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【詩】を集めたものです。
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2024年6月の記事一覧

【詩】コラージュされた言葉たち Ⅰ

【詩】コラージュされた言葉たち Ⅰ

池の水面に浸された愛読書。
踊る蝸牛。
この二つを焦点に楕円軌道を描く。
ただ、妖艶な紫陽花を中心に円を描くことは悪趣味な遊びである。

直線的な無限と平面的な無限との違いに気付いた老婆。
彼女は卵形の涙を流す。

今日も琥珀から朝が滑り落ちる。
明日は鯉から黄泉が羽ばたいてゆく。

【詩】(紫陽花を…)

【詩】(紫陽花を…)

紫陽花を
妖艶な雨の匂いが
滑り落ちては 狂わせる
幾何学模様の数式 
不安定なる このわたし
もう戻れずに 酔いしれる

こちらのシロクマ文芸部さんの企画に参加させていただきました。

実は、ある短篇小説の賞に紫陽花をテーマにした小説を応募しました。
その小説の内容をもとに、詩を書いてみました。
いつか、小説も披露できたら嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

【詩】自然を超える実験

【詩】自然を超える実験

書を読むように音楽に耳を傾ける少女は
喉から光の泥が溢れ、悶える。
浄玻璃の中にある猛毒の液体は、
その少女にとってやすらぎを与え、
聾にさせる。
逆さ窓から覗いている易者は、
その一部始終を新品のハンカチに書き記す。
そして、
そのハンカチを二人目に渡し
二人目は、
そのハンカチで手品を披露する。
手品を見ていた王女は
二人目の手の甲に愛撫をする。

少女の愛読書が火のついた煙草から落ちる。

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【詩】憧憬のスケッチ

【詩】憧憬のスケッチ

微風のざわめき
卵形のとどろき
黄泉のわななき
時間のきらめき
すべてを飲み干す

雪はいつも椅子から
なにも奪えない
常緑樹はいつもコップから
なにもひき付けない

カオスを備えた花火は
肋骨に埋められる
台風の耳に
水銀を注ぎ込む
とろんとしたアイスピックを
辞書で灼きつくす

幸福に落ちたアイスキャンディ
悪夢に揺れるドリンクバー
憂鬱に触るビール

愛読書から今日も
朝が溶け出してゆ

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【詩】(雨を聴く…)

【詩】(雨を聴く…)

雨を聴く 外部の喧騒 かき消すように
眼下には 文字が連なる 雨滴のように
書を閉じて イヤホンを両耳から外し
顔を上げ 晴天をとぶ 鳩に見惚れる

 こちらのシロクマ文芸部さんの企画に参加させていただきました。

 私はいつも読書をするときに、外部の余計な音が聞こえると、それが気になって読書に集中できない人間なのです。なので、カフェなどで読書をするときは、ノイズキャンセリングイヤホンで雨の環境音

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【詩】(赤い傘…)

【詩】(赤い傘…)

赤い傘 一回転した 先に大海
貝殻を コップで蓋し 大海を裂く
どうしようもないこの虚無を 表わすように

雨が降り 赤い傘手に取り歩く朝
水平線 ひらりとぼやける チャコールグレー
浮いている 世界の中で 傘の赤色

企画に参加させていただきました。

今月から、シロクマ文芸部に参加させていただきます。
よろしくお願いします。