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2022映画鑑賞記録

1.Spider-Man 3(2007)

1月2日。Amazon prime。Directed by Sam Raimi.

2022年映画始めは『スパイダーマン 3』。プロポーズする日に別の女性とキスするスパイダーマン、やばすぎるな。ヴェノムとスパイダーマン、こんなところで繋がっていたのねという驚き。子供の頃に見た時は、サンドマンを怖がっていた気がする。人間みたいなのに人間じゃない造形が怖かったんかな。顔とか。

なんとなくわかっていたけど、ハリー・オズボーンかっこよかった。「ハリー(の取った選択肢、そしてそんな選択肢を取ったハリー自身)は最高だった」これに尽きる。どんな道を選ぶかは自分にかかっている。

誰しも心の中にヒーローがいてヴィランがいて、他人には推量れない事情があって、秘密がある、とまとめたくなるような映画。「親愛なる隣人」、このキャッチフレーズ結構好きだよ。

ヴィランはサンドマン。ピーター・パーカーの叔父さんを死に至らしめた男。

2.The Amazing Spider-Man(2012)

1月2日。Amazon prime。Directed by Marc Webb.

街を描写する雰囲気が『ダークナイト』に似ている、というのは置いておき、シリーズで見比べると引き継いでいる設定や変えている設定などが目に見えるのがおもしろい〜。登場人物も役割が違ったりするし!(例えばコナーズ教授や、グウェン。)恋人がスパイダーマンの正体を最初から知っている、というのもまた前作とは異なる切り口なんだな〜。一人で悩みを抱えるしかなかった前作と比べて、ちょっと人間チックなヒーローかな(中身はもちろん人間だけど)。

NYPDそんなにいい家に住めるのか疑問に思うよ。そういえばようやく「PD」の意味を知った。Police Departmentの略だったのね〜。

え、グウェンはエマ・ストーンだったのか!

アクションとか動きは、アメスパのほうがカッコよく感じた。カメラワークかな。最後のシーンとか特にカッコよかった。

ヴィランはリザード。ピーター・パーカーの父親の研究仲間。え、この俳優さん「キングスマン:ファースト・エージェント」のラスプーチンなの?驚き〜!

3.The Amazing Spider-Man 2(2014)

1月2日。Amazon prime。Directed by Marc Webb.

まさか死んじゃうと思ってなくて、最後めっちゃ泣けた。ピーターが墓前に立ち尽くて周りで季節だけが巡っていくシーンは、ヴァイオレット・エバーガーデンの手紙での言い回し「春夏秋冬と季節は巡るけども、あなたのいる季節だけが巡ってきません」が思い浮かぶ。とても悲しい。

アメスパの方が音楽凝ってる気がする。場面場面(特に戦闘シーン)のサウンドが印象的。

てかハリーをそんな存在に仕立て上げて欲しくなかったです……。いくらなんでも正反対すぎるでしょ……。なんのために「親友」の設定があったというのか…。

ヴィランはエレクトロ。ピーター・パーカーに助けられて「親友」になったオズボーン社の電気技師。

4.The King's Man(2021)

1月5日。Tジョイ横浜。Directed by Matthew Vaughn.

公開が発表されてからずっと楽しみに待っていたやつ。延期に延期を重ねてどれくらい経ったんだ?『トップ・ガン』よりはマシかもしれない。

初のDolby cinema で見てきた。映画本編よりも、Dolby cinemaプロモーションのサウンドに圧倒される。ナショナルジオグラフィックとかの「大自然」を感じられるドキュメンタリーとかをここで見たら最高かもしれない。

第一次世界大戦前夜を知っていた方が、より理解できる。というかそれが共通知識って感じ。ヨーロッパは、というかフランスあたりはもろ戦場だった。今でも不毛の地は多く残る。常識。

主人公は若い息子コンラッドじゃなくて、父親のオックスフォード公最初に妻(母)メアリーがコンラッドとの会話で、「アーサー王と円卓の騎士」を引き合いに出していて「随分唐突?」となったけど、コードネームのことをすっかり忘れていた。なるほど、コードネームの由来はここにある。でも亡くなったコンラッドが目指した騎士「ランスロット」を永久欠番にはしなかった(戦場でコンラッドに頼まれて入れ替わったアーチー・リードがランスロットとなった)。

コンラッドが伝令のメッセージを回収しにいくシーンはもろ、『1917』だった。塹壕戦の凄まじさをキングスマンで感じるとは思わなかった。ブラックユーモアに溢れるのがキングスマンなので…。他のシリーズとは少し毛色が違う。私はコリン・ファースが見たかった(無理)。ただ、コンラッドは後の「キングスマン」のキーパーソンかと思ったのに、ミッションを果たしてそこで死んでしまう。まぁ父親に反駁する息子は、自分の過ちを認めながら死にますよね…。

黒幕は「羊飼い」と呼ばれていたけど、「羊飼い」ってなんだろう。近代以前のスコットランドは羊の飼育の中心であったみたいだけど…。黒幕スコットランド王?とか思ったけど全然小さかった。まぁそういう小さい存在でも足蹴にしてると悲惨なことになるよ、ってことだとも思うけど。

ラスプーチンの退場意外と早かったし、ユアン・マクレガー(役の名前を忘れた)はしぶとい。第一次世界大戦が終結した後、レーニンとヒトラーが登場することになるけども、この二人さえ「悪の組織」の一員であったとする設定はぶっ飛びすぎているし、笑うに笑えない気がする。

晴れて国家に属しないエージェント「キングスマン」が誕生日するわけだけど、主宰者とはいえ、ジョージ王の面前でアーサー王王を名乗るオックスフォード公強すぎるな。ちなみに創立メンバーは以下のとおり。

アーサー王:オックスフォード公
ランスロット:アーチー・リード(コンラッドと入れ替わった伍長)
ガラハッド:ポリー・ワトキンズ(オックスフォード公の使用人)
マーリン:ショーラ(オックスフォード公の使用人)
パーシヴァル:ジョージ王(英国王)
ベディヴィエール:アメリカ合衆国大使

そしていくら従兄弟とはいえ、ジョージ王、ニコライ2世、ヴィルヘルム2世の3人を一人に演じさせるのは無茶すぎる(笑)こういうところは「キングスマン」の流れかな。前2作みたいにばかすか笑うことはできない、わりと真面目な映画。蔑ろにされがちな使用人がキングスマンの活躍に一役買ったり、創立メンバーとなっていたりと、「何が」紳士(男女問わず)を作るのか、その理念が詰め込まれた映画。地位や名誉ではない。

1番の驚きは“Manners maketh man.”というキングスマンの名台詞を放ったのが、悪玉の黒幕だったということ。「えっっ君がそれを言っちゃうの…?」という。

5.Spider-Man: Homecoming(2017)

1月8日。Netflix。Directed by Jon Watts.

トム・ホランドのスパイダーマンは全部見ていたけど、「ノーウェイホーム」の復習に鑑賞。

彼の演じるピーター・パーカーは、等身大の高校生!という雰囲気が滲み出ているところが好き。あとフラッシュが憎めないキャラクターになっているところも良い。ちなみにこのフラッシュ、シャマランの『OLD』に出演している俳優さんだった。

ヴィランは「彼女の父親」(名前わからん)。ウルトロン戦争の残骸で武器を製造して密売していた。死にはせず、刑務所で服役。多分反省している。

6.Spider-Man: Far From Home(2019)

1月8日。Netflix。Directed by Jon Watts.

ヴィランはトニー・スタークに捨てられた(?)人たち。ミステリオに……。俳優さんどこかで見たことある顔だな〜と思っていたら彼だった、ジェイク・ギレンホール。顔が濃い。

フューリーお腹なんとかせい、って感じ。

7.Spider-Man: No Way Home(2021)

1月11日。横浜ブルク13。Directed by Jon Watts.

全てのスパイダーマンファンに捧ぐ──

って感じの作品だよね!めちゃくちゃ良かった。ご近所の手伝いだけじゃなくてアベンジャーズに入りたい!もっと大きなミッションをこなしたい!とHomecomingではやけになっていたのに(アベンジャーズに入らず、地に足をつけてご近所を助けていくという選択をしたうえで)、たとえ世界に忘れ去られても、世界を救うという選択をしたピーター・パーカーはヒーローそのものだよね。

歴代ヴィランが集結しちゃうことに気を取られすぎていて、歴代スパイダーマンまで登場すると思っていなかったので、登場した時はなんだかジーンとしてしまった。3人揃うとやっぱりトムホのピーター・パーカーは子供だね〜

アンドリュー・ガーフィールドが落下するゼンディヤに間に合ったシーンがめちゃくちゃ泣けた。作中屈指の名シーン。私はここが一番好きだな。MJが塔の上から落ちていくところで、これはアメージング・スパイダーマンのリベンジだと確信した。アンドリュー・ガーフィールドの「今度は助けられた(間に合った)」という安堵の涙がめちゃくちゃよかったし、この文章打っている時点でも思い出して泣ける。ほんと、良かった。アンドリュー・ガーフィールド最高。アメスパ最高。このシーン考えてくれた人ありがとう。この段落全て太文字にしたいくらい良かった。

自分を卑下するピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)に対する、ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)の「君はアメージングだ!」連呼はおもしろかった。初見の人でも分かるようにという配慮かな(アンドリュー・ガーフィールドは「アメージング・スパイダーマン」のピーター・パーカー)。

初代ピーター・パーカー老けてるし、スイングのしすぎで腰痛めるとか笑えた。

キャプテン・アメリカの盾を持つ自由の女神像でのヴィランたちとの戦いにおいて、ピーターが3人もいるので1、2、3と番号振っていたけど私も最初、トビーと同じ番号の振り方かと思ったよね。実際には次のとおりだった。

“ピーター1” トム・ホランド
“ピーター2” トビー・マグワイア
“ピーター3” アンドリュー・ガーフィールド

ピーター2は映画の順番的にガーフィールドかと思ったのに!

ちょっと3シリーズのメモ。

ヴィラン編
▼ピーター2 
グリーン・ゴブリン(オズボーン社社長),
オクトパス(核融合エネルギーの研究者),
サンドマン(ベンおじさん殺害の犯人)(とヴェノム)
▼ピーター3  
トカゲ(オズボーン社研究者のコナーズ教授),
エレクトロ(オズボーン社電気技師のマックス)
▼ピーター1 
彼女の父親(武器の密売),
ミステリオ(人為的に作り上げられたヒーロー)

Homeシリーズだけオズボーン出て来ないよね。代わりにスタークの会社がバンバン出てくる。

親友編
▼ピーター2
途中複雑になったけど、最後にはわだかまりが解けて、ピーターの腕の中で死んだ
▼ピーター3
完璧に仲違いコース(続編が出そうな感じで終わってしまった)
▼ピーター1
「ピーター・パーカー」という存在自体を忘れられる

ピーター1がめちゃくちゃ悲しいな。“MJ”の存在も、シリーズを経るごとにその役割が大きくなっているよね(“”でくくったのは、ピーター3だけMJじゃなくグウェンなので)。そしてピーター・パーカー(確かトビー・マグワイア)の「僕らに恋愛は遠いね」みたいなセリフね。無事回収してくれちゃったよね。

トムホのスパイダーマンではベンおじさんに触れて来なかったなか、メイが「大いなる力には大いなる責任が伴う」と言った瞬間、「あ、これは死ぬな」と思った。

プロモーションで、「さようなら、親愛なる隣人」とあるけど、実際は「さようなら、ピーター・パーカー」になるんですね。スパイダーマンはその後も存在しているので。でもピーター忘れられちゃったらもう、アベンジャーズへの合流も無くなるのかな。

『ヴェノム: レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のエンドロール後のおまけに対応するシーンを入れてくれたの、さすがマーベルは分かっている。にやにやしながら見てしまった。
そして次はドクター・ストレンジが戻ってくるのね。意地でまだディズニープラス加入していなかったけど、これは加入せざるを得ない(まだ未履修のMCUシリーズがある)

これはIMAXで観てよかったし、もう一度観たい。パンフレット買わなくていいか〜と思っていたけど、やっぱり買おうか迷う。まぁ今完売しているらしんだけど。

ピーター・パーカーの帰る場所は無くなってしまったけど、スパイダーマンはこれからも「親愛なる隣人」であり続ける。
“No Way Home”の意味が切ない映画でした。

追伸、
NWHも良かったけど、それとは異なる次元でアメスパが一番好きかもしれん。

8.Don't Look Up(2021)

1月13日。Netflix。Directed by Adam McKay.

風刺たっぷりのSF喜劇なんだけども、現実になりそうすぎて笑うに笑えない。タイトル日本語にしたら、「烏は白い」になるんじゃないか。

やっぱりディカプリオすごいな〜、ほぇ〜、とか言いながら見ていた。アリアナ・グランデに作中でライブさせちゃうとか、お金のかけ方も違う。そもそもキャストが豪華すぎる。

“Don't look up”は中間選挙のキャッチフレーズ。空を見上げなければ巨大な彗星が見えないからといって、その存在が消えてなくなる訳じゃないのに。

ところでピーター役の俳優さん誰だろう。すっとぼけ度合いが妙にしっくりきた。

9.沈黙─Silence─(2016)

1月20日。Netflix。Directed by Martin Scorsese.

アンドリュー・ガーフィールドが出ていたので鑑賞。めちゃくちゃ重い話。江戸時代初期、鎖国してキリスト教徒を迫害していた頃に日本へやってきたイエズス会のロドリゴ神父の「信仰」の物語。思想に関しては、私は日本寄りで見てしまった(劇中の表現を使うなら、「キリスト教の神は理解できない」気がする)。

「神は沈黙するが、人間は───」というロドリゴ神父の(心の中の)台詞が印象深かった。心のうちは誰にも分からない。

背景であり、かつストーリーに組み込まれた自然への畏怖(例えば水磔)が所々に散りばめられていて、キリスト教と、日本の八百万の神的な要素が感じられた。雨だとか霧だとか大波だとか、場面の作り方がなにより黒澤明っぽい気もした。

10.The Power of the Dog(2021)

1月23日。Netflix。Directed by Jane Campion.

これは最後まで見て初めておもしろいやつ!逆に最後まで見ないと「?」となる。ベネディクト・カンバーバッチの演技に圧倒。めちゃくちゃ役が似合っていた。「男」らしさという有害性をぶっ刺していくラストがすごい。

11.John Wick(2014)

1月23日。Netflix。Directed by Chad Stahelski.

随分前からキアヌ・リーブスが気になっていたので。本当は『ハクソー・リッジ』を見る予定だった

12.Grand Budapest Hotel(2014)

1月26日。Disney+。Directed by Wes Anderson.

ついにDisney+デビュー!一作目がディズニー関係ない『グランド・ブダペスト・ホテル』なのはご愛嬌。前々から気になってたんだよ〜!

どうやら本作は、シュテファン・ツヴァイク『昨日の世界』に着想を得た作品らしい。読んでみよう。

地味に出演している俳優陣が豪華、豪華。シアーシャ・ローナンこんなとこにおるやん、っていう。主演はレイフ・ファインズで、この前『キングスマン』でお目にかかったね〜!という謎の親近感。

舞台に一風変わった雰囲気を纏わせる作品好きです。他だと『落下の王国』とか。監督たちのセンスがいいよね〜!と言えば言うほど、自分の中で株が上がる。よし、これは今のうちに円盤買っておこう。最近円盤をよく買う気がする。お金が出ていく。

ホテル運営のドタバタを切り取ったストーリーかと思っていたら、今は廃墟となってしまったものの、その昔は栄えていて、前任の支配人の身に降りかかったドタバタをおもしろおかしく描いた作品だった。ホテル自体はどこかふわふわとした仮想の存在のようで、根はきちんと山頂に生やしているというなんとも不思議な雰囲気の作品。

13.Tick, tick... BOON!(2021)

1月26日。Netflix。Directed by Lin-Manuel Miranda.

