めた。
彼の自分が助かりたいという気持ちと、
私より奥さんの方が大事だとういうことが、証明されたのである。
奥さんは錯乱して彼の手を取らずに迷っていたが、ゆっくりと震える手をのばした。
彼の言葉を信じるつもりだろうか。
でも、もう遅かった。

私はひとりで落ちた。
ベランダから地面に落ちていった。

白と黒の渦巻きの中へぐるぐるぐるぐる。
私を愛してくれるって思っていた。
私たちは自分を止められなかったし、誰も止められなかったの
だから、罰として この世界に送り込まれたのかもしれない。
私はただ彼と二人でいたいだけなのに。
世界は私を拒絶した。
彼の甘い言葉や、奥さんに対する言葉が私の頭の中をループした。
何度も何度も。
彼は完ぺきだったし、刺激的だった
でもやっと気づいたの、愛じゃなかったって。
でも、もう遅い。すべてが遅いの。
私はこの世界に墜とされたのだから。
ぐるぐるぐるぐる白と黒の渦巻きの中 私は彼とともにベランダから落ちていった。

私は気づくと、ひとり不思議な場所にいた。
まるで絵本で読んだかのような不思議の国のような場所だった。
奇妙な生き物たちがいる。
「ここは?」と、周りを見渡す。
私は、フリフリのメイド服を着ていた。
胸元に名札がついている「アリス」と。

アリス「いったい、ここは、なに?」
なにがなんだかわからない。
ここが、日本ではないこと、ここがあの高層マンションのベランダではないことはわかる。
森の中の草原で周りをきょろきょろしていると、一匹のウサギがやってきた。
ウサギにも名札がついている。「女王に仕える案内係・うなぎ」と。

ウナギ「はじめまして、アリス、私はウナギ。女王陛下のところまで連れて行きます」
ウナギはかわいく見上げて微笑み、私に挨拶をした。
アリスも同じように手を前にふり、頭を下げてお辞儀した。

アリス「どういうこと?」
ウナギ「あなたはアリス、女王陛下があなたを求めています」
アリス「え・・・」
アリスは一瞬迷ったが、人に頼まれると断れない性格で、よくわからなかった。
でも「わかったわ」とすぐ了承したのである。
どうせやることもないし、ウナギについて行ってみようと思ったのだ。

最初はかわいらしいウサギやネズミ、色鮮やかな花たちに囲まれていた不思議の国は、とても素晴らしい世界だった。

そこへ、ぬるりと出てきたのは、タコの足をたくさん生やした人面化け物だった。
アリス「気持ち悪い!!」
タコの化け物「アリス!コロス!」
タコの足をたくさん生やした人面タコの化け物は、アリスをいきなり襲った。
タコの化け物「アリスヲコロス!!!!」
ウナギ「アリス!包丁を使って戦ってください!」
アリス「ほ、包丁?どこに・・・?!」というとアリスの手には包丁が
包丁は光出すと剣のように成長した
アリスは、羽のように軽い包丁で人面タコの化け物をを粉々に粉砕した。
ざくざく、ざくざく刺した。
すると、血が大量に出て、アリスは血まみれになった。

ウナギはタコの一部を袋に入れカバンから、しょうゆとお酢を取り出し食べ始めた。どこかでタコを食べる光景を見た記憶がよぎった。
しかし、私は、記憶の一部が霧ががり思い出せなかった。

ウナギ「もぐもぐ、アリスも食べますか?」
アリス「う、おいしいんだろうけど、気持ち悪いからいらない」

私はウナギと、ともに女王陛下のもとへ向かう・・・。

森の中から大きくて美しい月が私を照らした。
白くてキレイだったエプロンはタコを殺して血まみれだった。
口の中も切れたまま。
「血でベトベトする。気持ち悪い」
ウナギが差し出した毛布にくるまって、彼を想って一人泣いた。

二話へ続く


禁忌のアリス、一話をお読みいただき、ありがとうございました。

2023/06/23一部書き直しました。
2023/06/10一部修正しました。

二話以降は、下記をクリックすると読めます。
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第二話 真っ赤な血の味の紅茶 

第三話 女王陛下の困りごと

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