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志村けん 本「志村流」~個性は変人だけど常識は凡人、仕事や人生を語った本~

あみあきひこです。

今回は
志村けんさんが生前に書いた
「志村流」をご紹介したいと思います。

志村流―当たり前のことが出来れば、仕事も人生も絶対に成功する (王様文庫) 2005/1/28


↓ご存知の人かと思いますが一応作者紹介

志村けんって誰?
志村 けんは、日本のコメディアン、お笑いタレント、司会者である。ザ・ドリフターズのメンバー。イザワオフィス所属。1972年までの旧芸名および中国語での表記は「志村 健」。本名は志村 康徳。(中略)
2020年3月29日午後11時10分、新型コロナウイルスによる肺炎のため、入院先の国立国際医療研究センター病院で死去した。70歳没。
Wikipediaより)(イザワオフィスのプロフィールページ


私も子どもの頃はテレビっ子で
志村さんが出演する番組を
見たりもしました。
バカバカしいけど
明るくて面白くて
元気が出るんですよね。

バカ殿様が優香姫とシーソー遊びする話が好き

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ネットでよく
「志村けんの笑いは自分が
馬鹿になりきって笑いをとるもので
他の人をけなして
笑いをとるようなことはしない、
誰も傷つけない笑いだ」
なんてコメントを見ます。

人柄がよくて
後輩芸人に対する
面倒見がとてもよかったなんていう
エピソードも聞きます。

そんな志村さんが
どんな生き方をしたのか、
今更ながらその本を読みたくなり
本書を読むにいたりました。
その内容を私なりにまとめたいと思います。

実際、この本を読んだすべての人が、オレと同じように感じるはずはないし、考えることもないんだけど、「やってみようかな」とか「明日、頑張ろう」という、きっかけのひとつにでもなってくれれば、うれしいな。
目次
1.一生は一日24時間、宙ぶらりんなら変なおじさんに変身する?
2.肝には金を使え、お金の使い道
3.常識なくして成功なし
4.偉大なるマンネリはスタンダードになる
5.振り返った時に「けっこう幸せだった」と思える人生を


1.一生は一日24時間、宙ぶらりんなら変なおじさんに変身する?

「人生は七十二年、それが丸一日だ」
そんなことを言った人がいるそうです。
その言葉を元に計算すると、
1時間は72年の人生の中で3歳。

18歳だと新聞配達が来る朝の6時頃で
男性の働き盛りと呼ばれる42歳は
最も太陽の陽が強い14時、午後2時頃。
ちなみに私は現在30歳なので朝10時。

人生を1日に置きかえてみると
午後2時…42歳を過ぎた頃から
陽が落ちてきて、
52歳、夕方5時以降はアフターファイブ。

陽が高いうちにできることをやって
人生の基盤を作り、
陽が落ちたら夜は趣味をしたりして
できる中で充実感があることをする。

こうして人生を1日におきかえて
自分のあり方を考える方法が
本書に書いてありました。
物事をやるのに遅すぎるということはなく、
人生の、その時々の時間帯にあった
やるべきこと、やれることを考えて
残された時間をポジティブに生きる。

私が特に前向きでいいなと思ったのが
「自分を『変なおじさん』に変身させてみる」
という見出しの部分。
本文を引用してみます。

夕方の五時や六時近くに差しかかっていても、本当に何も成果がなかったり、宙ぶらりんの状態なら、思いきって考え方を切り替えてみるというのもありじゃないか。たとえば、この際、『変なおじさん』に変身してみる、っていうのはどうだろう。

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志村さんが演じるキャラクターの一人
『変なおじさん』は
若い女の子が大好きで、
色々なイタズラをして喜ぶ困ったおじさん。
志村さんの本心、願望を
代わりにかなえてくれるキャラクターだと
本書の中に書かれていました。


つまり、『変なおじさん』に変身するってことは、地の自分をさらけ出すこと、自分の本心を開放してやることなんだよなぁ。人生も後半戦なんだから、いままでの自分や、まわりから作られてきた固定概念をとっぱらって、自分自身に素直になって生きていくってことがいちばんじゃないのかな。