違うんだ、アンドリュー・ガーフィールドが出演していたから見たんだ。こんなに感動する予定ではなかったんだ。明日からの通勤電車で聴く音楽になるとは思わなかったんだ。っていうくらい良かった〜!アメリカのミュージカルに興味が湧いた一作。そもそも私はミュージカルを一度しか観たことがない。

シーンの入れ込み方とか、見やすいようにすごく工夫されているし、ミュージカル作品だからか、音楽の使い方(入れ込み方)がやっぱり絶妙。

アンドリュー・ガーフィールドの、どこかなよなよ(頑固なくせに踏ん切りがつかない様子)している感じが、役柄に現れていてとても良かった気がする。モデルとなったジョナサン・ラーソンは35歳で亡くなっているそうだから、30歳で夢への道筋が見えてきてそこからの、本当に刹那的な「青春」を描いた映画。青春ってなぜか「男女」の「恋愛」と結び付けられるイメージが強いけど、その人自身の精神的に活力あふれる様子をとらえた、辞書的な意味の方が私は好きです。

夢や希望に満ち活力のみなぎる若い時代を、人生の春にたとえたもの。青年時代。「―を謳歌 (おうか) する」「―時代」(出典:デジタル大辞泉)

14.Hacksaw Ridge(2016)

1月29日。Netflix。Directed by Mel Gibson.

白状します、アンドリュー・ガーフィールドにはまりました。というわけで第二次世界大戦の決戦の地となった沖縄・前田高地(通称「ハクソー・リッジ」)を舞台に、キリスト教の教え「汝 殺すなかれ」を貫いた実在の衛生兵デズモンド・ドスの戦いを描いた映画を観ました。

アンドリュー・ガーフィールド、キリスト教が関わってくる映画と絡むこと多くないですか?っていっても私が見たのは2作ですけど……。

「信念はその人自身だ」「信念を曲げることはできない」「信心深くはないけど、お前(ドス)の信念は本物だと信じられる」という台詞が妙に心に残った。

日本軍の必死の抵抗で仲間にも多くの犠牲を出し、退却を余儀なくされた状況での「戦場で銃を持たない自分に何ができるのか」というドスの問いに、神が答えるのではなく、「衛生兵!」「助けてくれ!」と叫ぶ「人の声」が答えた描写が、デズモンド自身の信念の強さが現れているようでとても良かった。

メル・ギブソンは人格がどうのこうの言われている人らしいけど、映画に関しては天才らしい。あんまり見たことないけど分かる気がする。というわけで次に見る映画はメル・ギブソン縛りになるかもしれん。

戦闘、というとなんだか若干の秩序が残る気がするのでこの映画には似つかわしくない単語だと思う。日米両軍が激突して何が何だかわからない状況の凄惨さを、視覚的に直接的にめちゃくちゃ見せてくる。これでもかってくらい。銃撃ではらわたは飛び出るし、手榴弾で足や頭が吹き飛んでいく。死体にはうじ虫やネズミが群がる。一般的には超グロいの部類に入るのだと思うが、戦争映画をよく見る私は慣れてしまった(やばいな)。

14.5.The Little Things(2021)

2月1日。Netflix。Directed by John Lee Hancock.

デヴィッド・フィンチャーの『Seven』みのあるラストだった。デンゼル・ワシントン扮する老保安官代理から、気鋭の刑事への"No Angel".というメッセージが印象的。救いはない、的な。直接的な描写を控えめにしつつ、主人公二人に何が起こったのかを描き切っていた。「デュークに関わるな」という忠告を、些細であるとして耳を貸さなかったバクスター刑事。キーワードは終始「些細なこと=リトル・シングス」であった。

ところでデンゼル・ワシントン初めましてでした。TENET主人公のお父さん。ジャレッド・レトの不穏感はともかく、『007: No Time to Die』の悪役の印象が強かったラミ・マレックが正義側の刑事役とのことで、「これはいい人の役なのかな?」と思って見ていたけど、ラストで「やっぱりそうですよね〜」という謎の納得感があった。

14.5なのは、ところどころ流し見していたからです。ちゃんと見ればよかったな。

15.American sniper(2014)

2月2日。Netflix。Directed by Clint Eastwood.

とりあえず巨匠と呼ばれる監督の作品を見ようと思った。

全然関係ないけど、『ミステリという勿れ』バスジャック事件の時の「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いに対する久能整くんの台詞が脳内で再生された。

なぜ人を殺しちゃいけないのか。いけなくはないんだけど。ただ、秩序のある、平和で安定した社会を作るために、便宜上そうなっているだけです。だって今は殺しちゃいけないってことになってますけど、ひとたび戦時下となればいきなりOKになるんですよ。それどころかたくさん殺した方が誉められるって状況すらある。

本作の主人公クリス・カイル(そして実在の人物)は、そんな秩序と混沌の場を行ったり来たりしていた。「戦争に影響されない人間はいない」、ほんとそのとおりな気がする。

16.Munich−The Edge of War(2021)

2月2日。Netflix。Directed by Christian Schwochow.

邦題は『ミュンヘン:戦火燃ゆる前に』。

見終えて監督誰だっけと調べたタイミングで、この映画を見ようと思っていたことを思い出した。そのきっかけはこのポスター。おしゃれ(映画の内容はなかなかハード)。監督はドイツの人らしい。

半分くらいヒュー・レガート役のジョージ・マッケイ目当てに見ていたけど、当時の英首相ネヴィル・チェンバレンを演じるジェレミー・アイアンズに目移りしていた(73歳らしい)。めちゃめちゃいい味出してる。

戦争を回避するための「外交努力」の場としてのミュンヘン会談を描いた映画。世界史をだいぶ忘れてしまったのでググったところ、チェンバレンはナチス・ドイツに対する宥和政策を取ったことで、歴史的大失態とまで言われているらしい。この映画ではチェンバレンをそこまで悪く描いていない。むしろ最悪の状況の中、最善の道を探し続けた首相として印象づけられている。目の前の戦争を(ズデーテンを犠牲に)一旦回避して、避けられないだろうドイツとの戦争へ準備するための時間稼ぎとしては成功したという肯定的な立場からの映画。なるほどだからか、ラストでヒュー・レガートが秘書を辞めて空軍に入隊すると言ったのは。

アクションシーンはないけど、渋みのある映画。『裏切りのサーカス』に近い。誰も死んでないスパイ・スリラー(?)。

それにしてもポスターがわたし好みだな〜!

17.Iron Man(2008)

2月4日。Netflix。Directed by Jon Favreau.

勝手にマーベル作品再履修キャンペーン。なぜかアイアンマンだけDisney+で見れなかったのでNetflixで視聴。

監督がハッピーだったことに驚き!そしてハッピー全然出てこない!笑

「死の商人」兵器製造を生業とする社長が、人を殺すためではなく、人を守るためにヒーローになる物語。割と紛争シーンあるから、病院で手術待ちの時間に見るには不謹慎だったかもしれない。でもこういう王道アクション(そしてときどきコメディ)は、私は割と元気が出る。アメリカン・ジョーク最高。

ヴィランはテン・リングスと、その黒幕であったスターク社のオクタヴィア(トニーの父の友人?)

18.Captain America: The First Avenger(2011)

2月4日。Disney+。Directed by Joe Johnston.

マーベル作品再履修キャンペーン第二弾。時系列で見ていく。強靭化される前のスティーブ・ロジャーズ、痩せすぎだよな〜

感想特に出てこないな。見るのは2回目だしな。

ヴィランはレッドスカルとか。あ、ヒドラか。

19.Captain Marvel(2019)

2月5日。Disney+。Directed by Anna Boden & Ryan Fleck.

ヴィランはクリー人(クリー帝国)。ジュード・ロウ。

20.Iron Man 2(2010)

2月5日。Disney+。Directed by Jon Favreau.

ハッピーがちょいちょい出てくる。横ワイプでの場面切り替え、ハッピーが好きなのかな。

ヴィランはスターク社の社員だった男の息子。ハマーはおまけ。

21.Thor(2011)

2月6日。Disney+。Directed by Kenneth Branagh.

監督がケネス・ブラナーなのが驚き。洋画を見ていると、俳優としてキャリアを積んだ人が映画制作も多くやっていることに気づく。ナタリー・ポートマンが美人。邦題で付け加えられている「マイティ」はmighty; 力強いという意味らしい。

ヴィランはロキ。とヨトゥンヘイムの巨人たち(?)

22.Marvel's The Avengers(2012)

2月7日。Disney+。Directed by Joss Whedon.

アベンジャーズがちらほら出てくる作品では、ヴィランが宇宙からやってくる設定なのね。逆に個々のヒーローの作品では、身近なところから敵が出てくる。

舞台はニューヨーク。ヴィランはロキくんとチタウリの軍隊。ロキくんなぜか憎めない。

23.Thor: The Dark World(2013)

2月7日。Disney+。Directed by Alan Taylor.

およ。ソーの前作と監督が違う。ここまで一気にマーベル作品見てると、フィクションの度合いが増してリアリティ差が感じられなくなってくる。特にソー関連は神代の「伝説」的な要素が多めなので余計。「原始、世界は闇であった───闇の帝王(?)マレキスが惑星直列の機を狙って世界を闇に戻そうとした───」ここまでくるとロマンの域を超えてなんだか味気なくなって胡散臭さが増してくる、とは私が感じただけ。

ヴィランは闇の世界の住人。ロキくんとは今回臨時にタッグを組む……も……?

ロキくん何度生き返るねん。

24.Iron Man3(2013)

2月7日。Disney+。Directed by Shane Black.

およ、これもアイアンマンの前作から監督が変わってる。ジョン・ファヴローが降板したのか。

個人的にはアイアンマンが、一番人間臭いヒーローだなぁと思っている。まぁ元武器商人で、リッチで遊び人、という印象は「一般人」には程遠いんですが。なんというか、己の欲求に忠実。ヒーローがパニック障害を持つこともある、ということを描いている作品でもある(あまり強調されてない気もするけど)。

前作よりも横ワイプが多かった。多すぎ。無理やり切り替えている雰囲気が出るので、私はあまり好きじゃない。

ハッピーが警備部長になっていた。トニーのハッピーへの親友愛なるものも垣間見れるよね。「出入りする人間は全員IDカードを付けるように」って。Proof that Tony Stark has a Heart.

25.Captain America: The Winter Soldier(2014)

2月8日。Disney+。Directed by Anthony & Joe Russo.

MCUイチの推し、ジェームズ・ブキャナン・バーンズの大活躍(?)が観れる作品!なぜかバッキー・バーンズが好きなんだ。セバスチャン・スタンが演じるウィンター・ソルジャーが好きなんだ。この作品のセバスチャン・スタンはとてもスマートでスタイリッシュでクールじゃないですか!!(『悪魔はいつもここに』は中年男を地で行く感じだったあのぽよよんとしたお腹がちょっと……)

お互いに(?)70年の眠りから覚めた、キャプテン・アメリカとかつての親友との対峙をベースに物語が展開される。次の和歌は恋の歌として知られるけども、この二人の関係からはついこの和歌が浮かんでしまう。

瀬を早み 岩にせかるる 滝川の
われても末に 逢はむとぞ思ふ
(崇徳院)

監督は『エンドゲーム』で有名なルッソ兄弟だったのね!今は亡きチャドウィック・ボーズマンが主演を張った『21ブリッジ』も良かった。

今作のヴィランは、キャプテン・アメリカ一作目に引き続きヒドラ。「頭を一つ切り落としても、そこから二つ生えてくる」とかいう訳わからないモットーを掲げる秘密組織。

26.Guardians of the Galaxy(2014)

2月9日。Disney+。Directed by James Gunn.

めちゃくちゃ笑えるこの映画。クイルとロケットの皮肉合戦がたまらないね!GotGのメンバーが、最初は凹凸「仲間」ですらなかったことをようやく知った。

ブラッドリー・クーパーが出演しているとのことだけど、見た目じゃ全然分からん。ロケットの声役だったらしい。まじかいアライグマくん(声はブラッドリー・クーパー)。しかもグルートの声はヴィン・ディーゼルだと…?キャスト豪華すぎでは…?

ヴィランはクリー人テロリストのロナン。サノスの配下だったっぽいけど裏切りおって。

27.Guardians of the Galaxy Vol.2(2017)

2月10日。Disney+。Directed by James Gunn.

ミニグルートがかわいい。ベビー・グルートか。

ソヴリンの女王アイーシャ、全身金色で特徴掴みにくかったけどあれだ、エリザベス・デビッキだ。TENETに出演してた人。スタン・リーはどれだけカメオ出演すれば気がすむんだ笑。

ヴィランはピーター・クイルの生物学上の父親、セレスティアル(天人)のエゴ。名前からしてなんかもう超利己的な気がする。

28.Call Me By Your Name(2017)

2月10日。Amazon prime。Directed by Luca Guadagnino.

『君の名前で僕を呼んで』。タイトルとティモシーで見た。背景が現在に近いから忘れてしまうけど、物語の舞台は1980年代のイタリア。

ぼけっと見ていたけど、他の人のレビューなどを読んでいて、「古代ギリシャ」への憧憬にプラトンの「饗宴」に登場する神話などなどが挿入されていることにはっとした。タイトルも片割れ(自身の半身)探しから来ている。こういうことに気が付けるようになりたい(本も読め)。

29.Free Guy(2021)

2月12日。Disney+。Directed by Shawn Levy.

監督はNetflixの人気ドラマ『ストレンジャー・シングス』も手がけているらしい。キーズ役の俳優さん同じだね。

ゲームの背景(モブ)キャラが、自我に目覚めて夢を掴もうと奮闘する物語。ライアン・レイノルはやっぱり最高では。めちゃくちゃ笑える。でもあまり感想出てこんな。

30.공작(2018)

2月13日。Netflix。Directed by ユン・ジョンビン

邦題は『工作─黒金星と呼ばれた男─』。

スパイが、「工作員」と表現される理由が分かるような一作。政界や社会の出来事が、裏の裏で工作された上に成立しているという。諜報員とは異なる存在。

最初の30分くらいは、誰がどの組織に所属して、何のために何をしようとしているのかを把握するのに精一杯だった。複雑。

この人(黒金星)がファン・ジョンミンなんだ!初めましてでした。エンタメ的には売れないのかもしれないけど、よりリアルに近い作品な気がする(スパイのリアルを知らないのでなんとも言えんが……)。

31.Avengers: Age of Ultron(2015)

2月15日。Disney+。Directed by Joss Whedon.

舞台はソコヴィア。ヴィランはウルトロン(AI?)。

ホークアイが結構ストーリーの核心にいる。家族という存在が欠けている人たちの、「仲間」の物語でもあるのかもしれない。そう見るとホークアイは特殊やね。前作ではコールソンがアベンジャーズを団結させていたけど、今作ではホークアイがその役割を担っている。

エンドロールがギリシャ神話を彷彿とさせる彫像たち。

新しく生まれた子供の名前が、クイックシルバーを偲んでピエトロ。

32.Ant-Man(2015)

2月15日。Disney+。Directed by Peyton Reed.

原案と脚本でエドガー・ライトが関わっていたの初めて知った!

