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モデルのアルバイト選び、私の終着点

モデルを始めたばかりの頃は、大半のモデルが、中々仕事が取れないという状況に陥るかと思います(稀に、最初から売れて仕事に困らない子もいますが。。)。

しかも収入は歩合制。事務所から一定の金額を支給されるようなことはなく、金銭的にも苦しい…
そんな中、モデルに必要なレッスンだったり、BOOKを作るための支払いだったりと、初期費用も多くかかります(意外とかかるので、この時点でモデルになることを諦める人も多いです)。

私も例に漏れず、最初は月に1回の仕事があるかどうかという厳しい状況でした。わかっていた事とは言え、実際に経験すると、やはり辛いもんで。。
精神面の辛さもありましたが、ひとまずは金銭面を補うため、アルバイトをすることになりました。

◆アルバイト選び

ここで頭を悩ますのが、アルバイト選び。モデル業をしていると、先々の予定が立てられない。同業種以外には中々理解されないのが悲しいところで、1ヶ月先は愚か、3日後、最悪の場合は翌日の予定すら見えないことがほとんどです。

加えて、オーディションが入るにしても、何時に入るか確実にわかるのは、前日の夕方。そんなスケジュールの不安定なモデルにとっては、アルバイトを探すのも一苦労。
雇う側からしたら、確実に予定がわかる人と働きたいと思うのは、当然の考え方ですもんね。。

実は、私も様々なアルバイトを経験しました。思い出せる範囲だと、8つかな。今回はその中でも、特に長く続いたり、環境が良く印象に残っているものを書き出してみました。

①人数が多く、近い職業の人がいる

私がモデル始めたてにやっていたのは、アパレルの店員。銀座という都心の店舗だったからか、働く人たちの中には近い業界の人たちも多くいました。俳優、ダンサー、ミュージシャン等々。

シフトの希望はまとめて提出しなければならなかったのですが、その頃の私はオーディション数が極端に少なく、あまり困ることもありませんでした。
それでも急に予定が変わってしまった時は、そういう事情にある程度の理解がある上記の人たちに代わってもらっていました。誰かが困っていたらお互いに助け合うような、とても有難い職場環境だったのです。

しかしここで問題が。表に立つ仕事には付き物なのかもしれませんが、なんとアルバイト先で、強烈なファンの方に出会ってしまいました。。
私が店頭に立っていると話しかけてくる、シフトを聞いてくる、店舗に私宛にプレゼントを持ってくるなど(かなりの量だった。。)…最初はちょっとした世間話をしていたのが、次第にエスカレートし、最後は警察沙汰になってしまいました。

②オーディションに被らない時間帯

上記の出来事に加えて、この頃から次第にオーディション数が増えてきたこともあり、次なるアルバイトを探すことに。
段々とモデル業のペースを掴み始め、自分にくるオーディションが何時頃になることが多いのかもわかってきたため、その時間帯に被らないようなものを選ぶことにしました。

その一つが、深夜帯。深夜のアルバイトといえば居酒屋。
ということで、自宅から少し離れた、韓国風居酒屋のお店で働くことになりました。”韓国風”を売りにしていたので、来店するお客さんには韓国語で元気に挨拶していました。「カムサハムニダー!」…頑張ってたなぁ笑

もう一つは早朝。自宅から一駅離れたパン屋さんで、朝の5時から10時という、これまたオーディションがほとんど入らない時間帯でした。
また、接客ではなく調理場だったので、今までやってきた表に顔を出すような仕事に比べると、自分自身のストレスが少なくなっているのを感じました。
モデルは表に立つ仕事ですが、実は性格的にはこういう顔の出ない仕事が合っているのではと、今でも時々思うことがあるくらい、居心地良く働くことができました。

実はこの2つの仕事は重なる日もあり、居酒屋で明け方3時くらいまで働いて、始発でパン屋へ向かうということも少なくありませんでした。案の定眠くなり、パン屋でうとうとしながら作業していましたが笑

③正直に自分の抱える問題を話す

オーディションばかりの生活から、徐々にモデルの仕事もするようになり、再びアルバイトを変える時期がやってきました。
選んだのは飲食店。カフェでのレセプショニスト(受付係)の仕事でした。

