2024年6月の記事一覧
【詩】コラージュされた言葉たち Ⅰ
池の水面に浸された愛読書。
踊る蝸牛。
この二つを焦点に楕円軌道を描く。
ただ、妖艶な紫陽花を中心に円を描くことは悪趣味な遊びである。
直線的な無限と平面的な無限との違いに気付いた老婆。
彼女は卵形の涙を流す。
今日も琥珀から朝が滑り落ちる。
明日は鯉から黄泉が羽ばたいてゆく。
【詩】自然を超える実験
書を読むように音楽に耳を傾ける少女は
喉から光の泥が溢れ、悶える。
浄玻璃の中にある猛毒の液体は、
その少女にとってやすらぎを与え、
聾にさせる。
逆さ窓から覗いている易者は、
その一部始終を新品のハンカチに書き記す。
そして、
そのハンカチを二人目に渡し
二人目は、
そのハンカチで手品を披露する。
手品を見ていた王女は
二人目の手の甲に愛撫をする。
少女の愛読書が火のついた煙草から落ちる。
そ
【詩】憧憬のスケッチ
微風のざわめき
卵形のとどろき
黄泉のわななき
時間のきらめき
すべてを飲み干す
雪はいつも椅子から
なにも奪えない
常緑樹はいつもコップから
なにもひき付けない
カオスを備えた花火は
肋骨に埋められる
台風の耳に
水銀を注ぎ込む
とろんとしたアイスピックを
辞書で灼きつくす
幸福に落ちたアイスキャンディ
悪夢に揺れるドリンクバー
憂鬱に触るビール
愛読書から今日も
朝が溶け出してゆ