苦境に陥ると犯罪に走ってしまう主人公が、その経験を活かしてヒーローになる映画。悪と正義は紙一重だし、悪でも娘にとっては正義のヒーローかも知れないという人間社会の複雑さよ…。

アリの視点で世界は見ても、アリのことはあまり考えられてない点は、普通のヒーロー映画化ですよね。おもしろいから嫌いじゃないけど。

33.Captain America: Civil War(2016)

2月16日。Disney+。Directed by Anthony & Joe Russo.

復讐

ダニエル・ブリュールをいつもユアン・マクレガーと思ってしまう。

舞台はウィーン、ベルリン、シベリア(?)スパイダーマンが参戦すると結構コメディになるよな。マーベル作品の中では『シビル・ウォー』が割と好き。バッキーが登場するので。

34.Black Widow(2021)

2月16日。Disney+。Directed by Cate Shortland.

『アベンジャーズ』でロキがナターシャに「血濡れの過去」というから、もっと薄暗い暗殺の過去を描くのかと思ったら案外そうでもなかった。

ナターシャの過去よりも、ウィドウたちを生み出す過程で搾取されてきた少女に焦点を当てている。「ドレイコフ」役のキャラクターに、いかにも搾取してそうな外見を当てているのが微妙。

舞台は…空中??ヴィランはウィドウを排出する機関レッド・ルームの創始者ドレイコフ??

35.The Dig(2021)

2月17日。Netflix。Directed by Simon Stone.

バジル・ブラウンが発掘した、サットン・フーという中世英国の船葬墓Ship burialに焦点を当てた映画。タイトルどおり、掘って掘ってひたすら掘る。そこまでいかないけど。船を墓にするなんて粋な慣習だな。

原題は「掘る」そのものだけど、邦題の『時の面影』も嫌いじゃない。実際、「時」との向き合い方がこの映画のテーマだったりする。「時が意味をなさなくなった」というレイフ・ファインズの台詞が象徴的。

発掘された船を宇宙船に見立てて空を航海するシーンが美しかった。隠喩で静かにストーリーが流れていく感じ。宇宙において、500年はあっという間なんだ。

発掘当時、戦争が始まる時期だったらしいけど、物を一瞬で破壊する戦争と、連綿と続く悠久の時を感じさせる発掘との対比が印象的に描かれていた。

36. The Day After Tomorrow(2004)

2月18日。Disney+。Directed by Roland Emmerich.

昨日は土の映画を見たけど、今日は雪の映画。雪っていうか水かな。環境変動により未曾有の大災害が発生し、氷河期が訪れた地球で混乱する人々を描いた作品。大都市ニューヨークが雪に埋もれているシーンは、『天気の子』の水没した東京や『塩の街』を思い出した。

タイトルは「明後日」という意味ではなく、「明日以降の未来」なんて考えられない世界という意味が含められている。今この瞬間どうするのか、その選択が生死を左右する。

そこそこ科学技術が発展している時代の話ではあったけども、電気もガスも、ライフラインが全て止まった極寒のニューヨークで生き残るには「人類の叡智」である書物を燃やして暖を取っていた。図書館で使われなくなった暖炉が役に立ったように、「古いもの」も馬鹿にはできない。取られたくない税金について記された「税法」の本だって役に立った。そう思うと結構皮肉がきいている作品。混乱するアメリカ市民を受け入れたのも「途上国」であるメキシコだった(これは明確に描写されている)。

環境は一国の問題ではない。ISSに滞在する宇宙飛行士だけが切り離されていた。

ジェイク・ギレンホールがめちゃくちゃ若い。

37.Black Panther(2018)

2日18日。Disney+。Directed by Ryan Coogler.

「実際には違いより、共通点の方が多い」という名台詞をチャドウィック・ボーズマンに言わしめた作品。ついでに「愚者は壁を作る」とも言っている。2018年当時の時流がふんだんに反映された作品。

マイケル・B・ジョーダン、どこかで見たことがある気がする。ブラック・パンサーを見るのは2度目なので、もしかするとブラック・パンサーで見ただけかもしれないけど。

38.Never Let Me Go(2010)

2月19日。Disney+。Directed by Mark Romanek.

カズオ・イシグロの『私を離さないで』を原作とした映画。臓器提供者として人間のクローンを作成するようになった世界で、「命」の差について考えさせられる作品。提供者として生まれた彼らは2.3回の提供を経て生命を人工的に終了completeしていく。臓器提供者と、それを受ける者で何が違うのか。とても重かった。

臓器を摘出する手術室は、有益な臓器を生産する人体の工場のようで、提供者が人として扱われていないことが明らかだった。特にルース(キーラ・ナイトレイ)が3度目の「提供」に耐えきれず、その生が失われた後。せめて縫合くらいしてくれ。あまりにも酷すぎる世界が描かれているけど、これを良しとする人も存在しそうなところが怖い。

アンドリュー・ガーフィールドが良い。『時の面影』に出演していたキャリー・マリガンがここに。若い。この人結構たくさんの作品に出てる。『プロミシング・ヤング・ウーマン』とか見てみよ。

日本でも綾瀬はるかを主演としてドラマ化されていた。当時の私には重すぎて見ていなかったけど。原作を読んでみようかな。

39.Dr. Strange(2016)

2月19日。Disney+。Directed by Scott Derrickson.

最初の「天才外科医」スティーブン・ストレンジ、クズだね。「天才外科医」がないとやっていけない人間。

ドクターからミスターになってマスターになるけど、最終的に「ドクター」と冠しているのはなぜだろう。

ティルダ様美しすぎるし、キャストが豪華。マッツ・ミケルセンは悪役がお似合いですよね(?)音楽がマイケル・ジアッチーノだった。

40. The Life Aquatic with Steve Zissou(2004)

2月20日。Disney+。Directed by Wes Anderson.

この監督の作品を見ると元気になれる。映像美に圧倒される映画も好きだけど、ウェス・アンダーソンの作り出すどこか懐かしい感じの世界に浸るのも好き。わざと少しずつ何かをずらして作品が作り上げられている感じがする。それがめちゃくちゃいいんだけど。

41.Braveheart(1995)

2月20日。Disney+。Directed by Mel Gibson.

13世紀スコットランドの英雄ウィリアム・ウォレス、そしてスコットランドの自由と独立のために戦った人々の物語。3時間は長かったけど、3時間で収めたのもすごいな。

「イギリス」「イギリス」と言いがちだけど、一国の背景が複雑で、何と言ったらいいのか分からなくなる。日本は単一民族とかいう幻想に浸かりすぎて、ブリテン島におけるイングランド、スコットランド、ウェールズのそれぞれの存在感?意識?にいまいち感覚を働かせにくい。民族的なナショナリズムよりも「社会」に違いがあるんだろうけど。

同監督の『ハクソーリッジ』よりも映像は過激じゃないけど、それに劣らずなかなか戦場のリアルを映している。平原で向かい合う戦闘シーンで、指揮官の指示で弓兵が退いて騎馬兵が攻め入る様子を見ていると、チェスは戦闘そのものなんだなとか思てくる。

銃がない時代の殺し合い、グロすぎるな。

それにしてもこの作品でスコットランド独立の機運が高まったというから、映画やその監督の力が凄すぎる。ブルース伯爵のように煮え切らない態度を取るのではなく、ウィリアム・ウォレスのように、「信念に生き」たい人々の共感を多く得たんだろうな。

字幕が「英国」表記になっているけど、さすがにこれは「イングランド」にした方が良いと思います。

42.Thor: Ragnarok(2017)

2月21日。Disney+。Directed by Taika Waititi.

「ラグナロク」も「バトルロイヤル」も、その場面自体は一瞬すぎて副題っぽくない気もするけど、アスガルドの再出発という点で見たら、「ラグナロク(終末の日)」でいいのかなと思う。

「アスガルドは場所ではない、民だ」というオーディンの台詞はナショナリズムっぽいけど、単に「故郷」という意味もあるのかなと思う。

北欧神話っぽくない世界だけど、核にはちゃんと北欧神話があるシリーズ。やっぱりロキくんがおもしろい。悪戯の神様。ソーも脳筋なだけじゃなく、ちゃんと成長しているらしい。自分で言っていた。

舞台はアスガルド、ヴィランはオーディンの最初の子にしてソーの姉、死の女神のヘラ。ケイト・ブランシェットが演じる。オーディンにいたってはあのアンソニー・ホプキンスが演じていてめちゃくちゃ驚き。最近noteで映画の記録を取る時、キャストについてしか書けなくなってきた。

43.Ant-Man & the Wasp(2018)

2月24日。Disney+。Directed by Peyton Reed.

コメディめっちゃ?そこそこ?コメディ。絶対そんな簡単にワスプ見つからんだろって感想しか出てこない。フィクションなのでしょうがない。

44.Avengers: Infinity War(2018)

2月25日。Disney+。Directed by Anthony& Joe Russo.

2度目の視聴。1度目に見た時はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーやらを飛ばして見ていたけども、今回はMCU作品時系列で全部見るキャンペーンを踏破してきてからの視聴。理解度が全然、まではいかないけど125%くらいは増している。予備知識のなかった1度目は無理やり理解していたけど、今回はすんなりと入ってきた。そういうことだったのね、と辻褄が合っていく感じ。

そして私の頭の中よりもサノスは紫だった。圧倒的な力を持つ人(?)が、異なる意見に耳を傾けることもなく強制的に指パッチンして宇宙人口の半分を消滅させる。やっていることは違うけど、ロシアの問題に通じるところがある。

ここまでヒーロー作品を見てきて、ソーが一番英雄っぽいなと思った。なんとなくだけど。「そこに山があるから登るんだ」と登山家が言うように(?)、「そこに助けを求める人がいるから助けるんだ」という台詞が似合いそう。そして同時に人間臭くもある。クリス・ヘムズワースそんなに好印象ではなかったけど、この俳優さんの演じるソーは納得感がある。ロキとの絡みもおもしろい。

全く意図していないけど、2022年44作品目がインフィニティ・ウォーになったのはちょっと何かを感じる(映画のエンディング的に)。

ハルク役の俳優さん、めちゃくちゃ有名な人なのにいつも名前を忘れてしまう。彼はマーク・ラファロ、マーク・ラファロ……。

45.Avengers: Endgame(2019)

2月26日。Disney+。Directed by Anthony & Joe Russo.

エンドゲーム好きだけど、ホークアイも好きだけど、東京のシーンで刀持って戦っているのだけは解せない。侍の格好してるとかなら分からんでもないけどな……。

エンドゲームでの死者がトニー・スタークとナターシャ・ロマノフだけだった。ブラック・ウィドウのエンドクレジットで仄めかされていたけど、なるほどこれがホーク・アイにつながるのか。すっかり忘れていた。「魂には魂を」という台詞、結構深いなと思う。

エンドゲームも例によって2回目の視聴だけども、トニーが役割を終えて亡くなるシーンは、今後何度見ても涙が出ちゃいそうだ。

ラスト、トニー・スタークの追悼シーンでシールドの面子の前に立っている青年誰かと思ったら、アイアンマン3でトニーを助けてくれた少年だったらしい。いや全然忘れてたよ……

エンドゲームはMCU作品見てからの方が楽しめるね。深く考えるの面倒なんだけど、これらのシリーズは全部「家族」がスタートになっている気がする。揉め事の原因にもなるし、再結集もしていく。最後の戦闘シーンは、「人類は一つの家族だ」から、普段は内輪揉めもするけど、外なる敵に共闘するぞ!を地で行くような雰囲気もある。

トム・ホランドのスパイダーマンシリーズ見てからだと、ピーター・パーカーとトニー・スタークの関係ってそんなに深かったっけ?と思いつつも、ピーターのトニーを慕う思いになぜか涙が出てきてしまう。

前回見た時も「何で泣けるんだろうな」を考えようと思って、結局考えずにやめた気がする。めちゃくちゃ面倒くさがりなので……。

それよりやっとロキのドラマを見れる〜!「その後」のドラマを見たくて、ここまで頑張って見てきた〜!時間の浪費って知ってる〜!

46.King Arthur: Legend of the Sword(2017)

2月26日。Netflix。Directed by Guy Ritchie.

音楽からして中世イングランドじゃねぇな感が半端ない。これはガイ・リッチーのアーサー王伝説。というか中世を舞台にしたファンタジー。

アーサー王物語は伝説なので、登場人物の設定は自由でいいと思いますけど(今回ファンタジーらしいし)、ウーサー・ペンドラゴンの弟にヴォーティガーン持ってくるのは流石にどうかと……。そのくせヴォーティガーンの立て篭もる塔の建設のくだりや、生贄(代償)のくだりはちゃっかり組み込んでいる。悪の魔術師なんて名前が反逆の騎士の「モルドレッド」だからな……いややっぱりどうなの…??円卓も取ってつけた感が満載……。

でも人の数だけ「アーサー王伝説」がある、と学びましたー。ローズマリ・サトクリフの『アーサー王と円卓の騎士』ではアンブロシウスがウーサーの兄となっているけど、アンブロシウスがマーリンの別名だとするストーリーもあるし。

「ガイ・リッチー」が強過ぎた映画でしたね。

あ、でもゲーム・オブ・スローンズの俳優さん出てきたのは良かった。エイダン・ギレンというらしい。リトルフィンガー役の人。『炎と氷の歌』も気になってくるな。

47.Red Dragon(2002)

3月9日。Netflix。Directed by Brett Ratner.

お昼ご飯食べながら見る作品じゃなかった(ご飯を食べている時にちょうど食人のシーンが流れてきた)。

ここにもレイフ・ファインズ。しかも真っ裸で走るレイフ・ファインズ。背中全体にはレッドドラゴンのタトゥー。

48. Despicable Me(2010)

3月18日。Netflix。Directed by Pierre Coffin & Chris Renaud.

邦題は『怪盗グルーの月泥棒 3D』。ミニオンズがめちゃくちゃ可愛い映画。ユニバーサルが配給したはじめての3Dアニメ作品らしい。アニメーション映画だと、良くも悪くも、見た目からは制作された年代を感じない(内容的に時代が反映されるものはあるだろうけど)。

落ち目の怪盗グルーが、ひょんなことから3姉妹を引き取ってパパになる話。ミニオンがひたすら愉快。

ミニオンが可愛すぎて、見終えた後にミニオンのゲームをダウンロードしたよね。

49.Despicable Me 2(2013)

3月18日。Netflix。Directed by Pierre Coffin & Chris Renaud.

邦題は『怪盗グルーのミニオン危機一髪』。ミニオンズが攫われて、紫の無敵殺人マシーンになっちゃう。

過去のトラウマから女の子が嫌いなグルーに、好きな人ができて結婚する話。3姉妹に母親ができる話でもある。子供ができてから母親が加わるという、「普通」ではない家族だけど、みんな楽しそう。「家族って幸せだよね」みたいなテンプレは入っているけど、家族にも色々あるよね、って子供向けに言っているのかもしれない。グルーの子供時代も結構描かれているし。

ジェラートにつられるミニオンが可愛い。

50.The Dark Knight(2008)

3月21日。Netflix。Directed by Christopher Nolan.

