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ユーザーのご自宅に実際にお邪魔するユーザーインタビューを実施した話

こんにちは。KIDSNAシッターというアプリでUX/UIデザインを担当しているAMIです。
KIDSNAシッターではアプリのUIを考える際に、利用してくださる保護者さん、シッターさんの声を大事にしています。

先日、実際に普段からシッターのアプリをよく利用してくださる保護者さんのお家に訪問し、インタビューをさせていただきました!
昨今リモートや来社の形でのユーザーインタビューはよく耳にしますが、実際にお家まで伺ってのインタビューは初めてだったので、良かったことや実践のコツなどをこのnoteでご共有できればと思います。


1. インタビューの準備

1-1 はじめに、目的と仮説の設定

まずはインタビューの目的を整理するところからスタートしました。
「ユーザーが今のサービス体験に求めているものを理解し、UXデザインを考えるヒントにする」ことが大きな目的ですが、そのヒントを元に何か施策を実施して効果を出すことが何より大事であり、最終ゴールです。

そのためデザイナーだけで進めるのではなく、PO、CS、開発などのチーム関係者と擦り合わせ、目的、ゴール、手法を検討しました。

<インタビューの目的>
①ユーザーに継続利用してもらうための仮説検証
②ユーザーの価値観を探り、機会を発見する

<ゴール>
サービス改善のための施策を提案する

<手法>
ホームビジットインタビュー

その中で今回、私たちが「ホームビジットインタビュー」という手法を選んだ理由は以下の3点です。

①事業との親和性
KIDSNAシッターはベビーシッターを利用するユーザーが使ってくれるアプリなので、普段ユーザーさんは自宅でシッターさんを出迎え、サービスを受けています。その実際の自宅へお邪魔することで、よりリアルで鮮明な情報を感じ取れると考えました。

②心理的効果
インタビューは緊張することが多いため、自宅というリラックスできる場所で行うことで、話しやすくなったり、普段実際にアプリを操作している環境でもあるので、質問の中で場面を思い浮かべやすくなるのではと考えました。

③トラブル対策
何回かリモートインタビューを実施する中で、接続トラブルは課題だなと感じており、その対策も理由の一つでした。事前にご案内をしていてもユーザーさんが操作に慣れていなかったり、お子さまがいるため途中で退席されたりと予期せぬ事態になることもあるので、対面でお話を聞けると聞き漏らしや時間のロスが少なくて安心です。

1-2 質問設計

今回の目的に沿って、2種類の質問で構成することにしました。

①仮説検証のための具体的な質問
②インタビュイーに深く共感するため、価値観を探る質問

最初に時間配分を決め、質問にどのくらい時間がかけられそうかを想定します。「①仮説検証のための質問」は、必ず聞く必要があるため優先度を上げるようにしておきました。

さらに、ホームビジットインタビューを活かし、ユーザーさんが普段どのようにシッターさんを自宅にご案内しているのか、簡単な実演を行なってもらうことにしました。

インタビューの質問設計に関しては詳しい本やnoteがあると思いますので、今回は実演をどのように行ったかの部分を次の項目で詳しく書きます。

2.インタビューの実施

2-1 当日気をつけたこと

<大前提>
当日いよいよ実際にお宅にお邪魔してインタビューとなると、とても緊張しましたが、何よりもラポールを意識しました。
ユーザーさんに信頼してもらい、リラックスした状態でお話してもらえるよう、「服装」「話し方」などは堅すぎず、失礼のないようにバランスを取ることに気をつけました。

<実演の実施>
事前に計画していた実演内容は、「もしも私があなたのお家に初めて来るシッターさんだった場合、どのように家をご案内しますか?実際にやってみてください」とユーザーさんにお願いするというものです。
当日は質問をさせていただく中で、緊張もほぐれていき、ある程度の信頼関係が築けたところで、最後の方で実演をお願いしました。
もし最初にいきなり、実演をさも当たり前のようにお願いしていたら、ユーザーさんも図々しいなと思ったかもしれませんし、質問をする側としてもたくさん会話をした後の方が切り出しやすかったです。