それと、自分の人生、後半戦、後は夜を迎えるだけと落ち込まないことも大事。野球だって、昼間やるデーゲームよりナイターのほうが気持ちよくプレイできるじゃない。


2.肝には金を使え、お金の使い道

お金に関する価値観の話にも
割とページが割いてありました。

志村さんも昭和を生きた人、
現代の一般的な若者とは
価値観がだいぶちがうので
本を読んでいて
「そこはちがうな」と感じる人も
多いかもしれません。
(世代の差に加えて
芸能人だから
民間企業の人と
感覚が違うというのも
あるのかも…)

特に価値観の違いが出てくるのが
お金に関する話題だろうな、
という感じがしました。
(あとは女性関係の話についても
苦手な人は苦手かな、という感じ)

例えば
キャッシュレスが嫌いで
給料も現金の手渡しじゃないと
お金のズッシリ感がなくて
素直に喜べない、という部分や
宵越しの金は持たない的な部分。
(わからなくはないけど)

読んでいて不思議な感じもしましたが
「なんでそう思うのか」という部分や
時代背景も詳しく書かれていて
自分と違う世代の人が
どういう感じ方をして
そういう意見になるのかという点が
よくわかって面白かったです。
(ちなみにこの文を書いている私は
現時点で30歳、平成生まれの人間です)
本は色々な立場の人の意見を
深く知れるからいいですよね。

さて、
そんなお金の話の中で
特に印象的で腑に落ちたのは
「肝には金を使え」
という部分です。
肝というのは
肝心要(かんじんかなめ)、
自分にとって大事なこと。

ここ一番という大切な時、大事なポイントでは、絶対に出し惜しみせずに使うべきなんだよ。


志村さんは
仕事に絶対必要だと思ったものには
お金を惜しまなかったと書いています。
例えば、ネタになりそうなビデオやDVD、
演出で使うかもしれない音楽。
放送作家の朝長浩之氏は
ポケットマネーを支払って
個人的に仕事を依頼してたそうです。
「金の面倒はすべて見る。
だからオレの仕事だけをやってくれ」
とまで言い、朝長さんを囲っていたとか。
なかなかできることではありませんが、
ネタ作りと構成にはそれだけ
力を入れていた、ということなんでしょう。

より質の高いレベルの仕事を求めるがゆえに、お金を払って協力してもらっている。それが気心のしれた朝長ということになる。


才能は金(カネじゃなくてゴールド)と同じで
世界中どこへ行っても換金できる。
この金を高く売るためには
換金率がいいところで換金するといい
…とも書いていました。

すなわち
自分が活躍できる場所や
より高く評価してもらえる場所を
見定めて働くのがいいだろう
ということですね。
「稼ぐ能力があれば
どこでも生きていける」とは
ビジネス系のYouTube動画で
よく聞く言葉ですが
つまりそういうことですね。

独立するにしても、会社で働くにしても、個人の才能が最も重要になることは間違いない。これは肝に銘じておくべきだ。


人間誰しも得意、不得意があるのは当たり前だ。冷静な目で自分を見つめてみて、自分の能力や価値を知ったうえで、足りないところや不得意なところは、他の人に協力してもらうなり、お金を払ってでも補ってプラスにしていくのは、大事なことなんだよ。

3.常識なくして成功なし

当たり前のことを大事にする、
というのがこの本で語られる大きなテーマです。

いつの時代も、成功した人に学ぶことは多いけれど、
そういった人たちが守ってきた人生哲学って、
意外なほど拍子抜けするような、
常識的な、当たり前のことだったりするものだ。
礼儀作法や時間厳守、努力と忍耐、蓄積と継続
……などなど、
当たり前のことが出来て、少しの才能と個性、
それに決断力があれば、
今日より明日は、いい生活が出来るかもしれない。