今度バットマンを見に行こうと思うので、ノーランのバットマンを見ておいた。ビギンズ見ておけばよかった。

正義漢から悪党に転落するトゥーフェイス(ハービー・デント)が出てくることも影響しているだろうけど、この映画ではある人物の「顔」の存在について、わりと強調されている気がする(表の顔と、裏の顔)。そしてヒーローを、一般人レベルの地に落としてくる感じのヒーロー映画。むしろ完璧なヒーローなんて存在しないという悲観的な思いが、暗く湿ったゴッサムの街からにおってくる。

バットマンはヒーローではなく、ダークナイトに過ぎない、っていうのはノーラン視点でバットマンを見るとこうなるよ、って感じ。他のバットマン見たことないけど、どれもこんな感じで描かれているのかな。最後にゲイリー・オールドマン扮するジム・ゴードン刑事が「彼は……ダークナイト(闇の騎士)だ」と呟いた後に、The Dark Knightとタイトルを出してくる演出が憎い(好きです)。

51.The Batman(2022)

3月24日。横浜ブルク13。Directed by Matt Reeves.

約2ヶ月ぶりに映画館で映画!!背筋伸ばして座りたかったので、初めて最後列(の真ん中)で鑑賞。IMAXだからか、普段よく座る中央列あたりとあまり印象は変わらなかった。むしろ、画面いっぱいに広がる「The Batman」のタイトルを眺めるにはちょうど良かった。

ダークナイトと比べると、本作前半ではバットマンの生まれたウェイン一族の存在が目立たないようにされている。一方、後半になるとリドラーによって「ヒーローを演じているつもりかも知れないが、お前はウェインだぞ」と忘れたい過去・環境を突きつけられている。

この映画でのバットマンは明らかにヒーローではなかった。ブルース・ウェインとリドラー、同じ「孤児」でも、生まれた環境が違えばその先(将来)も異なって、両者ともにどちらにも転がる可能性があった。ノーランの『ダークナイト』でジョーカーが、「バットマンがいなけりゃジョーカーも引き立たない」的なことを言っているけど、まさにそんな表裏一体の二人なのかも知れない。

知能犯リドラーによる汚職公務員の公開処刑からの街を取り囲む防波堤の爆破による洪水、そして混乱という筋書きは、人災が災害を生んで混沌に陥ったというふうに描きたいんだろうけど、盛りだくさんすぎてなんだかまとまっていない気もする。ゴッサムシティは悪と混沌に塗れすぎている。本作の延長線上に『Joker』を持ってくるのも納得がいくラスト。

マーベルが王道のアクションてんこ盛りのヒーロー映画を行くのに対して、DCは、というかこのバットマンは、サスペンス?スリラー?寄りな作品に感じる。(P.S.初期コミックスにおけるバットマンは、探偵要素が強かったみたいなので、それは納得。というかバットマンワールド広すぎてとてもじゃないけど追えない……)アクションよりも、拭いても拭いても取れない泥沼の暗さと、その混沌の中に突如として現れる復讐の赤い炎が目立つ。希望は何もなく、バットマンがむしろパンドラの匣を開けて、ゴッサムの混沌が始まる。それも2年目バットマンなので仕方がないのかも知れない。

エンドクレジットで「コリン・ファレル」と出てきた時に、「え、どこにコリン・ファレルいた!?」とめっちゃ焦った。クラブのオーナーペンギン役だったらしい。いや特殊メイク凄すぎて分からんわ。

あとブルース・ウェインの執事、アルフレッド役の俳優さんが映画ブラックパンサーの悪役を演じていた人だった。失礼かも知れないけど、ウェイン一族の上流階級くささを消すには良かったのかも知れない。

音楽も舞台(建築とか)も、ゴシックのにおいがした。重厚さがすごい。

そんなことより、この春公開される『モービウス』のモービウス役にジャレッド・レトを抜擢したのは、やっぱり大正解だという感想がバットマン鑑賞を邪魔していた。

52.The Fall(2006)

3月26日。DVD。Directed by

念願の円盤を入手したので『落下の王国』を視聴。この作品は邦題もなかなかセンスがある。むしろ好きです。

落下したりと不運が重なって自殺を考えているスタントマン(=落ちまくる)青年と、オレンジの木から落下して腕を折った女の子が出会い、青年は女の子を利用して(物語を語ることで操って)自殺を図ろうと目論みるも、女の子との交流を通して起こった出来事から、またスタントマンとしての道に邁進しようとする物語。地面にするとファンタジーでどこかミステリアスな雰囲気が飛んでいく。

落ちて、落ちて、落ちて、さらに落ちてもまた落ち続ける、という前向きさに感動を覚える。舞台とか衣装とか繰り広げられる世界も好きだけど、なによりほんわか優しいストーリーがめっちゃ好き。前に見た時も同じことを言っていると思う。

53. Crimson Peak(2015)

3月27日。Netflix。Directed by Guillermo del Toro.

トム・ビドルストンが見たくて見た。トム・ビドルストン摂取に最適なゴシックホラー映画。20世紀初頭の衣装がよく似合う。この時代の服装ってなんて呼称されているんだろう?

たしかに幽霊(ゴースト)は出てくるんだけども、あまりホラー映画っぽくなかった。母親のホラー好きに毒されて、ホラー慣れしたのかもしれん。ホラーってなんだろう?

降り積もる雪が、深紅に染まる「クリムゾン・ピーク」。冒頭から目につく鮮やかな赤が不気味で、これ絶対に人の血だろ、という匂わせがすごかった。崩れた屋根からは真っ白な雪が降り、掘り続けた地下からは血のように赤い土の色が滲みあがってくる視覚的な対比が印象的。

なんでこんなにゴシック建築に惹かれるんだろうな〜〜って思った映画でした。

54. The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun(2021)

3月30日。Disney+。Directed by Wes Anderson.

雑誌一冊を映画で読んだ感じ。ページをめくって進むかのような演出がおもしろい。キャストが豪華、というかこの監督の作品に出演している俳優陣は信頼できるし、彼らが出演する他の作品も信頼できる、かもしれない。

ストーリーよりも、映画の世界のドタバタを楽しむ作品。

55. The Eyes of Tammy Faye(2021)

3月30日。Disney+。Directed by Michael Showalter.

アンドリュー・ガーフィールド、またクリスチャン(?)の役。ジェシカ・チャスティンの演技がとにかくすごかった。演技ってこういうことをいうのか、と実感させられる。

「テレビ伝道師」なる存在があるアメリカと日本とを比べると、社会における宗教の存在感が全然違うことに気づく。「本音と建前」は日本人に特有だと思いがちだけど、免罪符などを生み出してきた宗教の根づく国には、理想(例えば「貧しきものは幸いなるかな」とか)と現実(みんな豊かな方がいいよね、的な)の乖離というのはもっと深刻な問題で、身近なんだなと思った。そしてそれが政治にも繋がってくる。そりゃ宗教戦争も起こりますよね。

56. Nightmare Alley(2021)

4月5日。T・ジョイ横浜。Directed by Guillermo del Toro.

新年度初回の映画鑑賞。今日もまたDolby cinemaという贅沢。平日朝イチだし、公開からしばらく経っていたので、劇場ガラガラな上、スマホやスマートウォッチのライトもなくて快適だった。

そしてこの映画めちゃくちゃ良かった〜。好みは分かれるだろうけど、最後にブラッドリー・クーパー扮するスタンの自嘲的な笑い声で終わるのが最高。場面が切り替わってもひたすら強調される「小径」。最初から最後まで、スタンは袋小路に入ったネズミでしかなかった。

2時間30分あったとは思えない映画への没入感。先日見た『ザ・バットマン』は上映時間が長くて少しだけ「いつ終わるのか」と思ってしまったけど、本作はめちゃくちゃストーリーに入り込んでしまって、そして「あ、ここで終わるな」とすっきりした読後感ならぬ終幕感(?)だった。いや内容的にはすっきりじゃないのかも知れないけど。

アルコールで身を滅ぼした老ピートの忠告は、文面にすると「嘘(出し物に使うトリック)が自身を支配して自己評価が過大になり身を滅ぼす」的な感じになるのだろう。これが短い台詞(多分そんなに長くなかった)と動作と人物設定で印象付けているのだから、なんとなく「映画おもしれ〜」と思った。

57. The Shape of Water(2017)

4月7日。Disney+。Directed by Guillermo del Toro.

優しくて悲しくて、孤独を包み込むような作品。魚なのか人間なのかはたまた神のような存在なのか、「彼」は不思議と綺麗だと見入ってしまう姿をしていた。

主人公の勤務時間帯を夜間にすることで、孤独で声が出せないというハンディキャップを持つが故に、社会から一歩距離を置かれている主人公に、劇中で「日の光が当たる」シーンを作り出さないようにしている(のだと思う)。日中の光は窓やカーテンの隙間から差し込んでくる光はくらい。

「彼」も人間語は話さず、人間には理解できない鳴き声を発するだけであった。それが気に食わない警備主任(あえて属性をつけるとするのなら、白人・漢・成功者?)とやらに生体解剖させられる羽目になる。

言葉を発しないことは、生きていないことにはならない。声を上げないからといって、無視していい存在であるわけじゃない。こういったことが組み込まれている映画だった。

逆に、ディミトリ博士のように、特定の言葉を話すことで敵(異物)認定されることもある。

主人公の親友の髪がふさふさになるのはおもしろかった。別れのシーンでもう一回やってもらっているのもおもしろかったし、「彼」はその意味を勘違いしているのもおもしろかった。

58. Batman Begins(2005)

4月7日。Netflix。Directed by Christopher Nolan.

私がダークナイト・トリロジーを好きな理由:
ゲイリー、オールドマンのジム・ゴードン警部補役がとても良い。

に気付いた回だった。キリアン・マーフィーここにも出てたのね。

59.The Dark Night Rises(2012)

4月8日。Netflix。Directed by Christopher Nolan.

ダークナイト・トリロジーにおける「母親」の存在感の薄さに今更気がついた。主人公ブルースやヴィラン(ミランダ)を支えているのはみな、彼らにあってほしかった「父親」たちで、執事アルフレッドやジム・ゴードン市警本部長、「奈落」でミランダを助けたベインという男性のキャラクターばかり。

「人が落ちるのはなぜだと思う?」ブルースの父親の台詞が、この三部作を支配しているのも印象的。物語冒頭で死ぬのに、めちゃくちゃ存在感でかいやん。

ダークナイト・トリロジーを見る順番としては、
1. ダークナイト
2. バットマン・ビギンズ
3. ダークナイト・ライジング
が楽しめるかなと思う。ビギンズで投獄されたキリアン・マーフィーがライジングで復活して、死刑か、追放という名の死刑を権力側の人間に宣告しているのおもしろすぎた。

次にキリアン・マーフィー見るのが楽しみ。原爆は見たくないけど。

60.Belfast(2021)

4月20日。TOHOシネマズ上大岡。Directed by Kenneth Branagh.

モノクロなんだけど鮮やか。プロローグとエピローグがものすごく鮮やかな映像で、その残像がモノクロの本編にまで鱗粉を振り撒いている感じ。

バディを照らす光がとても印象的。

ベルファストで起こったバディたちの身に降りかかった北アイルランド紛争を描いてはいるけども、その事件が主体ではなくて、あくまでベルファストに住む人たち、住んでいた人たちが主役の映画だった。物語の主導権をを、どこかの誰かが勝手に起こした紛争に握らせていないところが好き。

61.Morbius(2022)

4月20日。Tジョイ・横浜。Directed by Daniel Espinosa.

最初から最後まで親友で引っ張っていくとは思わなかった。少し物足りなかった。続きがあるのね、ふんふん、という感じ。

モービウスとマイルの圧倒的なスピードについていけなくて、光の軌跡が残像として目に入ってくる感じ。映像技術をゴリゴリに押してくる作品?

マーベル作品恒例のエンドロール後のおまけ映像、いつも楽しみにしているけど、今回はどちらかといえばダークな雰囲気を持つ本作に、最後にポップ感を取り付けてしまった感じが否めなくて、水溜りが濁ってしまった印象。

ジャレッド・レト、『リトル・シングス』に出てくるヤバ目の犯罪者、みたいな印象しかなかったので、普通にこういう役もやる人なのか、とびっくりした。むしろモービウスにうってつけの俳優さんだった。

ルシアンが今際に「君はマイルという名前をくれた」とか言っていたけど、「僕はルシアンだ」と主張していた君はどこへ行ったんだ。マイル役の俳優さん、ラストナイト・イン・ソーホーで××な役だった人ですね。個人的にはその時の印象が拭えなくて、なんというかごめんなさいという感じ。

物語の鍵となる物質をめぐって親友とどうのこうの、というのはアメスパ2の名残なんですかね。SONYさんアメスパ3も制作してくれませんかね。

本編関係ないけど、ホライゾン、ホライゾンと聞こえるのに、Horizonをホリゾンと表記した翻訳がめちゃくちゃ気になってしまった。

62.Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings(2021)

4月22日。Disney+。Directed by Destin Daniel Cretton.

めちゃくちゃファンタジー。闇の世界と背中合わせのユートピアを詰め込んだ感。

なんで家族を敵にしたいんだろうなと考えていたけどきっとこれだわ、近いからこそ憎しみも深くなる的なやつか。

63.Fantastic Beasts and Where to Find Them(2016)

5月4日。Netflix。Directed by David Yates.

ファンタビ最新作に備えて視聴。コリン・ファレル出てたんか〜。ニュート・スキャマンダーのキャラが良い。ニフラーが可愛い。とかいう感想しか出てこん。

64.Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald(2018)

5月4日。Netflix。Directed by David Yates.

ジェイコブ役の俳優さんがうまいな。クリーデンスが身を寄せていた「サーカス」が印象的だった。このサーカスの団長、全然キーパーソンじゃないのに、私の中でなぜか、珍しいものを自分の利益のためだけに利用するという彼の魂胆が、強烈に印象に残った。

65.Fantastic Beast: The Secret of Dumbledore(2022)

5月5日。横浜ブルク13。Directed by David Yates.

冒頭、スパイ映画でも始まるのかと思ったわ〜(好きです)。グリンデルバルド役がジョニー・デップからマッツ・ミケルセンになりましたが、身長高いですね。ダンブルドアと並んだ時の絵になりようよ。グリンデルバルドを彼単体として描くならジョニー・デップ推しだけど、ダンブルドアとグリンデルバルドという文脈においてはマッツ・ミケルセンは適役だった。

それにしてもこの二人をゲイ設定で描いていたのは驚きだった(原作読め)。原作者同性愛嫌いじゃなかったっけ…?と思ったけど、これは私が、彼女のトランスジェンダーを巡る発言が物議を醸した事件と勘違いしてましたね。

そんなこともだけど、たいてい世界規模の映画において、いつもドイツは悪役に回ってしまう。「ベルリン」ってそんなイメージなのかしら。二つの世界大戦があるから分からんでもないけどね。しかも魔法省長官のフォーゲル、グリンデルバルドを候補者にするわ、長官の選出方法を変えるわ、グリンデルバルドを長官に指名するわで妥協しすぎやろ。超easyコースじゃねぇか。

アジアの国々も唐突に出しすぎでしょ。ヨーロッパの人、ブータンがどこにあるのか知ってるのか…?私もブータンを知っているわけではないけど、欧米的な視点から「世界にはこういう素晴らしい文化を持つ(アジアの)国もありますよ!」とでもいうかのようにポンっと出てくるのがなんとなく好きじゃない。表面だけ取り繕って、格差を見えなくさせているみたい。なんというか、敬愛が感じられない。

タイトルの「ダンブルドア」について、私はアルバス・ダンブルドアを連想しがちだけど、ここでのダンブルドアは「ダンブルドア一族」という意味合いなのかなと本作を見て思った。アリアナに、アバーフォースに、クリーデンスに、アルバス。呼称も「アルバス」だし。

ハリポタシリーズよりファンタビシリーズが好きだな〜。要因は主に、ニュート・スキャマンダーと魔法動物の存在であると分析している。エディ・レッドメインかっこ良いよね〜。レ・ミゼラブルの頃から変わらぬかっこよさよ……。ニュートとテセウス、兄弟でバチバチやっちゃうんじゃないかと不安だったけど、今回はタッグを組んで(というかチームだけど)打倒グリンデルバルドだったので一安心。

ニフラーのために次回作も楽しみにする。

66.Top Gun: Maveric(2022)

5月12日。ららぽーと横浜。Directed by Joseph Kosinski.