それでもいきなり上記のセリフをそのまま言ったとしても、なんだかぎこちなくなってしまうので「自然な流れ」を意識しました。

(例)
自分「普段はこのお部屋でシッティングを受けていらっしゃいますか?」
相手「そうですね。ここでも遊んでもらっていますが、他の部屋でもお願いしています」
自分「別のお部屋もあるのですね。もしよかったら、私をシッターさんだと思っていただき、いつも説明するようにお部屋の使い方を案内していただくことはできますか?」

このように少し会話を挟むだけで、柔らかい申し出に聞こえるかと思います。実演だけでなく全体を通してユーザーさんが答えやすい設計を心がけると気持ちよくインタビューができると思います。

2-2 今後活かしたいこと

今回は初めてのホームビジットインタビューで、失敗することも多く、次はこうしたい!と思った点をまとめます。

①wi-fi環境の確認
事前の打ち合わせでwi-fiはスマホのデザリングで対応すると決めていたのですが、開始直前に接続が切れてしまい結局PCはオフラインの状態で進行を進めました。何度か接続のテストをしておくべきだったなと反省しました。

②録音・撮影できているか確認
自分以外の別の方がカメラで撮影をしてくれていたのですが、自分のスマホでも撮影をする予定でした。しかし、質問をするのに夢中になってしまい、途中から撮影を開始しました。事前にトークスプリクトの中に「※ここで撮影開始」などと記載しておけばよかったと思いました。

③ご挨拶の際に名刺をお渡しする
名刺でご挨拶する機会が少なく、普段から名刺を持ち歩くことがなかったこともあり、当日に名刺を持参せずに向かってしまい、ご挨拶する際に「名刺があればよかった….!」とすごく後悔しました。やはり普段から名刺を持ち歩くことが大事ですね。

3.振り返り

最後に、大事な実施後の振り返りについてです。
親和図法を利用した振り返り方法が一般的かと思いますが、手法の説明は詳しい記事などがあると思いますので割愛します。

3-1 振り返り方法

今回私たちはまず、当日撮影したインタビュー動画を見ながら、デザインチームとマーケ担当の方で気づいたことをまとめる会を行いました。
事前に動画と見たいポイントを共有しておいて考えてもらい、canvaで付箋を貼って発表しました。

事前に共有したslack
canvaにまとめた付箋

黄色い付箋には、ユーザーさんの行動や発言の情報を記載し、ピンクの付箋にはその情報から何が分かりそうかを記載していきました。

(例)
・スマートフォンには仕事関係のアプリが殆ど、最初のホーム画面にもslackなど複数のメッセージアプリがある
・会話の途中でビジネス用語がいくつか出てきた

→「ビジネススキルが高い。プライベートでも合理的な判断ができる人」

例のように、いくつかのユーザーさんの行動や発言を結びつけて、実はこうなんじゃないか?と参加者に想像を膨らませてもらいました。
その後、参加者全員の付箋を分類し、似たような傾向をユーザーさんの人物像としてまとめました。

人物像をまとめたメモ


どんな人なのか傾向が掴めたら、この人の抱える課題と、それをどうやって解決すると良さそうかを全員で考えました。

課題と施策のメモ

自分一人だけでなく、他の人の意見も聞きながら施策まで考えることで、具体的な事業への活かし方が見えてきて、参加者した方は「インタビューを行なってよかった」と思ってもらいやすくなると思います。

3-2 レポート方法

最後に、レポート方法についてです。
事業関係者が、そういえばあのインタビュー実施後にどうなったんだろう?と時間が空いてから結果を共有するのでは遅いので、なるべく早く関係者に共有し、施策を提案した方が良いと思います。
そのため、なるべく早くトップラインレポートとして資料をまとめ、事業関係者に共有しました。

<トップラインレポートに含めたもの>
・目的
・検証したい仮説
・この方の人物像、課題、課題を解決する施策
・仮説検証の結果、結果を踏まえた施策

この要素をトップラインレポートと呼んだのは、さらに複数人のインタビューを行い、情報量を増やしたときに親和図法など専門的な分析手法にかけた場合に続報としてお伝えしますよという意味を含むためです。

実際にレポーティングを行うと、その場で施策を提案することで文脈にも説得力が増し、これはすぐにやったほうが良いよね!という施策も中には出てきました。そちらを素早く実装してもらうことで、良いサイクルが生まれると思っています。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

4.参考にした本




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