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カメレオンなモデルを目指すまで〜顔立ちの悩み〜

今回は見た目についてのお話後編です。私が事務所に所属してからずっと悩んでいたことがあり、それってもしかしたら誰しもが思っていることかもしれないと思い、書き留めておくことにしました。

前編は「自分の短所は他人から見た長所と思う」です。良かったら合わせて読んでみてくださいね。

◆自分のやりたい仕事と現実

私が今の事務所に所属したのは、”海外挑戦したかったから”という理由もありましたが、”こんな仕事をしてみたい、こんなモデルになりたい”と思う憧れの先輩がいたことも大きな理由でした。

けれど所属に必要なレッスンを受ける中で、周囲が私に求めるモデル像は自身の理想とはかけ離れたタイプのものでした。

特に所属後に言われた一言、

”AMIは〇〇(モデル名)のような(個性的な)顔立ちではないし、〇〇のように正統派でもないから、モードとコンサバの中間を目指してほしい”

これが、その後の私を悩ませる決定的な言葉となりました。

私は元々モード(現在はファッションと呼ばれているかと思います)のモデルの先輩に憧れて入っていたので、自分がそちら側にいけないことに衝撃を受けたし、かと言って正反対のタイプでもない自分は、どちらにも属さない中途半端な顔立ちなのか…とひどく悲しくなったのを覚えています。

ポジティブに考えれば、”どちらの仕事もできる”モデルなのですが、片方を極めようと思っていた当時の私にとっては、残酷にも思える現実でした。

でも、そこで諦めないのが私です笑

①”まずは一度、自分で諦めがつくまでやってみたい”

とにかく私はこの↑想いが強かった!テストシュートを組んでみたり、髪の毛を短く切ることを提案したり(所属直後はロングヘアでした!)して、どうにか自分の方向性を変えようともがきました。

その結果として、初めての東京コレクションでMissoniのデザイナー来日ショーに出演することができました。(当時の写真↓)

モデルは全部で50人ほど。日本人モデルは10人ちょっと出ていた中で、私が憧れていた先輩も出ていました。自分はその先輩とは違う系統だと言われていたのに、同じショーに出ることができた!と、本当に嬉しかったのを覚えています。
そして、ここから私の仕事の方向性が180度(これはあくまで私の感覚ですが笑)変わりました。

②やればやるほど実感する違い

初めてのコレクション(ランウェイ)が終わった後、ファッションのオーディションに呼ばれることが増えました。
これで憧れの仕事ができる!…と思ったのも束の間。いざ個性的なモデルが集まるオーディションに入れられると、かなりの厳しい戦い。上には上がいる、やっぱり私にはファッションの仕事は取れないのか…と落ち込んでいきました。

特にショーのオーディションでは、強い表現を求めるブランドでことごとく落ちる。私が受かるのは、上品さや少し柔らかさがあり、けれどその中にも強さがほしいというブランドが大半でした。

当時の私は、アイラインを引いたりアイシャドウに色を乗せるようなメイクをしてもらえば私も強い顔になるのに…!そう思っていました。でも、オーディションはすっぴんだし、流行りはすっぴんのようなナチュラルメイク。

そこで感じた劣等感のようなものは、ニューヨークに行くようになっても変わることはなく、むしろ日本よりも顕著にあらわれました。
ニューヨークファッションウィークで、出たいブランドのオーディションに残るのは、自分よりも顔立ちの強いアジア人。日本では割と個性的な顔として見られることもあった私ですが、海外に出ると、同じアジア人の中では大人しい顔立ちに感じられました。
他の仕事をやってはいたものの、私がやりたいことは果たしてこれなんだろうか、と自信がなくなっていく日々を過ごしました。

③捉え方一つでマイナスがプラスに

そこでその流れを変えてくれたのは、ビューティー(化粧品広告など顔の寄りの撮影)の仕事。それまでずっとショーに出ることが自分の中で大きな目標だと思っていた考えが、変わり始めるきっかけとなりました。

その仕事が、shu uemuraのワールドキャンペーン。ニューヨーク滞在中に決まり、ロンドンで撮影。

ちなみにこの仕事は、日本で撮ったビューティーの仕事(Harper's BAZAARの1ページ↓)がきっかけで呼ばれています。

キャンペーンを皮切りに、ビューティーの仕事が多くなり、ヘアメイクで全く別の自分になれること、わずかな角度で面白いくらいに見え方が変わるこの仕事に楽しさを覚え、いつしかショーに対する拘りがなくなっていきました。(もちろん急にはなくなりませんでしたが、何年かかけて徐々に。)

と同時に、自分の顔の良さが自分でもわかるようになりました。

世界基準で見たら私より個性的な顔の子はたくさんいるけれど、私は個性が強すぎない分、色々な顔になれる
強いメイクをしたら個性的な顔にも見えるし、ナチュラルで綺麗めのメイクをしたら柔らかい雰囲気にもなれる。それが強みだ、と。

さらには、世界中で打ち出される広告撮影の際に、あるメイクさんから

”特定の国じゃなく、アジアでもどこの国の人かわからないような、そんなAMIちゃんの顔立ちがいいんだよ”

と言ってもらえたことは、自分の顔が中途半端なんじゃないかと悩んでいた私にとって、海外活動をする上で大きな支えとなりました。この言葉に、深く感謝しています。

当初思い描いていた仕事(ショーに出る)ができずに何度も落ち込み、自分には向いていないのかと悩み続けましたが、苦しい現実を受け止めながらもその出来事を繰り返していくうちに、新しい分野を見つけることができました。
ビューティーの仕事は私にとってやりがいがあり、のめり込めるほどに好きで、この仕事をやっていて良かったと思える大切な存在にまでなったのです。

◆経験した人にしかわからないことがある

自分のやりたいことと実際にやれること、それが最初からぴったりと合致している人なんて、ごく稀(まれ)かなと思います。他のモデルや他業種の人からも、元々は今の仕事をするつもりはなかったんだよね、と聞くことが多いです。
実際に私も、新人の頃の撮影で厳しい言葉を投げかけられたり、有名モデルと比べられたりしたことで、”私にビューティー撮影は無理だなぁ”と苦手意識すら持っていました。

今もし何かやりたいことがあるなら、一度はやってみることをお勧めします。向いてない・向いてる、できる・できないは実際にやってみた人にしかわかりません。他人の言葉や想像なんて、その人が経験してきたごく一部の世界から生まれた考えにすぎません。

やりたいことができるようになるかもしれないし、やってみたら思っていたものと違って残念だったとか、私のように別の好きなことを見つけられるチャンスになるかも。

◆おまけ

ちなみに。ショーやりたい!!と思っていた時よりも、今の方が断然ショーのオーディションで受かるし、ファッションの仕事もさせてもらってます。
キャリアもあると思いますが、自分には別の得意分野があるという自信と、いい意味で肩の力が抜けているんじゃないかな、と自己分析してみてます。先輩方に比べたらまだまだひよっこなので、この分析が当たっているかはわかりませんが…笑

そして、時々ではありますが、憧れの先輩とオーディションがかぶったりもします。こんなことが起きるのも、私の強みかな、と思っています。
全部一緒ではないけれど、両側のタイプに、ごくたまに混ぜてもらえる仕事がある。それって逆を言えば、私のようなモデルにしかできない仕事もあるってことで、冒頭に言われた言葉を本当の意味でようやく理解したのでした。

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