人生初の試写会当たったので公開前に見てきた!感想書いたけど公開された後にここに載せる〜。とりあえず帰りの電車はDanger Zoneの鬼リピ。

67.Top Gun(1986)

5月13日。Amazon prime。Directed by Tony Scot.

いや〜前作振り返りたくなるよね!!音楽が良いな〜!!なにこの素晴らしい映画。「素敵」よりも「素晴らしい」が似合う。大空と夕焼けと命を懸けて空を駆けるパイロットたちがとても印象的。トムかっこ良すぎる。良すぎて語彙力どこか行くな。

68.Dr. Strange in Multiverse of Madness(2022)

5月17日。TOHOシネマズららぽーと横浜。Directed by Sam Raimi.

IMAX3Dで鑑賞。初めてメガネかけて観た気がする。コンタクト付けていったので快適。世界はぐるんぐるん回転していたけど、キャラクターを目で追っているとそんなに酔わない気がする。メガネのフレームのおかげでより没入感が増して、観客が私一人だったんじゃないかと錯覚した(実際お客さんは少なかった)。

割と冒頭からこれはもしかしてホラー映画か?と思っていたら、どうやら監督がホラーで有名な人らしい。どうりでヒロイン(アメリカ・チャベス)が叫びまくるわけだ。私も次に何が来るのか身構えすぎたせいか、すごく肩が凝った。

「自分でメスを握りたい人」だったストレンジがアメリカに託す物語で、なんでも作り出せるワンダが現実と向き合う物語。

善は100%善で、悪は100%悪であるという考え方をしなくなってきた昨今、本作ではストレンジやワンダなど、キャラクターがその間を彷徨う(彷徨っている)過程を描きにきている。正しいことをしても報われないこともある、というよりもむしろ、正義は本質的に報われない、というようなテーマも秘めている。

別宇宙のワンダの台詞「私が愛します」について、英語が聞き取れなかったけど調べたら They'll be loved. と言っていたらしい。Theyはワンダたちの子供のことで、話し手のワンダにも、スカーレット・ウィッチとなったワンダにも彼らは愛されるという、とても愛のある台詞だった。

MoMが「母」じゃん!と気付かされたのは他のレビューを見てからだけど、別宇宙のワンダが体現する「母は強し」がすごかった。本作の主人公はワンダな気がしてきたぞ。予告映像からは、勝手にストレンジvs別宇宙のストレンジという印象が強かったのだけど、そこはあまり見せ場ではなかったし。

自分の死体でドリームウォークしていたストレンジ、あれダークナイトのトゥーフェイス(ハービー・デント)だったんだな。トゥーフェイスは闇堕ちしたけど、ストレンジは道を踏み外さなかった。

そしてMCU作品履修してから来てよね★という圧がすごい。もちろん観てから行きましたけど。ただWhat If…にまでは手が届いていなかったので要視聴ですね。あとX-Menの記憶も怪しかったから焦った。

次は7月のソーだな〜。自分を探しにいっちゃう雷神おもしろすぎる。監督も監督なので今から楽しみ〜。

69.Mad Max(1979)

5月19日。BSの録画。Directed by George Miller.

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)の「「「砂漠」」」のイメージが強かったので、シリーズのスタートがまだそんなに荒廃していないオーストラリアの路上であることを知って驚いた。でも雰囲気は似ている。

人が死ぬシーンとか、直接的に描く(描ける)ようになったのは最近なんだなと思った。今の文脈だと、「明確に死んだシーンがないから、この人はどこかで復活する」と思えるシーンがちらほら。

マッドマックス2、3を見ないと4への系譜が分からんなこりゃ〜。

70.The Greatist Showman(2017)

5月20日。Disney+。Directed by Michael Gracey.

ゼンディヤここにいたのね。この時から美しさのオーラが隠しきれていない。レベッカ・ファーガソンとも共演している。Dune組じゃん。

オープニングがとても良くて、今からミュージカル映画を見るぞ!と気持ちが盛り上がった。

エンタメでフィクションだと言われればそれまでだけど、サーカスの実態を切り離してバーナムの「成功」を輝かしく演出しすぎていて、個人的にはあまり好きではない。同じくサーカス(興行師)を題材とした『ナイトメア・アリー』(2022)で描かれた埃を被ったような匂いのするサーカスの「人を見せ物にする」という現実に引っ張られているせいかもしれないけど。

71.Pacific Rim(2013)

5月20日。Amazon prime。Directed by Guillermo del Toro.

チャーリー・ハナムが見たくて鑑賞。ロボットや怪獣は私のツボではないらしい。あまり刺さらなかった。

イェーガーはごっつくてメカメカ(機械)しているのに、パイロットの意識を共有して操縦する、というのはなんだか神秘的だった。

72.Promising Young Woman(2020)

5月25日。Amazon prime。Directed by Emerald Fennell.

キャリー・マリガンが出ていたので気になっていた作品。こういう作品を見ると、映画で描かれるような現実があることに気づいて欲しい層には届かないだろうという現実が目の前に迫ってくる。

画面は終始ポップな雰囲気なのに、内容はかなりシリアスだし、ラストに至ってはゲスなやつはいつまで経ってもゲス、という結論にしか至れない悲しさ。一見「いい奴」に見えても過去にゲスかったりもするし、社会の歪みを見ているようで気分が最悪だった(映画が悪いわけじゃない、こういう映画を作らざるを得ない社会が悪い)。

キャシーが結構お嬢様であるように描かれていたけど、実家の太い女性でも、男性の実家が太ければ負けてしまうことの暗喩なのかな。チャラチャラしてる人間が優秀なのは別に構わないけど、まじめに勉強している優秀な人に迷惑かけないで生きて欲しい。

最後、キャシーが「ジョーカー」(映画『ダークナイト』)風の衣装に身を包んでいたのは皮肉なのかな。ジョーカーは街に混沌をもたらす存在だったけど、キャシーは逆に順調だった人生に混沌をもたらされた側で、その復讐であんたたちの人生に混沌をもたらすぞ、とでもいうかのように。

将来有望なのは男性だけじゃないんだわ、女性だって将来有望なんだわ。

73.Extremely Loud & Incredibly Close(2011)

いつ見たか忘れた。多分Netflix。Directed by Stephen Daldry.

見た当時の感想はあまり覚えてないけど、思い返すととても素敵な映画。両親の愛がすごい。そういえば母親と一緒に見ていた気がする。wikiでストーリーを読んだだけでも、目頭が熱くなる。9.11に限らず、この世界には、あまりにも大勢の人が大切な人を失ってしまう悲しい事件が多すぎる。

原作も読んでみたい。邦題は『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』。

74.Collateral(2004)

5月29日。Netflix。Directed by Michael Mann.

タイトルは「巻き添え」の意味。トム・クルーズが出ている映画を見ようと思ってみた。我ながら謎の選択。トップガンやミッション・インポッシブルの印象が強すぎて、「これは……悪役……?」とキャラクターの印象がブレた。

とにもかくにも、ジェイソン・ステイサム出演が一瞬すぎる。キーパーソン風に登場したかと思えば、冒頭以外出てこんやん。でもあれかな、「人殺し」みたいなヒールの印象を、あのカバンと共にトム・クルーズに引き受けさせたと思えばセンスのある演出とも言える。無駄遣い感半端ないけどな。

ジェイミー・フォックスはアメスパ2に出てるエレクトロの役の俳優さん。役の名前が「マックス」と同一。しかもアメスパでも「巻き込まれ」ている。冒頭の13分くらいトム・クルーズ出てこなくて、いつになったら出てくるんだとキレかけた。

本作はタクシー運転手のマックスが犯罪組織の雇った殺し屋ヴィンセントの「仕事」に巻き込まれていく話だけど、マックスだけでなく、その他の大勢の人も「巻き込まれている」という印象を強く受けた。ここらへん、監督の狙い通りかなと思う。重要人物か?と思えるマーク・ラファロが演じる役もあっけなく死んでしまったしな。

トム・クルーズに悪役は似合わないな〜と思った映画でしたまる。

75.Eyes Wide Shut(1999)

6月1日。Netflix。Directed by Stanley Kubrick.

トム・クルーズ演じるビルが、目を大きく「閉じて」見ていたのは夢だったんですね。

どこが現実でどこが夢なのか、目をかっぴろげて見てないと分からない作品。単純を積み重ねた上に複雑が生成されたという感じ。ニコール・キッドマンがきれい。

シャイニングの方がおもしろかった。

76.Top Gun: Maverick(2022)

6月7日。横浜ブルク13。Directed by Joseph Kosinski.

2回目のトップガン!!いや〜やっぱり最初からいいよね!!

1回目に見た時は、ラストの「ミッション達成!」の歓声に流されてそんなに印象に残っていなかったけど、F-14やマーヴェリックという「時代遅れ」の存在が割と強調されていたことに気がついた。彼らを表す単語も(日本語字幕だと)「古代の遺物」だったり「時代遅れ」だったり、なかなかにシニカル。

本編全然関係ないけど、エンドクレジットで照明監督にマッド・マックスがいたのが記憶に残ってしまった。

77.The Terminal(2004)

6月10日。Netflix。Directed by Steven Spielberg.

職場の同期に半年くらい見ろ見ろ言われ続けて、やっと見た。ありそうだけど、現実には回避できるだろうなって映画。まぁそこそこ脚色がすぎるよね。主人公の英語習得能力高すぎるし。

でも、建設業の即採用・高収入(映画の中では税関局長よりも稼ぎが良かったらしい)という、労働不足的なのは万国共通なのかなと思ったり。

結局何日空港に滞在させられていたのかも分かりにくかったし、彼を連れてきた航空会社どこいったのよって感じ。空港の設備もガンガン改装しちゃってて、それは器物破損とかになるのでは……?とそこそこ大きめのことが気になってしまった。最後、税関職員が制服のコートをあげていたけど、日本なら普通に物品の紛失扱いで報告書だろうよ。

トム・ハンクスはやっぱり、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』が好きかな。あれはとても良い作品。

78.Triple Frontier(2019)

6月12日。Netflix。Directed by J. C. Chandor.

オスカー・アイザック目当てで見た。あとチャーリー・ハナム。主演はベン・アフレックらしいが、鑑賞後の印象ではオスカー・アイザックの方が主演寄りな気がする。

「トリプル・フロンティア」は南米のアルゼンチン、ブラジル、パラグアイが合流する境界エリアのことらしい。少し前に、三分の一ほど『テスカトリポカ』を読み、30分ほど『タイラー・レイク』を見たところだったので、舞台は異なるものの、「麻薬がらみだとえぐい画になりそう」と思っていた。が、そんなにグロくはなく(もちろん人は死ぬが)、メンバーの死という犠牲付きの仲間との冒険譚に近い。

主人公たちが放ったセリフを、一つ一つブーメランで彼らに返しすぎていて笑えた。後半、みんな無事に帰れるけど大量のお金はどこかに捨てる羽目になるのかなと思っていたら、若干違った。麻薬王を殺してついでにお金もいただく、という計画だったのに、その計画が二転三転。最初の計画どこいったのよ。そもそも発起人のポープの考えが軽すぎる。オスカー・アイザックがその軽率さをかき消してしまっているけどな。「一番ガッカリしない計画は『無計画』だ」とかいう趣旨の、『パラサイト』のお父さんのセリフが思い浮かぶ。いや、全然うまくいってないけどね。

でもストーリーはテンポ良く進んでいくので飽きが来なく見れた。
必死にお金を運んで「自分」を切り捨てていく旅になりかけつつも、仲間の死によって自分達が捨ててきたものに気がつく。麻薬王の死は得たけども、お金も得られず、友人も失った。最後に、札束を捨ててきた場所の座標だけは残ったのはなんなんだろう。

79.Operation Finale(2019)

6月12日。Netflix。Directed by Chris Weitz.

第二次世界大戦下、「ユダヤ人問題の最終的解決」に関与した親衛隊隊員アドルフ・アイヒマンを裁判にかけるまでのイスラエルの人々の苦しみ・戦い(を代表してイスラエル諜報機関の奮闘)を描いた映画。第二次世界大戦について、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺が印象に残りがちだけど、かつて日本もそんな国と同盟を結び、隣国で虐殺を起こし、侵略をしていたことを忘れてはいけないと自戒の念を抱く。

オスカー・アイザックはユダヤ教と何か関係あるのかなと思ったけど、あまり関係ないっぽい。グアテマラ出身だって。

80.Body of Lies(2008)

6月13日。Netflix。Directed by Ridley Scott.

世界はアメリカを中心に回っていて、アメリカこそ一番で、ほかはどうでもいいと考えているような上司と、「現地」を尊重してそこに移り住む勢いのCIAエージェントの対比が分かりやすかった。

現地エージェントに(比較的若めの)レオナルド・ディカプリオを起用して、「頭が柔らかい」キャラクターを与え、わりと中東寄りの目線で、過激主義と結びつけられがちなイスラムへの偏見をなくそうという意図が感じられる。2008年だと9.11が起こってからまだ7年で、しかも映画制作の時期はもっと前になるけど、この作品に対する当時のアメリカの社会的感情はどうだったんだろう。

オスカー・アイザック目当てで見たものの、彼自身は割と前半でフェードアウトしてしまった。無念。でもマーク・ストロングのスタイリッシュな演技が見れたから良いか?

81.Pride and Prejudice(2005)

6月16日。Amazon prime。Directed by Joe Wright.

邦題は『プライドと偏見』。「高慢」の方が対称的な感じがして好きなのですが。舞台は18世紀のイギリス。結婚が女の価値であり、生きる術でもあった時代。女性に相続権ないとか無理ゲーだわ。

キャリー・マリガン若すぎて分からなかった。特にこれといった感想は出てこないな……。駆け落ちを無理やり結婚にこじつけて、一族の品位を保つ、みたいなのはこの時代に特徴的な気がする。あと年齢が上の人から結婚していきなさい的なやつも。まぁ今でもこれはあるよね。

82.J'accuse(2019)

6月22日。kinoシネマみなとみらい。Directed by Roman Polanski.

邦題は「オフィサー・アンド・スパイ」。原題は当時新聞に掲載されたエミール・ゾラの公開書「私は弾劾する」の意味。日本版のポスターでは「私は告発する」となっている。いや〜、世界史でやったよね、ドレフュス事件。エミール・ゾラとドレフュスの名前は覚えていたけど、今回の主人公はドレフュス事件の真相を追うマリ=ジョルジュ・ピカール中佐。この人も、もともとは反ユダヤ的な人だった。

閉まる扉、開く扉、開かない窓が印象的だったけど、私の気にしすぎかもしれない。

83.The Spiderhead(2022)

6月25日。Netflix。Directed by Joseph Kosinski.

『トップガン マーヴェリック』の監督作だし、クリス・ヘムズワースが出ていたので視聴。

冒頭のクレジットで原作のタイトル『スパイダーヘッドからの脱出』が見えた瞬間、オチが分かってしまった。劇的な展開があるわけでもなく、なんかあまり……おもしろくなかったかな。キャラクターの魅力が足りない?