とは言え、
常識というものは
不変ではないもの。
時代時代によって
常識は変わってくるので
柔軟性をもって
あわせていくことも大切です。

志村さんは
人から認められるためには
「フツー」じゃダメで、
相手以上のインパクトが必要と
しながらも、
ルールを守らない人や
常識的なところを大事にしない人は
成功しないと書いていました。

お笑いに限らず、常識をバカにする奴に、常識を超えたことは絶対に出来ない。
ごく普通の、常識と思えるような些細なことを、地味に、当たり前のように続けていければ、そのうちまわりが認めてくれるに違いないと、オレは信じるね。


芸能界では大御所が
収録に遅刻することは
割とあるそうですが
志村さんは
約束の10分前には
その場所に入っていたそうです。

また、自分の番組では
自分が目立つことよりも
ゲストの人をいかに目立たせるか考え、
気持ちよく帰ってもらうことを
大事にしていたとも書いています。

「おごり方のルール、おごられ方のマナー」
というページでは
一緒に飲む人のことを立てて
おごったりおごられたりする、
といったことが書いてあり、
志村さんが常識や礼儀を
大切にしてきた人なんだな
ということが感じられました。

礼儀の問題は新しい、古いって言っている場合じゃない。古今東西、永久不滅のものだと思うな。
もの作りの個性はトンガっているけど、日常生活では常識人でいたい。逆に、個性は凡人並みで、常識のほうはイっちゃってる変人じゃ救いようがない。オレはいつでも「個性は変人、常識は凡人」でいたいと思っている。


4.偉大なるマンネリはスタンダードになる

毎年12月頃になると
日本中で流れる
山下達郎さんの「クリスマス・イブ」。


1983年の歌なのに
(もう40年近く前の歌なんだなぁ…)
いまだにずっと使われていることは
本当にすごいと思います。
日本のクリスマスの
スタンダード・ナンバーですよね。

志村さんは
スマッシュ・ヒットと呼ばれる
一発モノの流行りの歌は多いが
スタンダード・ナンバーとして
歌い継がれる歌になるには
かなり難しいと書いています。

このマンネリはすごい。マンネリって普段あまりいい意味で使われないけど、マンネリもある域に達したら立派なものだ。飽きられないマンネリ、日々新たなマンネリというものがあるんだ。


これは音楽の話ですが、
他の分野にも
スタンダードというものはあり、
例えば
だれもが安心して頼める焼き魚定食、
わかりやすく子供から大人まで知っている
『バカ殿様』『変なおじさん』など。
さらに、
スタンダードに対する考え方は
仕事にも大いに役立つとしています。

スタンダード・ナンバーたる人材として認められれば、安心して仕事を任せられる人間として、大きな信頼を勝ち取ることが出来ると思うけどね。


志村さんがあげている
「スタンダード」の条件は
以下のとおり。

1.わかりやすさ
2.親しみやすさ
3.シンプルながら強烈なインパクト
4.上記3つのポイントのバランスを保つ

…この条件って
漫画にもあてはまるんだろうな、
なんて考えながら読んでました。
わかりやすく親しみやすく、
シンプルでインパクトがあって
バランスがとれた完成度。
肝に銘じておきたいです。

5.振り返った時に「けっこう幸せだった」と思える人生を

本書の冒頭の部分に
こう書いてありました。

振り返ると、人生、もう半分以上来てしまった。けれど、好きな道一筋で、ここまで来られたのだから、けっこう幸せだったと思う。

本の中には
芸人として、また
ひとりの人間としての志村さんの考えや、
志村さんと付き合いが長かったという
放送作家の朝長浩之氏から見た
志村さん像が書かれていましたが、
それらからは
志村さんのおおらかな人柄や、
ストイックさが感じられ、
辛いことを乗り越えながらも
いい人生を送ってきたんだろうな
ということが想像できるものでした。

私の人生もこれから
つらいことや苦しいことが
あったりするんだと思いますが、
年をとって振り返ってみた時に
「けっこう幸せだった」と
思える人生を歩んでいきたいです。
そう思える素敵な本でした。

改めて、
ご冥福をお祈りします。


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