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ガーナで聞いた日本の黒人差別

短い会話の中で聞いたことですが、心に残っているので書きたいと思います。

ガーナ滞在最終日にガーナ人の知人が空港まで送ってくれた時のことです。その時、その知人の彼女も車に乗っていて、空港に着くまで彼女と、ガーナでの生活を振り返りながら会話をしていました。

何気ないきっかけで、私がガーナで受けたアジア人差別の話になり、私が「こんなにあからさまに嫌悪の感情を向けられるとは思わなかった」というと、彼女が「日本人もそうでしょ」と。「日本人の方が差別をするじゃない」と。

彼女のお母さんは日本の地方の会社で働いていて、日本に来てから十数年差別を受けているそうです。日本語も話せて能力も問題ないのに、黒人というだけで出世できなかったり、日本人がやりたくない仕事ばかり回されたりなど、お母さんが職場で受けている差別のことを教えてくれました。コミュニティの中でも、外国人、黒人ということで遠ざけられ、孤独を抱えているとも。それでも経済的理由のために、日本で働き続けているそうです。

彼女のお母さんは彼女に、「日本に来てから、今まで一度も優しい日本人に出会ったことがない。あなたには日本に来て欲しくない。」と伝えているそうです。電話で話すたびに聞く日本人からの差別の話を聞いて、彼女自身も日本に行きたいとは思っていないということを、日本人である私に気を遣いながら話してくれました。

1ヶ月のガーナ滞在期間中に受けた差別で心がボロボロになった私には、そのお母さんのように十数年も1人で差別に耐えるなんて到底無理だと思いました。ほんの数十分の会話でしたが、彼女が話してくれたことが胸に刺さりました。

「ソトモノに排他的な田舎だから起きているだけで、東京や都会ではそんなことない」「そんな日本人がすべてじゃない」彼女に対して色々言えたのかもしれませんが、そんな言葉をかけたところでそのお母さんが救われないのは明らかです。

私がガーナで受けた差別は、コロナが原因の大元である一過性のものです。でも、日本で起きている人種差別は違います。変えようとしなければ続いていくものです。

差別を受けて日本に絶望する外国人がいてほしくない。そう強く思いますが、自分に何ができるのか。周りの身近なところからできることを探していこうと思います。

また、ガーナで差別を受けていたときは、被害者としての意識がすごく強かったのですが、彼女の言葉で、一方的にガーナを嫌いにならずにすみました。「私たちの国でも同じことが起きている。私たちが加害者にならない保証はない。」そのことにガーナにいる間に気づけたことが、本当に幸運でした。この事を忘れず、常に胸に留めておきたいと思います。

以上です。






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