84.Annihilation(2018)

6月25日。Netflix。Directed by Alex Garland.

割とハイテンションな冒険ストーリーかと思いきや、深夜に一人で調査報告を淡々と読んでいくような静けさを覚える作品。でもカラフル。ぎらつくカラフルさではなく、神秘的で奇妙な色「シマー」に取り込まれていく。最後に登場する謎の生命体は若干不気味。

送り込んだ調査隊が生還できず、謎に包まれたシマーの領域内で、今次送り込まれた調査隊のナタリー・ポートマンたちは少しずつ、核心であると思われる「灯台」に近づいていく。この手のストーリーは大抵、中核に辿り着ければ解決の道筋が明らかになるけど、この映画では謎がさらに深まるところで、登場人物が「終わらせて」いる。

次に見た作品(エクス・マキナ)と相まって、視聴者を「人間とは何なのか……」という深淵の淵に立たせる作品。おもしろい。いや不気味だけど。

オスカー・アイザック見たさに選んだけど、ここでも死んどる……悲しみ。ちなみに一番「俺ってなんなんだろう……人間だったのかな……」となっちゃっているのがこのオスカー・アイザックの役。

85.Ex Machina(2015)

6月25日。Amazon prime。Directed by Alex Garland.

AIの搭載された人型ロボットと、AIを機械に閉じ込めた映画とでは作品自体の持つ雰囲気が異なる気がする。前者は割と哲学的で、落ち着いたストーリー展開なのに対して、後者はアクションばんばん!という勝手なイメージ。

AIに人の姿を与えることで、テーマが「人間とAIで何が異なるのか」という方に寄るのかな。この映画での結末としては、AIは感情でさえも計算する、ってことになりそうだけど。

主演の俳優さんどこかで見かけた気がする。アバウト・タイムの人かな…?

オスカーここでも殺されてるやん……。同じ監督だぜ……死なない役をあげてくれ……。そういえばDUNEでも殺されちゃうな……。ムーンナイト見るか……。

86.The Lost City(2022)

6月28日。109シネマズ川崎。Directed by Aaron Nee & Adam Nee.

失われた都市の財宝を探し出すのに、ロマンス冒険小説の著者が引っ張り出されて、所々修飾に富んだ台詞が放たれるのは良かったけど、ストーリーはありきたりで、かつコメディ度も高くなく中途半端で正直あまりおもしろくなかった。古代文字の解読はおもしろそうだなとは思ったけど。

PRでうたうほど「謎解き」してないし。ブラッド・ピットがそこで死ぬ()のは予想外だったけど、それ以外は結構予想できる。映画のPRの「予想外」は信頼できないことを学んだ映画だった。ブラッド・ピットはカッコよかった。素性怪しすぎるけどな。

87.Elvis(2022)

7月7日。Tジョイ横浜。Directed by Baz Luhrmann.

最初は『ベイビー・ブローカー』を見に行く予定だったけど、『エルヴィス』が気になりすぎて急遽予定変更。Dolby cinemaで見ましたよね、大正解。頭の中を駆け巡る “My middle name is misery.”

2時間30分という長丁場の作品だけど、尺の長さはそんなに気にならなかった。とにかく演出凝ってるなという作品で、その演出が統一感ありつつも飽きがこないからすごい。全然知らなかったエルヴィス・プレスリーを、この映画で知った気分になれるのがすごい。脚本と編集の力。長いセリフで説明して観客に理解させる映画はよくあるけど、この作品は、当時のアメリカ社会の中に生きたエルヴィスの場面を切り取ってばんばん画面に展開していくことで、「エルヴィスはこんな人物だったんだぞ!」というのを知らしめている感じがおもしろかった。

トム・ハンクスのクズな役どころが評判だったけど、それが薄れるくらいにはエルヴィスの印象が強い。特に大佐とエルヴィスが初めて出会うステージのシーンが与える印象は強烈。エルヴィスを演じたオースティン・バトラーの演技も凄すぎる。一体役作りどれだけしたんだ。アカデミー賞ノミネートするのでは??

エンドクレジット、最後までキラキラさせていたのはおもしろかった。お金かかってる〜。

88.Broker(2022)

7月13日。横浜ブルク13。Directed by 是枝裕和.

邦題は『ベイビー・ブローカー』。公開から二週間経ったけど、客席はほぼ満席で、いつも公開から遅れて見にいくことが多い私はびっくりした。

IU扮するソヨンの「もっと早くあなたたち(サンヒョン、ドンス)に出会えてたら違ったのかもしれない」という台詞が印象的。こうした一つのきっかけが至る所に転がっていればいいけれど、現実はそうじゃない。

ソヨンの「生まれてくれてありがとう」は、この映画に込められた監督からの(観客そして社会への)メッセージなのかなと思った。サンヒョンについては明かされていなかったけど、ヘジン号に乗るメンバーはみんな、一度環境に捨てられた人たちであったがゆえに、今まで生きてきた中でこのメッセージをもらったことがなかった。血は水よりも濃いとか言うけれど、そのまえに自分は生きていていいんだと周囲の人間(社会)に肯定されるのは、人間の尊厳を損なわずに生きるのに重要なポイントなんだなと改めて思う(尊厳とはなんだという問いは置いておく……)。

89.Thor: Love and Thunder(2022)

7月19日。横浜ブルク13。Directed by Taika Waititi.

IMAX3Dで鑑賞。ドクターストレンジのように魔法がばんばん放たれるような映画は3Dと相性がいいなと思っていたけど、今回のソーもそこそこ相性いいなと感じた。要するに、何かがぶんぶん飛び回る系の映画は3Dと相性いいんだな。

初見でもストーリーについていけるように、監督扮するコーグが説明してくれてはいたけど、いかんせん冗長だな〜。集中力が削がれた。

プロモーションではゴアを「神殺し」と表現していた気がするけど、本編の字幕では「ゴッド・ブッチャー」になっている。そんなゴアを演じるのはクリスチャン・ベールで、言われなければこの俳優だとは気付かなかったけど、でも確かにクリスチャン・ベールだった。特に横顔が。アメコミ原作でのゴアの描かれ方が分からないけど、強さや邪悪さと言う点で「神殺し」には物足りないヴィランだった。

彼が崇拝していた神ラプー(黄金の神?)については、まぁ神って人間に関心ないよね、という位置付けが分かりやすい。キリスト教の神がどうかは知らないけど、ギリシャ神話とかの神ってそんな感じよね。ゼウスも然り。「人間は神のためにいるんだ!!」思考が強い。そういう意味で、ソーは人間に近く、ヒーローたりえたのかな。ジェーンが大好きで、ロキが大好きで、多分娘が大好きになるソー。背中に「R.I.P. Loki」と彫られてるのは笑った。え〜、ロキとソーが好きすぎるな。

この映画を見て連想する話でもないけど、ゼウスの「人間は神を畏れなくなった」「神への畏怖を云々」という台詞から、人類が神と決別した歴史(?)とかを思い出してしまってしみじみとした。

ストーリー的にはとても軽い気がする(内容が、という意味ではなくてまさに冒険譚のように、ちょっとかいつまんで映画にしましたよ、みたいなライトな感じ?)。

ジェーンと再会して、一緒に冒険して、また別れて、そしてパパヒーローとして弱者を救いに行く。ほんと英雄の冒険譚だな。

ゼウス役にラッセル・クロウ、舞台でロキを演じる俳優役にマット・デイモン持ってきちゃうあたりマーベル儲かってんな〜という感じ。キャストが豪華。でもコメディは不発だった気がする。

90.The Great Gatsby(2013)

7月19日。Netflix。Directed by Baz Luhmann.

先日鑑賞したソーに比べるとこちらの方が、「一人の人物の物語を摂取した」感がすごい。

邦題は『華麗なるギャツビー』。サムネイルとタイトルから、派手派手でイケイケな、『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』を一昔前にしたディカプリオの映画かなと適当に思っていたのに、全然違った。

世間が見れば「成金」であるギャツビーの仮面(本人は仮面のつもりなんてさらさらないだろうけど)とは相反する、彼の持つ純粋な恋心とのギャップが、隣人であるニック・キャラウェイの文章を通して語られる。作品全編を通して展開される色彩鮮やかな風景は、ここは絵画の中の、ファンタジーの世界であるという印象を与えている。いやそれがめっちゃ綺麗なので好きです。嫌味のない鮮やかさ。同じ監督の最新作『エルヴィス』も、めちゃくちゃ派手なのに全然嫌な感じがしないので、これはこの監督の得意とするところなんだろう。

ニック・キャラウェイの脳内から言葉が溢れ出す様子は、画面上で文字を上から降らせる演出を通してダイレクトに伝わってくる。でも彼、あれを書き終えたらまた鬱な気分に戻るんじゃないかな。

ニックか誰かが、ギャツビーが「過去の夢」に縋り続けたのがこの悲劇を招いたと批判していたけだ、彼の夢が「過去の夢」なのかは微妙なんじゃないかと思う。過去の夢を抱き続けていれば「現在の夢」でもあるのでは?とかそんなことを思った。いや知らんけど。

91.破戒(2022)

7月25日。Tジョイ・横浜。前田和男監督。

もしかして今年初めて邦画を見たのでは?ってくらい邦画を見ない人間だけど、島崎藤村の『破戒』が原作の映画だと聞いて見に行った。いや原作読んでないんだけど。

猪子先生が「ロシアでは革命が起こったそうだよ」というのは、1917年の「ロシア革命」のことなのだろうと思うけど、描写的に日本はロシアとの戦いで兵を送っている状況でもあるのには脳がバグった。つまり日露戦争を終えてからの時代ってことかな。まぁ原作読めばわかりますね。

島崎藤村の『破戒』の存在自体は高校の文学史で覚えたけど、音として覚えていただけだった。丑松が「戒めを破る」という意味の作品であったことを、この映画を見て知れた。確かに差別描写もあるんだけど、丑松が父親の「自分の出自を絶対に他人に明かすな」という戒めを破って、自己のアイデンティティと向き合っていく作品というように見えた。

でも、アイデンティティの一つである「出自」を隠さないといけないということがそもそも、差別でもある。「普通」の人は何も隠さなくていいわけだから。

「身分を解放してくれた政府に文句言ってんじゃねぇよ」的な発言をしている登場人物がいたけど、そもそもあなた方が差別されずにいられるその身分制度は、権力者が勝手に決めたものでしょうがって感じですね。誰の心にも差別心はあるだろうけど、そんな本音は心の奥底で眠らせといてくださいね。ってか『オフィサー・アンド・スパイ』を見てくれ。

僧侶役に竹中直人を持ってくるあたり、なんだか胡散臭いなとは思ったけど、やはりそういうことでしたね。志保の母親が、志保を丑松とくっつけようとしていたのはそのせいなのかな。

今年は全国水平社結成100周年らしい。
人の世に熱あれ、人間に光あれ。

ちなみに「人間」は「じんかん」と読むらしい。

92.Prisoners(2013)

8月1日。Amazon prime. Directed by Denis Villeneuve.

ヒュー・ジャックマンはこういう父親の役がよく似合う気がする。一方ポール・ダノはまた(精神的にちょっと)壊れちゃってる人の役をやってるのかと思いきや、今回はそこまででもなかった。顔はぼこぼこにされちゃっていたが……。まぁでもあの拷問に耐える役なんだ……やっぱりどっか狂ってるよな……。

ジェイク・ギレンホールそんなに好きじゃなかったけど、正義感溢れるとまではいかなくても、有能な、そしてちょっとずっしりした警官役は似合っていた。

ヒュー・ジャックマン演じるケラー、自力救済実行しちゃって最後は監獄行きかなと思っていたけど(ロキ刑事の「娘さんが戻ってくる時にあなたがいないと意味がない」的な台詞もあったし)、違う監獄に囚われちゃいましたね……そういう意味のタイトルなんですかね。

まぁ最後はアナが見つけたホイッスルで助けを呼ぶ笛の音が、ロキ刑事に聞こえていたんだろうけど。という解釈にしたいです、私は。ケラーは「すべてに備えよ」とめちゃくちゃ繰り返していたし、犯人の家を訪ねる時に、服の中になんか色々詰め込んでいたんじゃないだろうか。てかアナの記憶違いじゃなかったのね、2人はホイッスルを見つけてから誘拐されたのね。

93.Nobody(2021)

8月1日。Amazon prime. Directed by Ilya Naishuller.

これめっちゃおもしろい。スリラー?なので人が殺されまくるのだが、その最中にスティーヴィー・ワンダーの What a wonderful world が流れちゃったりする。選曲のセンスが良すぎる。

よくある怒らせちゃいけないやつを怒らせちゃった映画(ジョン・ウィックとかジョン・ウィックとかジョン・ウィックとか)にコメディを足した映画。

94.Moonfall(2022)

8月1日。Amazon prime. Directed by Roland Emmerich.

この監督ドイツの出身なのか〜。だから環境破壊されちゃう系の映画多いのか?地球ぼこぼこにするの好きだよね。

それはさておき、いくらSFとはいえ世界の起源の設定がやばすぎる。デイ・アフター・トゥモローのほうが説得力ある。

95.La vie d'Adele : Chapitres1et 2(2013)

8月1日、2日。Netflix。Directed by Abdellatif Kechiche.

邦題は『アデル、ブルーは熱い色』。

レア・セドゥ見たさに視聴。いやレア・セドゥの魅力半端ない。ブルーの髪の似合うことよ。これは今秋公開される『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』を絶対に見なきゃいけない。

原題は「アデルの人生」というタイトルらしい。同性愛の2人を描いた作品だけど、個人的にはアデル(主人公)はレズビアンとしてエマ(相手役)を愛した、というよりもエマ(人間性)に惚れて愛してしまったという描き方がされていると思う。アデルの一目惚れから失恋までを描いている。作中で明確な時間は示されないけど、最初に高校生だったアデルが最後には小学校の教師として数年働いているところで終わっているので、結構な時間が流れている。

まぁ正直そんなにラブシーン入れなくていいんじゃないの、と思った。映画というか、俳優をリアルに落とし込みすぎている気がする。なんとなくドキュメンタリー仕立て。

96.Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain(2001)

8月2日。Netflix。Directed by Jean-Pierre Jeunet.

邦題は『アメリ』。原題は「アメリ・プーランの素晴らしい運命」という意味らしい。

ずっと気になってはいたんだけど、サムネイルの背景が毒々しくてホラーテイストなのかと勘違いして避けていた作品。普通にラブコメだった。誰かがレビューで「長い待ち合わせ」と書いていたけど、めちゃくちゃ的確。もっと早く見ておけば良かった。アメリの世界がおもしろおかしく可愛すぎる。基本みんなに喜びを届けたい!というなんともな映画。人を馬鹿にする人にちょっと仕返しをしちゃうという、若干子供じみている所はあるけど。

相手のニノがめちゃくちゃ「大人」なお店で働いているのに、性格はとても純真、みたいな描き方がギャップありすぎる。むしろその性格故に職場を選ばず働いているのかな。というかだからこそ採用されたのかな。遊園地のお化け屋敷もそうだよね。

クスッと笑える優しい作品。フランス映画ってこんな感じの作品が多いのかな〜。結構好き。割と好き、頭痛に好き。円盤買いそう。

97.Le Voyage dans la Lune(1902)

8月3日。Amazon prime. Directed by Georges Méliès.

