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ブラジル 黒人暴行死に抗議デモ“差別・ヘイトの解消を”2020年11月24日【国際】

ブラジル南部ポルトアレグレで19日に発生した黒人男性の暴行死事件が、全国に衝撃を与えています。同国の奴隷解放運動の英雄ズンビを称える「黒人意識の日」でもあった翌20日、主要都市で大規模な抗議デモが行われ、差別や憎悪の問題の解決を社会に訴えました。

 現地報道によると、19日の事件は、フランス系スーパーマーケット「カルフール」で発生。レジで女性店員と言い争いになった黒人男性を白人警備員2人が外に連れ出し、1人が男性を地面に押さえつけ、もう1人が顔や頭を何度も殴打しました。男性はぐったりし、救急車が呼ばれ、手当を施しましたが、死亡。死因は窒息とみられています。

 警備員2人は逮捕され、うち1人は非番の州警官だったことが明らかとなっています。

 居合わせた市民が撮影した動画が拡散され、抗議行動が全国に拡大しました。カルフールは陳謝を表明しましたが、デモ隊の一部が各地のカルフール店舗を破壊する事態も起きました。

 ブラジルは人口の約55%が黒人および黒人との混血で、貧困率は3割を超えています。1990年代半ば以降、中道左派の政権が続き、人種間差別を是正する取り組みが一定進みましたが、黒人への差別意識が社会に根強く残っています。

 今年8月に発表された暴力問題の公式統計によると、2018年に起こった全国の殺人事件被害者のうち黒人の割合は75・7%で、08年から18年の間に黒人殺害事件は11・5%増加。一方、非黒人が犠牲になった事件は12・9%減少しています。

 リオデジャネイロのファベーラ(貧民街)で5月中旬、突然押し入ってきた警官隊が発砲し14歳の黒人少年が死亡する事件がありました。米国の「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」運動の影響も受け、黒人への差別・暴力に反対する運動が改めて盛り上がりました。

 黒人が犠牲者となる事件が相次いでも、ボルソナロ政権は「人種差別は存在しない」と述べ、問題解決に背を向けています。

 SNS上では、構造的差別の解消を望む声があふれています。リオデジャネイロ在住の人権活動家ラウル・サンティアゴ氏は20日、「この国の人種差別の構造はまるでただ一つのルールであるかのように残酷な事態をもたらしている」とツイートしました。

(しんぶん赤旗、2020年11月24日)

しんぶん赤旗


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