選んだ道を正解にする
モデル業をしていると、いろいろな人に会うことができます。それは、毎回違うメンバーと仕事をするから。ご一緒したことのある人がいる時もあれば、現場によっては全員初めましての状態からスタートすることもあります。
そういった環境にいるモデルにとって、再び同じクライアントから呼ばれることは、ものすごく嬉しく、光栄なことです。けれど、その"リピート” は、決して容易には叶いません。私がそのことを身をもって実感したのはNYでした。
◆帰る度に、やり直し
今回3年半ぶりにNYに来ていますが(2023年夏時点)、こちらに来る前は、出発日が近づくにつれて不安な気持ちが増すばかりでした。それは、コロナ前のNYが本当に目まぐるしく変化していく街であったことと関係しています。
以前、私は東京とNYを3ヶ月ごとに行き来する生活をしていました。それ自体はとても刺激的であり、かつ自分の気持ちをリフレッシュできる、心地の良いサイクルだったと思います。
しかし、そもそも日本ベースでやっていた私がこちらで顔を覚えてもらうには、3ヶ月の滞在はひどく短かいもの。AmiというモデルがNYにいると認識してもらう頃には、いつも帰国日が迫っていました。かと言って、NYという刺激の強い街に長期滞在すると、自身の心がひどく疲弊してしまう…。留まった方がいいという気持ちと、日に日に蓄積していくストレスにどうにかなりそうでした(それでも途中には、1年間住んだことも…!頑張った)。
加えて、日本のクライアントにも忘れられないように戻ってくることが大切。そういったアドバイスも取り入れながら、行き来する生活を送っていました。
大勢のモデルがやってくるこの街で、帰国の度に3ヶ月間離れることは、なかなかの代償を伴います。再びNYに戻ってきたときには、以前のことなど無かったかのように、また1から自分の存在を認識してもらわなければいけなかったのです。
東京であれば、少し時間はかかれど、帰国したことが知れ渡ればオーディションに呼んでもらえたり、運が良ければ帰国直後から早速仕事をすることもできます。それは今まで積んできたキャリアのお陰でもあるし、NYでの経験を評価してもらえた結果でもありました。
けれど、こちらではそうもいかない。戻ってくると、毎回新人に戻ったような気分を味わっていました。何百人何千人といる中での私は、ちっぽけな1人にすぎなく、代わりなんていくらでもいるのだと言われているかのようでした。それでも、当時は良かった。何くそ精神でやっていくことができました。
今回久しぶりに渡米するにあたり、そんな当時の記憶が沸々と蘇ってきました。果たして私が今行って、仕事はあるのだろうか…コロナで動けなかった3年半という歳月は、モデルの私にとっても長い長い時間でした。これだけ経っていれば、当時業界で働いていた人もガラッと変わっているかもしれない。変わっていないとしても、3ヶ月で忘れられていたくらいだ、また1からスタートすると思ってやるしかない…そんなふうに自身を宥めつつ、心に少しずつ募ってくる不安をどうにか押し殺していました。
◆添えられていた一言
そうして渡米し、あっという間に2週間が経ったとき、私の元に1通のメールが届きます。それはNYのマネージャーから仕事の前日に送られてくる、スケジュール確認の連絡。集合時間や場所、金額などの詳細が書かれているものなのですが、その中に「Amiに伝えて」という一文が添えられていました。
Tell her we have been waiting for years to work with her again!
彼女と仕事をできるのをずっと待っていたわ!
たった一言。この文章が最後の最後に書かれていたのです。
今までNYで仕事をしてきて、クライアントからこんなふうに書かれていたことなんて…思い出すことはできませんでした。それもそう、NYでリピートしてもらえるなんて、3ヶ月で忘れられていた私にとって、ほとんどなかったに等しいことだったのですから。だからこそ、この一言がどんなに嬉しかったか…!
調べてみたところ、なんと5年ほど前に仕事をしていたことが判明。
しかしどうにも思い出せない。。そのときの記憶が一切ないのです。それは決して怠惰だったわけではなく、それこそ常に全力投球をしているような状態で、自分のやるべき仕事に一直線…つまり周りを見る余裕がなく、あっぷあっぷしていた結果でした。
誰と仕事をしたのか、どういう会話をしたのか(今より弱気で英語に怯えていたため、もはや出来ていたのかも不明ですが笑、それでも一所懸命話していたに違いありません)、余程の衝撃的な出来事でない限り、当時のことは記憶から抜け落ちていることが大半でした。
5年前のあの日、一体私はどんな人とご一緒したのだろう…?そんな気持ちを胸に、迎えた当日。撮影現場に到着すると、一番に駆け寄ってきてくれた女性がいました。
Amiiiiii!!Do you remember me??!
あみーーーー‼️覚えてる??!
ガシッと熱いハグをしてくれたのは、くるくるとしたロングヘアを蓄えた、小柄でアジア系に見える女性。熱烈な歓迎にびっくりはしましたが、こんなにも嬉しい瞬間はありませんでした。たった一回の撮影だったのに、覚えててくれたの?今とは髪型も違ったのに…。朝一からとても幸せな気持ちになりました。
彼女はアートディレクターで、今回のキャスティングもしてくれたそう。
セット前でテキパキと指示が飛ぶ撮影は、ハードなものではありましたが、メールでもらったあたたかい言葉と朝一ハグのお陰で、無事に乗り切ることができました。
また呼んでくれたことも嬉しかったし、言葉にして「待ってたよ!」と伝えてくれたことは、さらに嬉しかったです。こういった一言で、私って頑張れちゃうんだなって、心底言葉の力を感じた1日でもありました。
NYで様々な気持ちを抱えながらやっていた4年間は、決して無駄ではなかったとともに、当時のガムシャラな私が残したものは、今の私が再びこちらに戻ってこなければ、わからなかったことかもしれません。そんなふうに思うと、今回の渡米が本当に意味のあることだったんだと思わされます。
何事においても、選んだ道を正解にしていくことの大切さを、今、ひしひしと感じています。どんなにアドバイスを貰おうと、もっと効率的なやり方があると思われても、結果私が正解と思うことが重要であり、そう思えるように自らが行動していくことで、これからの私の人生がより深みをもって作られていくんだと思います。
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