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NYで感じた言葉の壁②

ページを訪れてくださってありがとうございます。こちらは「NYで感じた言葉の壁①」の続きになります。

渡米してすぐに感じた言葉の壁は、日を追うごとに私の気持ちを落ち込ませていきました。マネージャーとろくに会話もできない、フォトグラファーには”君は(英語ができなくて)ダメだ”と言われる…さらに英語が苦手になっていきました。

◆話したくなくなる

聞き取れてない・理解していないと相手に知られるのも怖い、喋って文法が間違っていたら恥ずかしい、というような感情に捕われるようになり、段々と喋ることが億劫になっていきました。そして最終的には、皆の話している内容がわからなくても、わかっているかのようにただ笑って誤魔化していました。

今ではわかる。日本語でも知らない単語はあるし、理解できない内容もあれば、間違って覚えている(理解している)こともある。
日本人でも地方ごとに方言があるように、外国人にも色々な人がいて、訛りのある人、早口/ゆっくり喋る人など、みんながみんな同じようには話さない。だから、もし内容がわからなかったり聞き取れなかったとしても、聞き返すことは恥ずかしいことでもなんでもない。

今でこそ当たり前に思える考え方が、当時の私の頭の中には全くありませんでした。物事の渦中にいると、単純に考えていいこともどんどん難しくしていってしまう。
できないことが悪くて、努力が足りなくて、自分はこんなこともできないのかって、自分自身を低く見るようになっていました。

◆気持ちの変化をもたらしてくれた大切な人たち、言葉

そんな私の気持ちが変化したのは、日本人ではない友達ができた時。当時住んでいたモデルアパート(モデル8人の共同生活)に新しいモデルが入居してきたのがそれでした。

彼女は私と同年代の韓国系アメリカ人。何度か話すうちに、穏やかな雰囲気で話しやすく、共感できる部分の多い彼女と打ち解け、仲良くなっていきました。そして”彼女ともっと色々な話をしてみたい!”と思う気持ちが、再び私に英語と向き合う機会をくれました。
”しなければならない”という義務感ではなく、話したいと思う意欲によって。

さらにこの後、撮影で一人の男性フォトグラファーと出会ったことも私の心に大きな変化をもたらしてくれました。

彼はニューヨークの近く、フィラデルフィア出身のアメリカ人。彼女がスタイリストをしていることもあり、その日は朝から3人で作品撮り。
撮影は終始和やかに進み、さあ帰ろうとなった時、一緒にお昼ご飯を食べていかないかとのお誘いが。私は真っ先に、ご飯中にするであろう会話のことを考えました。撮影ではやりとりする英単語が決まっているからまだしも、ご飯だと広く雑談をする英語力を求められるな…と少し不安を感じましたが、彼らのあたたかい人柄に惹かれていたのもあり、勇気を出して誘いに乗ることにしました。

食事中。会話はどうなったかというと…実は彼が日本にとても興味を持っていたことがわかり、日本食やファッションの話で会話が弾み、彼女の方とはニューヨークで好きな韓国料理屋が一緒ということでかなり盛り上がりました。それも彼らの英語が聞き取りやすく、また暖かく接してくれるお陰だと思いお礼を言うと、

”僕は自分の国の言葉を話しているだけだからね。AMIのように母国語じゃない言語を話す人のことを本当に尊敬しているよ。AMIは発音もとてもいいしね。僕からしてもニューヨークの人は話すのが早いからね。僕も聞き取れない時があるよ。”

と返ってきました。”英語が難しくて苦戦している”と言った私に気を遣ってくれたのかもしれませんが、それでも、この言葉は私の心の中にすとんと落ちてきて、苦手だと思う気持ちが溶けていくように、じわじわと変化をもたらしてくれました。
自分は異国の地で頑張っていたんだな、聞き取れないのは自分に原因があると思っていたけど、同じアメリカ出身の人でも難しい時があるなら、全部が全部そうじゃないのかもしれない、と一気に肩の荷が下りたような気持ちになりました。

時は流れて2019年秋、一番最近ニューヨークに行った時のこと。新しくできた友達が言ってくれた言葉で、ほぼ完全に英語から苦手意識が消えました。

彼はニューヨーク育ちのアメリカ人で、私のEnglish teacher。友達なのですが、英語を教えてほしいというと快く引き受けてくれ、逆に彼には少しだけ日本語を教えています。

私が彼に”(何人かで英会話している状況で)言ってることは理解できても、その会話に入っていくことができない”で悩んでいると話すと、”自分も日本人の友達に囲まれている時は同じ状況で、気持ちがよくわかる”と自分の気持ちをシェアしてくれました。
他にも、訛りに関して聞き取れないことが多いと言うと、”自分もヨーロッパのアクセントだと聞き取るのは苦手かな”と返してくれたり(ニューヨーカーでも聞き取れないことあるんだ!と私にとっては結構な衝撃でした)、とにかく私は英語に対する悩みをその場で全て吐き出したのですが、その全てに”わかる!””それは僕もそうだ”と共感してくれ、最終的には”AMIは文法もそこそこできてるし、発音もいい。あとは実践あるのみ!”と背中を押してくれました。
その言葉で、今まで外国の人を目の前にすると構えてしまう癖が、嘘のようになくなったのです。

本当にやりたいことがある時、話したい人がいる時、その意欲が言語を習得させるのかなと思います。実は私にとってそれは、仕事よりも”友達と話すこと”でした。そんなふうに思わせてくれる友達ができたこと、自分の気持ちをシェアしてくれた友人たちに感謝しかありません。
今でも英語を使う仕事は緊張はしますが、苦手意識はだいぶ無くなったかなと思います。何より、外国の人と話すのが楽しい!初渡米からは4年も経ってしまいましたが、ようやく壁を乗り超えられた気がします。

自分ではわからないこと、悩んでしまうこと、たくさんあります。そんな時は共感や肯定が大切。私は日々、周りの人がくれるたくさんの素敵な言葉に助けられてきました。そんな彼らに感謝して、次は私がそういう人になっていけたらと思っています。


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