どこで「メリエス」の名前を見たのか忘れたんだけど、多分『アメリ』関連だと思う。世界初の職業映画監督のひとりだと言われている人の、野心溢れる作品(当時にしては)。メリエスは舞台にその出発点があるが故に、「人を楽しませる」作品を作ることにこだわり、映画のジャンルの幅が広がり、シリアスな作品が登場して稼いでいくなか、時代に取り残されてしまった監督らしい。というよりも、時代の方が勝手にどこかいったんじゃないかと文句言いたくなる。映画はエンタメだった。

ところで邦題は『月世界旅行』。まだアポロ計画もない時代に、月への出発そして地球への帰還の過程は驚くほど実際のアポロ計画と似ているのが驚きだとトム・ハンクスも言っていた(ドキュメンタリーで)。そう言われればすごいな。まぁ元になった小説があるらしいので小説による所なのかメリエスの想像力によるところなのかは分からん。

100年前の映画なので、月で遭遇した異星人を叩き潰すとかいう野蛮な行動を取る主人公たちが現実。叩き潰された異星人たちの消え方が、キングスマン1のそれで、もしや監督はこの映画を参照してるのか…?って感じ(キングスマン1では人の頭がカラフルに爆発してお亡くなりになる)。

映画の歴史を紐解くのもおもしろいなぁと思った。黎明期の映画を見ると、映画の舞台裏(つくられ方)が現代の映画よりも分かりやすくておもしろい。今の映画なんてどこまでがCGなのかもはや分からんからな……。

98.Le voyage extraordinaire(2011)

8月3日。Amazon prime. Directed by Serge Bromberg, Eric Lange.

メリエスの『月世界旅行』修復の過程とメリエスの生涯に焦点を当てたドキュメンタリー作品。邦題は『メリエスの素晴らしき映画魔術』。

映画監督のジャン=ピエール・ジュネもインタビューを受けていた。結構印象に残ることを言っていたのだけど、内容を忘れてしまった。多分「メリエスは映画の創造者で、現代の我々の中には創造者はいない」的なこと。いや、いないわけじゃないんだけど、画期的な撮影方法とか表現方法を作り出す時代ではなくなってるって話だった。ジェームズ・キャメロンの『アバター』とかね。今冬最新作が公開されるね。

古い映画フィルムの復元の過程じっくり見られて、こうして100年前の作品が見られるのは地道な努力と運の積み重ねなんだなということを実感。特にメリエス作品を収集していた人(名前忘れた)の根気には脱帽。

99.Big Bug(2022)

8月6日。Netflix。Directed by Jean-Pierre Jeunet.

監督で見た映画。AIの反乱!とうたってはいるけど、ストーリー展開の舞台はひたすら家、家、家。全部同じ家。コロナ禍の「ステイホーム」を風刺している。『アメリ』の監督作だから期待して見たんだけど、今回は私の趣向にははまらなかった。あまりおもしろくなかった。

100.Meet Joe Black(1998)

8月6日。Netflix。Directed by Martin Brest.

なんで見たんやろ。おすすめにずっとあって、かつブラピが出てるからかな。ブラピ若すぎる。今回は人間界に興味を抱いて、若者の体を借りて人間界を散策する死神の役。恋までしちゃうし、なんならその子を冥界(?)に連れて行こうとしちゃう。

恋人同士の恋愛と、家族愛とかのただ他人を愛すること、を描いた作品。割と「その人のために尽くせるのが愛だ」ということが強めに描かれている。

まぁブラピカッコ良いよね、って映画で3時間もっちゃうのすごいな。あとアンソニー・ホプキンスの魅力ですかね。

101.Hugo(2011)

8月6日。Netflix。Directed by Martin Scorsese.

邦題は『ヒューゴと不思議の発明』。発明ってのはオートマタのことなんかな。原題も邦題も、内容捉えてなくね?って思ってしまった。強いて肩を持つなら、孤児のヒューゴもちゃんと社会に必要な人間だよ、ってところをピックアップしたのかな。

ハリウッドの巨匠はファンタジー(?)作品も作っていたんですね!という驚き。でも作品見れば納得。ファミリー向けらしくはあるけども、内容は「映画の黎明期を切り開いた映画人の人生」なので。タイトルこそはヒューゴという男の子の名前だけど、主人公はジョルジュ・メリエスでしたね。

『月世界旅行』見てからこの作品を見る流れの方が、メリエスの人生を感じる。メリエスへの哀悼映画だね。てか公開された年に、カラー版の『月世界旅行』が復元されたのはまぐれかな。

102.Jurassic Park(1993)

8月8日。Amazon prime。Directed by Steven Spielberg.

気が向いたのでジュラシックシリーズを一気見。

ハモンドの「創造は意志が生み出す」という台詞が妙にリアル。最新作の予告でもこの台詞が引用されていた気がする。

103.The Lost World: Jurassic Park(1997)

8月8日。Amazon prime。Directed by Steven Spielberg.

104.Jurassic Park III(2001)

8月9日。Amazon prime。Directed by Joe Johnston.

105.Jurassic World(2015)

8月9日。Amazon prime。Directed by Colin Trevorrow.

監督何かの役の声で出演してた?パーク編から続けてみると、SFXやらVFXやらの技術の進歩がすごくて、ワールド編はそこに恐竜が存在している感がすごい。

あと登場する女性の役割がガラッと変わった。パーク編ではひたすらキャーキャー言わせられていて、恐竜島脱出の妨げになってる!みたいな印象が強い。

パークでもワールドでも統一されているのは、「壊れかけた家族をちょっぴり修復」って感じのテーマかな。主人公はどちらも家族いないっぽいが。お兄ちゃん周囲の呼びかけ無視しすぎてやばい。まぁこうしないと話が展開しないんだけどさ……。

106.Jurassic World: Fallen Kingdom(2018)

8月のいつか。Amazon prime。Directed by Juan Antonio Bayona.

スペインの監督って珍しいな(私が今まで出会ってこなかっただけ)。邦題は『炎の王国』。ジュラシック・ワールド見た記憶なかったけど、これは見てたわ。金ローか何かで見たのかな。恐竜がオークションにかけられるシーンを見て思い出した(割と後半)。

107.The Story of My Wife(2022)

8月12日。横浜ブルク13。Directed by Enyedi Ildikó.

レア・セドゥ目当てに公開初日に見に行った。3時間弱あって若干長く感じたけど、レア・セドゥの力ってすごい。レア・セドゥの役はレア・セドゥにしかできない気がする(意味不明)。

ストーリーはレア・セドゥ扮するリジーの夫、ヤコブの視点から展開される。初めから終わりまで、一貫して男性側からの視点だけ。ラブロマンスなのに珍しいね。そのせいもあって、「リジーは何を考えているのか分からない。自分を愛しているのか、他の男を愛しているのか」と夫を苦悩させるレア・セドゥのあやしい魅力が引き立てられている。

リジーの弁明となるシーンはラストを除いて全くなくて、なんだかひどい気がするけども、リジーのヤコブに対する愛情は観客が想像するのみって感じ。でもそのラストのシーンが、リジーの愛を詰め込んできていて、泣けてしまう。愛ってうまくいかないんだなぁ。

円盤出たら買おうと思う。

カメラを固定させて撮影する、みたいなシーンが多かったけど(海を走る船の上とか)、なんだか「時は移ろう」というテーマを感じた気がする。船の航海の軌跡(波が泡立つ様子)とかも地味に印象に残ってる。画が素敵なんだな、これ。

108.In the Heart of the Sea(2015)

8月24日。Amazon prime。Directed by Ron Howard.

邦題は『白鯨との闘い』。

邦題と原題違いすぎんか。映画の舞台は1850年代のアメリカはナンタケット。この時代に海を走る船の躍動感(の描写)はすごかった。VFXだろうけど。

荒れる海に、嵐、人間には手の負えない怪物(白鯨)という昔ながらの「自然への畏怖」を描くと同時に、「神に挑戦しているのは人間ではなく鯨だ」と放つポラード船長のような人物も描かれているのがおもしろい。結局のところ白鯨に負けているわけだけど。そしてそれを認めて終わるというのが、この作品の肝なのかもしれない。

ハーマン・メルヴィル役の俳優さんをどこかで見たことがあると思ったらあの人だった。ダニエル・ボンドの007のQ。

109.Ocean's Eleven

8月29日。U-NEXT。

映画マガジンのブラピ特集を読んで見たくなったので鑑賞。おもったよりブラピはもぐもぐしてなかった。むしろジョージ・クルーニーイケメンだなとか思っていた。

110.A River Runs Through It.(1992)

8月29日。U-NEXT。Directed by Robert Redford.

「すべてのものは一つに溶け合い、その中を川が流れる」

モンタナの川が流れ流れて月日が過ぎていく映画。とても詩的。

フライ・フィッシングという釣りを初めて知ったけど、釣り糸が水面を走る様がとても優雅。ウィキペディアによれば、英国起源のスポーツで、今も格調高い紳士のスポーツとして楽しまれているらしい。なるほど。

邦題は全てカタカナで『リバーランズスルーイット』なので、意味分からんカタカナ並べるな!って文句言いたい。そんなにカタカナ並べるなら英語のままで良いのに。原題は、主人公が感慨に浸っているときの台詞から取られている。

つい最近岐阜県の「川はこんなに危険ですよ!!」Q&Aを読んだばかりだったので、川での釣りが人生の一部になっている人物を描いたこの映画でも誰か死んじゃいそうだなとちょっとハラハラしながら見ていた。死ななかったけど、死んでしまった。

ブラピ目当てで見たけど、こういう動機で見るならこの前の『ジョー・ブラックによろしく』のほうがよかったかな。

『マクリーンの川』というノーマン・マクリーンの自伝的小説を元にした映画でした。

111.王の男(2005)

8月29日。U-NEXT。イ・ジュニク監督。

イ・ジュンギが綺麗ですよ、っていうんで見ました。まぁ確かに綺麗だけど……公開当時、韓国の検閲でひっかかった過激なシーンが出されたディレクターズカット版だったけど、いうほど過激なシーンはなかった。まぁ私が過激なやつに慣れ過ぎているだけかもしれない。でも少なくとも人の首は飛ばない。

タイトルが『王の男』になるの、まぁ分からなくはないけど、やっぱり分からないなって感じ。

112.Magnolia(1999)

8月30日。U-NEXT。Directed by Paul Thomas Anderson.

長い、とにかく長い!マイリストに追加していたから見たんだけども、どうして追加したのか……。

考えることをやめて、映画のストーリーを追うだけになった瞬間ただ結末を求めるだけの鑑賞タイムになってしまった。

テーマも抽象的で、劇的な展開があるわけでもないから見る人を選ぶ気がする。でも人生って、この世界ってこんな感じだよねって映画。憎んでいるのに憎みきれなかったり、罪を犯しているのに赦しを求めたり。

それにしても最後のシーンは「……」でしたね。まさかの蛙。なんで蛙なんだ。まぁ「82」に関係してるらしいんですけど。いい感じの締めくくりだなとは思う。

「トム・クルーズ 蛙が降る映画」で誰かが検索していたのは爆笑。

113.Inside Llewyn Davis(2013)

8月31日。U-NEXT。Directed by Ethan and Joel Coen.

オスカー・アイザックの初期作(?)を見たくて。最近ほんと俳優で作品を見ることが多くなった。この見方の良し悪しは分からん。まぁ1人の俳優だけ見てるわけでもないから、そんなにジャンルが狭くなるということはないだろうけど。

1960年代アメリカを彷徨うフォークシンガーの1週間を描いた映画。2013年という年代から見ると、1960年代にブームに達する前に苦労していたフォークシンガーを描いたということに意味をつけているんだろうけど、そんなのは結果論な気がして、私にはフォークだろうがなんだろうが関係なかった。音楽詳しくないし。

『tick, tick, boom!』みたいに主人公の人生山あり谷ありを描いた作品なのかなと思ったけど、むしろ『パターソン』に近い作品だった。今日も明日も同じで、なんだか猫と一緒にちょっと遠出することになったけど、元の場所に戻ってきて、でも明日は何かあるかもしれないよね、っていう優しめの映画。グサグサ言ってる気もするけど私は結構好き。サントラ買った。ちょいちょい笑える。

114.El laberinto del fauno(2006)

9月1日。U-NEXT。Directed by Guillermo del Toro.

邦題『パンズ・ラビリンス』

デルトロ監督の作品なので見たいみたいと思いつつ、後味が……というレビューを見かけて避けていた作品。スペイン内戦下に生きざるを得なかった、少女の短い人生を描いた作品。内戦の脅威が、少女の空想の王国にも、現実の世界にも迫ってやがては命を潰えさせるという描写のしかたが秀逸。戦争って無垢な命ばかり奪っていくよね。

115.赤壁(2008)

9月2日。U-NEXT。Directed by John Woo.

久しぶりにレッドクリフが見たくなった。前回いつ見たのかは覚えてないけど、レッドクリフは何度も見れる映画だな。両軍が激突するシーンの迫力は圧巻。ただ、曹操をやっつけろ!という心理が働きすぎて、戦争の悲惨さが薄れている気がする。

116.赤壁2:決戰天下(2009)

9月2日。U-NEXT。Directed by John Woo.

林志玲じゃないけど、金城武なんてかっこいいの!って映画よね。孔明役がまた似合いすぎている。次の休みに見る映画は決まった。The Crossingですね。

117.Bullet Train(2022)

9月8日。横浜ブルク13。Directed by David Leitch.

小ネタ満載の、これぞバイオレンスアクション(今そういう名前の邦画が公開されている。見てないけど)、そしてコメディ。笑わせてくれるエンタメ大作。一周回って(?)映画ってやっぱりエンタメだよな、って気になってくる。

日本に詳しい人(まぁほぼ日本人ってことなんだけど)が6月に公開されたサンドラ・ブロックの『ザ・ロストシティ』を見た後に見るとより楽しめる。この作品からサンドラ・ブロックとチャニング・テイタムが出演していた(偶然らしい)。でもチャニング・テイタムのキャラクターは完全にザ・ロストシティから取ってきてるでしょ感があるけども、これがおもしろいので100点(何様)。ブラピについても、なんだか見た目ボロボロだし、ヨガとかメンタル系入ってるしってのも意図的に共通させてるよね。

キャスティングがものをいう映画ってあるけど、この映画はキャスティング大成功だった。
レモンどこかで見た気がするんだよなと思って調べてみたら、やっぱりエターナルズのファスト役の俳優さんだった。私も人の顔を覚えるのは得意らしい、レディバグみたいに。
てか「ペットボトル入りの水」まで乗客&殺し屋にしちゃってるのおもしろすぎか。そしてFUJIで採れた水じゃなくてFIJIなのはなんでなんだ。日本の自販機でFIJIで採れた水売ってないでしょ……ってなんか見つけちゃったわ。 

R15ついてるし、人の殺し方がかなりグロい。倫理的に何を言っているんだ感があるが、『キングスマン』が量だとするなら『ブレット・トレイン』は質かな?