ここまで経験してきて思ったのは、やはり人数の多いところで、いざ仕事やオーディションが入った時に代わってくれる人がいるところが、自分には有難い環境であること。
そして、深夜だと本業に響いてしまうので(お肌の調子や体型の維持に関して、影響が出やすかったです)、やはり日中の時間帯がいいということ。

そんな都合のいいところは中々ないとわかっていました。
けれど、ここでの面接では、「本業はモデルをやっていきたいので、仕事やオーディションが入ったら出れなくなることもあります」と正直に伝えたところ、それでもいいという返事を貰えたのです。
とても嬉しく、こちらの事情を話した上で働かせてもらえることに、気持ちの面でかなりの安心感を得ました。

中々忙しく大変な業務ではありましたが、そこから1年程度お世話になり、お陰で金銭面は安定し、オーディションにも仕事にもしっかりと対応することができました。

◆全てが揃った、辞めるタイミング

そんな私にも、とうとうアルバイトを辞める日が。その時は突然やってきました。

実は、そのアルバイト先はとても人気のあるカフェ。受付業務をしていると、長く待つお客さんや、新しくきたお客さんにとんでもなく長い待ち時間を伝えます。その際に必ず頭を下げるのですが、そんなひたすら謝り続ける日々に、次第にストレスが溜まっていき、自分がくたびれていっていることに気がつきました。

そんなある日、店長が変わり、私が面接で言った事情が通りづらい状況になります。
「急に仕事を抜けられると、こっちも困る」
とも言われ、私としては最初から面接で言っているのに…というもやもやした気持ちと、確かに店からしたらそうだよね、と納得する気持ちも生まれました。

そこで、もう塩時かなと思い、数日後には辞める意思を伝えることとなりました。

◆モデル1本でやっていきたい

実は、決断の裏にはある言葉が大きく関わっていました。

そもそも私は、モデルを始める時に

”モデル1本で食べていく”

という目標を掲げていました。
「モデルだけで食べていける人は、そうそういないよ」と周りに聞かされる度に、だとしたら私はそこを目指したい!と思ったのです(負けず嫌いな性格が出ました笑)。

けれど、アルバイト生活は一向に終わる気配を見せない…どうしたらいいものかと、事務所の先輩に相談をしました。

その際に「私はアルバイトを辞めたら、モデルの仕事が入ってきたよ」という言葉をもらったのです。そしてこの言葉のすぐ後に、店長からの言葉があり、きっと今がそういうタイミングなんだと、全てが一致したような感覚になりました。

思い立ったが吉日。というか、思い立ったら止まれない私の性格上、店長に辞める旨を話し、1ヶ月後にはモデル業だけの生活となりました。

最初はどうなってしまうのかと不安もありましたが、先輩の言葉の通り、徐々に仕事が増えていき、海外に行くことも決まりました。もしもあのタイミングでアルバイトを辞めていなかったら、海外に挑戦する機会もなかったのではないか、とさえ思います。
けれど、全くアルバイトをしていなかったら、新人時代は厳しい状況でしたし、今でも連絡をくれるようなアルバイト先の素敵な方々にも出会えていませんでした。
様々なアルバイトをしたこと、辞めるタイミング、先輩からの言葉、何かが一つでも欠けていたら、今のモデル1本で生活していくという目標には辿りつけていませんでした。

◆中から見るモデル業

モデル業は、表向きは華やかに見えますが、その裏では、金銭面で苦しい時期があったり、常にオーディションで評価され続けることで精神的に悩まされたり、辛抱強く向き合うことが必要な職業です。

そんな中では、たとえモデル同士でも、自分以外がどうやって向き合っているのかは、中々見えづらく、聞きづらい点でもあります。今回は、その中でも特に他人に聞きづらいと私が思う、アルバイトについて焦点を当ててみました。

この記事が少しでも誰かの参考になってくれたら嬉しいです。また他業種の人にも、モデルという職業を知ってもらう一つのきっかけになってくれたらなと思います。

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