挫折
人生は、挫折の連続だ。「その挫折の数だけ、人は成長する。」と誰かに言われた記憶がある。
私は21年、今年で22年人生という船に乗っている。もうこれ以上ないだろうという、挫折、そして不幸な出来事も数えきれぬほどしてきた。
小学最後のピアノ伴奏では、ピアノが壊れ音が出なくなり、何人もの方々に迷惑をかけた。周りから聞こえてくる「かわいそう…」という言葉が今でも私の記憶の奥底にこびりついている。
一生ピアノなんて弾いてやるか!と思った半年後、私のピアノの恩師が亡くなった。先生と最後に話した言葉を覚えている。
「私がもっとあなたのことを見ていれば、こんなに悲しい思いしなかったのに、ごめんね。」
あの先生との思い出を思い返すと、出てくるのは言葉ではない。あの私の好き勝手弾くピアノを、見守ってくれていた、あの優しい顔なのだ。
私の音色を認めてくれているかのような、寡黙で、でも暖かさのあるあの表情。私には言葉でなくても伝わった。だからこそ、そんな先生に恩返しできなかった失敗した自分を、嫌なほどに憎んだ。
そうなのかと、先生が亡くなってから気づいた。
「別に失敗したっていい、ルール通りなんかじゃなくていい、自分の楽しいと思う自由な表現を認めて、見てくれている人はいる」と。
挫折が人を強くする。それは必ずしもではない。
でも、あの出来事が私の一部を作ってくれた。
そして音楽という表現がさらに好きになった。
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