ついこの前『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』で聞いた「Five hundreds miles」が、ブラピが一仕事終わってホッと一息ついている時に朝日を背景に流れてくるのには笑ってしまった。なるほど、彼の故郷からはだいぶ離れてしまいましたもんね。他にも「上を向いて歩こう」など日本の楽曲もちらほら使われている。英語の曲名が「SUKIYAKI」なのは解せなすぎるけどな。選曲のセンスは抜群の映画ですね。

映画の中では一足先を行っている日本、を舞台にした印象(日本×近未来、的な。ちょっとSFチック)。エンドロールの配色も日本っぽくて、それなりに原作の舞台に敬意が払われてる印象がする。

ブラピが「どうもありがとう」連呼してるけど、外国人が「ありがとう」に「どうも」を付けるのをよく聞く。テンプレなんだろうな。あとこれ本人が言いたくて言ってる感が否めない笑

上映時間は2時間6分だったけど、実際京都まで新幹線で何時間かかるんだろうか。
調べたところ、のぞみで2時間ちょい(最短で2時間8分?)とかで着くらしいの、ほんと乗車から降車までの間にストーリーをおさめていて脚本書いた人すごい。東京発京都行きの新幹線内でブレット・トレイン上映してほしいわ。

ハードな殺し合いが発生しているのに、「新幹線は通常運行してる」ってのもポイントだったんだろうなと思う。
車掌もパーサーも通常どおり、殺し屋だろうが車掌は切符を拝見するし、不穏な雰囲気でだいぶ乱れている補給エリア(?)に入ってしまったのに「失礼します」で物資補給しちゃうパーサーも強すぎる。なんなら殺し合いが行われてる車内で一番権力握ってるのでは?
「通常運行」と「車内の秩序」が最優先になる殺し合いの場とかおもしろすぎる。新幹線もおそらく定刻通りに運行しているし。だからこそ、日本の新幹線が舞台になったんだろうな(って監督が似たようなことを言っていた)。

118.Once upon a time ...in Hollywood(2019)

9月23日。U-NEXT。Directed by Quentin Tarantino.

ディカプリオとブラピというスターの共演。落ち目のテレビ俳優とそのスタントという、現実の二人には想像もできない役なのに、それをしれっとこなしているのがおもしろい。俳優がディカプリオで、スタントがブラピという役の割り当ては正解すぎる。

こんなこというのは不謹慎なんだけど、締めくくりがとてもおもしろかった。火炎放射器のくだりが最高。

119.Top Gun: Maverick(2022)

9月28日。グランドシネマサンシャイン池袋。Directed by Joseph Kosinski.

日本で二か所しか見られないと噂の4DX × scrXで鑑賞。ほんとこれはアトラクション。好奇心プラストップガンお気に入りということもあって見に行ったけど、相当好きな映画じゃなければ4D系はしばらくいいかな、というのが正直な感想(まぁ初めての4D鑑賞だった『ダークナイト』はとてもとても良かったんですが)。

ネットで日付が変わった瞬間に座席とった。scrXで見るなら、中央ら辺じゃないとね…って刷り込みで座席とったけど、映画見る時にサイドなんてそんなに見なかったわ。映像もびよーんって伸びちゃうからなんか微妙だったし。

トップガン3回も見れば流石に満足ですね。何度見ても涙腺にじーんと来るところは来るけど。むしろ回数重ねるごとにじーんと来がちな気がする。

やっぱり冒頭のDanger Zoneがかかるシーンが一番良い(他にも良いところたくさんあるけど)。

120.The Princess(2022)

10月5日。ヒューマックスシネマ横須賀。Directed by Ed Perkins.

邦題は『プリンセス・ダイアナ』。ダイアナ元皇太子妃の半生をメディアの膨大なアーカイブから再構成したドキュメンタリー。半生っていっても婚約から亡くなるまでなので、その意味では完璧な半生ではない。

初のムビチケ鑑賞に、初のドキュメンタリー@cinemaに、リニューアル後初のヒューマックスシネマ。普段から割引系駆使して映画館で見ているのでムビチケは安くない。が、あのカードの収集を始めてしまいそうな自分がいる(すでに他の2作品を準備している)。まぁ絶対に映画館で見る!という決意の表れにはなりますかね。

これまでドキュメンタリーは見てこなかった。本作にはナレーションやインタビューは(実際のインタビューが挿入されているシーンはあるものの)組み込まれていなくて、存在していた記録(映像)だけを用いている。映像の断片がどんどん押し寄せてくる印象なのに、見終えると滑らかな一つのストーリーになっている。え、この監督すご。

私は「当時」生きていなかったからかもしれないけど、映画の作り手はどこにも立っていないように感じた。まぁそれでもダイアナ妃を追悼するという立場にはいるんだろうけど。

エリザベス女王が亡くなったタイミングでの鑑賞にはなってしまったけど、もともと10月に公開予定の『スペンサー』の主演を飾るクリステン・ステュアートを見たくて、ついでにこの映画も見た感じ。でもダイアナ妃がどういう人だったのか、イギリスにおいてどういう存在だったのかを事前に知れてよかった。『スペンサー』、ちゃんと見てこよう。

121.Spencer(2021)

10月14日。ヒューマックスシネマ横須賀。Directed by Pablo Larraín.

ダイアナ元妃を演じるクリステン・ステュアートを観るのをずっと楽しみにしていた。想像されるダイアナの感情や心境の変化を見事に演じていて、日本の一般庶民が共感できるような要素は薄いけど、苦しいんだな、もがいているんだな、というのがスクリーンを通して伝わってきた。

「実際の悲劇に基づく寓話」なので、フィクションではある。クリスマスという家族で過ごす三日間に、ダイアナが離婚を決意するまでの心境の変化を描いたヒューマンドラマ。ドキュメンタリー『プリンセス・ダイアナ』を観た後だと、このフィクションを現実と混同してしまうほどにダイアナの心境に迫っているように感じた。

ダイアナはこの物語の初めから終わりまで、自分自身で車を運転している。冒頭では一人で迷いながら運転していたものが、友を乗せ、最後には本来の自分を解放して目的地に二人の息子と向かっている。自分の道は自分で決める、という彼女の内なる決意が大きく道を開いたような演出だった。

私は「ダイアナ」「ダイアナ」と書いてしまっているけども、劇中では「妃殿下」としか呼ばれていない。彼女が「妃殿下」と呼ばれるたびに「ダイアナ・スペンサー」が削がれて消えていく感じがした。

それにしてもクリステン・ステュアートすごすぎた。アカデミー主演女優賞は彼女で決まりでしょ。衣装に空間に背景に、どの場面を切り取っても絵になる映画でもあった。最後はもう少し盛り上げて欲しかったけど、私の指5本に入る今年のベスト映画だった。

イギリスとドイツ合作なのは謎なんだけどさ。

122.The Addams Family(1991)

10月11日。金ロー。Directed by Barry Sonnenfeld.

ウェンズデーが好き。

123.The Addams Family Values(1993)

10月11日。金ロー。Directed by Barry Sonnenfeld.

ウェンズデーが好き2。

124.RRR(2022)

11月1日。109シネマズ川崎。Directed by S. S. Rajamouli.

いやー、最高だったよね。もう一回見てこようかな!

感想はこっちに書いた。

125.Im Westen Nichits Neues(2022)

11月3日。Netflix。Directed by Edward Berger.

『西部戦線異常なし』。直訳すれば、西に新しいことはない。ドイツ人が著した本を、ドイツで映画にした作品。有名な方はアメリカの映画。

これはタイトルがすでに戦争の悲惨さを表しているので、他にいうことはない。1930年に制作された作品も見たいと思っていたけど、人が人を殺すことの凄惨さをこれだけ画面で押し付けられたら、見ることに少しためらいを覚える。まぁそれでもハクソーリッジよりはましかな……。毎時間毎秒たくさんの兵士が死んでいるのに、報告は「西部戦線異常なし」なのだから。本作ではそれを言う司令官はおらず、タイトルとして登場しているだけだったけど、ストーリーとのマッチングが悲しいほど抜群だった。

戦争終わりにするよ!って言ってんのに「あと15分!突撃!」とかやってるの、ほんと意味わからないよ。最後のあの空間で、あの二人は停戦の時間を待とうとしていたようにも見えたのに、ほんの1分の差で命を失うのも本当に意味がわからない。

夜明け前、森の中、みたいなところは『1917』を感じた。

あー、あれダニエル・ブリュールだったか〜

126.RRR(2022)

11月10日。横浜ブルク13。Directed by S. S. Rajamouli.

この日でIMAX上映最後だったみたいなので駆け込みで2回目のRRR。トップガンよりも何度も見れるわ!!どのシーンも名シーン。神話の一場面。次から次へとやってくる映像の波が強すぎる。自分、こうやってストーリーの凝縮された映像がどばっと向かってくるのが好きなんだなと思った。え〜RRR良すぎる。

1920年大英帝国支配下のインドを舞台にした、偶然出会った主人公二人(かたやインド総督に奪われた部族の少女を奪還しにきた森の女神のつよつよ息子ビーム、かたや英国警察に潜入して父親との約束を果たさんとするラグ家の末裔のつよつよラーマ)の友情と使命と蜂起の物語。叙事詩。神話。ちょっと自分のためにまとめておいた。

ラストはこういう展開だよなと分かってはいつつも、どんと王道の上を行く王道を張ってくれるのがとても良い。エンドロールがダンスシーンになっているけども、終わった瞬間自然に拍手が出そうになった。ほんとにRRRを映画館で見れて良かった〜!!

127.バーフバリ2

11月12日。Netflix。Directed by S. S. Rajamouli.

128.The Man from Toronto()

11月2日。Netflix。

おもしろすぎて笑い声抑えきれずに、むしろがはかは笑いながら見てた。

129.The Menu(2022)

11月21日。横浜ブルク13。Directed by

鑑賞直後の印象としてはあまりおもしろくなかった。もっと(人肉とか食べちゃう方向で)グロいのかと思った。人間も生態系の一部!還元しなければ!みたいな。私の思考がやばいんだな。でもあのシェフの哲学極めればそこらへん行きつきそうだけどな。

シェフが「怪物だ」という台詞はあったけど、人物像の掘り下げが十分にされているとは言いがたい。シェフの「復讐」に若干奇妙さを持たせたストーリー?従業員も巻き添えにするなら、もっとストーリーに従業員を取り込んでくれって感じ。なんでそこまでシェフに従順だったのか、とかさ。最後泣いてた従業員いたやん。コースの完成に感動して泣いてたの?死に対してじゃなくて?

男性性(男の過ち)とか富(老夫婦や成金、元オーナー?)と権力(料理評論家や元オーナー)とかを風刺してるのは分かるんだけど、そこまで痛烈ではなかった。

計画計画言ってたけど計画外のこと起こりすぎだし。

130.Where the Crowdads Sing(2022)

11月22日。109シネマズ川崎。Directed by Olivia Newman.

この映画めちゃくちゃ良かった。「真相は初恋に沈む」的なキャッチコピーも好き。ほんと沈んで行った。原作買った。今年のベスト片手に入る気がする。感想出てこないけど。

131.Don't Worry Darling(2022)

11月22日。109シネマズ川崎。Directed by Olivia Wilde.

オチがなんかね……。ありきたりすぎて……。
そこは仮想空間じゃなくてもっとごりごり洗脳した現実世界であって欲しかった。タイトルなかなか出てこないなと思ったら最後に2回も出てきたよ。とても自分本位な「Don't worry darling」ですね。

132.The Green Knight(2021)

11月28日。TOHOシネマズシャンテ。Directed by David Lowery.

え、めっちゃ良い。2022年ベストかもしれん。圧倒的に私好みの映画。ここから先はTwitterで書いたことのペースト↓

映画を観ているというより、視覚的に詩が吟じられる感じ。終始暗いんだけど、中世のブリテンが舞台なのでしかたない。その暗ささえ、名誉ある騎士の物語の匂いを醸し出していた。「色」も印象的だった。素敵すぎる。さすがA24。

グリーン・ナイトに登場しそうな写真。

アーサー王伝説知らないと何も分からないけどね……というかアーサー王おじいさんすぎた……もうちょっと若くても良かったんでないの……

そもそも彼が「アーサー王」とは言及されてないんだよな(英語の台詞では言ってるのかもしれないけど)。名前出てくるの、ガウェインとその恋人(名前忘れた)くらい。あと聖人…?

あ、そうだ。「ダーク・ファンタジー」って修辞をつけておきたかった。すでについてるんだけどさ。RRRとは全然違うけど、こういう映画もとてもいいよね。めっちゃ好き。俳優さんの演技が印象に残る映画ってそんなにないんだけど、デヴ・パテルのラストの笑顔めっちゃ良かったな。多分笑ってたはず。円盤買おう。

133.MEN(2022)

12月19日。TOHOシネマズ上大岡。Directed by Alex Garland.

『エクス・マキナ』『アナイアレイション』の監督作というので見に行った。そんなノリで見たらいけないやつだった。アナイアレイションのノリとか、予告で分かってはいたけど、いやグロい。不安を煽ってくる音楽も絶妙。でも明確にホラーではない。監督天才だわ。

やっぱりパンフレット買ってこればよかったかな(売ってるのか知らないけど)。誰かが感想で「女性怖い〜」と書いていたけど、私としては違う風にに思った。

男性中心に出来上がってきた社会から女性が再出発して、それこそ聖書時代から続いてきたしがらみを振り切るようなラストに感じられる。

オーナーも男、教会の神父も男、なんか話しかけてきた人も男、パブでたむろしてるのも男、警官も男。いやそういうふうに描きたい映画だからなんだけど。それぞれの男性たちが、女性を思い通りにしようとする男性の仮面(=死んだ夫)をかぶって入れ替わり立ち替わり襲ってくる。次から次へと男の中から男が出てくる時に、「あ、これ最後夫が出てくるんじゃん」ってさすがの私にも分かったよ。

ほんとこの夫がな……。死んで罪の意識をハーパーに植え付けようとするなよ。死んだのは夫のせいかあるいは事故であって、ハーパーが罪の意識に苛まれる必要はなかったんだって映画だと私は思うんだけど。

見る人の立場によって大きく印象が変わりそうな映画。だからパンフレット買ってこれば良かった。

男たちの負傷は、ちゃんと夫の怪我と同じだよ!!って描写してたのは、監督の親切設計な気がする。そんなんどうでもいいけどな。ナイフで手を割いていくシーンは流石に見てられなかったわ。目瞑ってたわ。

134.Avatar: The Way of Water(2022)

12月22日。Tジョイ横浜。Directed by James Cameron.

Dolby3Dで見た。映像はとても綺麗で、3Dとの親和性も高い作品だけど、いかんせん3Dメガネがとても重い。上映中ずっと押さえていた気がする。

冒頭と終わりの文言が作品を台無しにしている気がしなくもない。「……という次第だ」ってなんやねん。ゲームの世界を堪能するような作品なのかな。映像は綺麗なんだけど。。。

135.The Green Knight(2021)

12月28日。Blu-ray。Directed by David Lowery.

劇場で見た『グリーン・ナイト』が好きすぎて円盤購入。しかも輸入盤。何やってんねん自分。いいじゃん好きなんだもん。英語でしか見れなかったけど、結構内容分かるもんだな。まぁ一度見てるっていうのもあるとは思うけど。

2022年映画納めはこの作品になった。毎年クリスマスに見たい作品だな〜と思う。どのシーンを切り取っても絵になる。絵本みたいな作品なのかな。

まとめ

映画館で見た作品数:27(重複あり)
…去年より増えたのかな?

1年間で見れた作品の数でいえば、2021年よりはたくさん見たかな〜。今年は珍しく日本の映画も見た。って言っても1、2本だけど。

2022年に見た個人ベスト5本をあげるなら何が入るだろうか。

『RRR』『グリーン・ナイト』は確実に入る。『ザリガニの鳴くところ』も良かったな。『マグノリア』は余韻でじんじんくるあたり、とても良い作品なんだなと感じる。

『沈黙』『チック、チック…ブーン!』『ハクソーリッジ』も良かった。全部アンドリュー・ガーフィールドが主演の作品なんですけど。アンドリューお休みしちゃったの悲しかったよね。他にも良かった作品ありすぎて5本には絞れないわ〜。大変大変。2023年も映画たくさん見るぞ!!

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