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変わるものと変わらないもの【桜島】

昼下がり、鹿児島中央駅。弾丸帰省中の私は、夕方まで暇を持て余していた。新しくできた駅ビルでも見てみようかと外に出る。快晴だ。空は真夏の青空のような、そんな青さを持っていた。

なんとなく、桜島を見たいと思った。こんな日に見る桜島はきっと綺麗だ。海まで出ようか、そう思った私は桜島桟橋まで足を伸ばすことにした。近くの石橋記念公園ぐらいでゆっくりしよう、花でも見ておけば時間も潰れるかもしれない。

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普通なら市電で行くのだが、みんなの九州きっぷという魔法の切符を持っていたのでJRに乗り込む。10年ぶりぐらいに降り立った鹿児島駅は知らない駅になっていた。駅舎も駅前広場も綺麗になっている。こうやって知らない鹿児島が増えていくのが少しだけ寂しくも感じるのは、なんだかんだこの街が好きだからだろう。そんなことを考えていたら、桜島が目に入る。真っ青な空に浮かぶ岩肌、緑の装飾、頭には白い元気印。こっちはいつになっても変わらない。私が知っている鹿児島だった。足は自ずとフェリー乗り場に向かっていた。

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前回桜島に行った時のことをはっきりと覚えている。5年前のこの時期、なぜ赴いたかもはっきりと。あれからもう5年なのか。時の流れも早い。

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実は鹿児島に住んでいても滅多に桜島に行くことはない。桜島に行く目的と言えばイベントがあるか、薩摩半島と大隅半島を行き来するか。後者に至ってはただの通り道である。桜島には広い運動公園があり、昔から様々なスポーツの大会やイベントが行われている。桜島のイベントと言えば、2004年の長渕剛の桜島 ALL NIGHT CONCERTであろう。コンサート跡地には「叫びの肖像」と呼ばれるモニュメントが残されており、あの日がどれだけ特別だったかを見せつけられる。鹿児島中が異常な空気に包まれていたからかな、あの日のことは覚えていたりする。参加した人はきっと人生を変えられたのだろう。あの一夜に。私はと言えば、後々ライブDVDで履修することになる。

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5年前までカメラロールを遡ったらいらっしゃった。正直、桜島一の観光地要素かもしれない。

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さあ、今回の私はと言えば、ただただ時間を潰すだけ。

桜島を訪れる人々を眺めながら風を浴び、海の匂いを感じて。太陽の日差しは眩しく、海は煌めく。住んでいたわけでもないのになんだか懐かしく、とてもとても落ち着く時間だった。これも桜島が私たち鹿児島人をずっと守り続けているからかもしれない。

地元はずっと地元だもんね。
またどこかで。

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にゃーん。