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地方DTPオペレーターの年末所感〜勉強会で学んだことの棚卸し〜

DTP Advent Calendar 2019(12/17)の記事です。

私は、富山県在住のインハウスDTPオペレーターです。
DTP未経験&ノンデザイナーからスタートして、実務で経験を重ねつつ、各地の勉強会に足を運んで学んでいます。また、とやまデザインDTP勉強会の主催者の一人でもあります。

今年は何を書こうかと迷ったのですが、年末に書く文章なので、今年の学びを振り返りつつ、先のことを考えてみようと思います。

勉強会の4つのカテゴリ

各地の勉強会の主催者と登壇者の皆さんのおかげで、今年も学ぶ機会を得られたこと、深く感謝しています。また、頻繁に県外へ行けないため、アーカイブ販売のある勉強会も非常に有り難かったです。

今年参加した勉強会を振り返ってみると、その内容は次の4つのカテゴリに分けられました。
・これまで培われた技術(タイポグラフィ、組版印刷の歴史、デザイン論)
・近年のアプリのTips
・現在とこれからのデザイン(デザインの実例と考え方、デザイン経営)
・感性に関すること(展示会等)

「越境」する人が求められる時代に

最近、Designship2019のアーカイブを受講しました。それは、ドキッとするセッションの連続で、自分のいる業界は、10年先、20年先どうなっているだろうと考えながら、身を乗り出して聞かずにおれない内容でした。グラフィック・プロダクト・デジタル、各分野のデザインに携わる登壇者が、今と、これからの業界について熱く語っていたからです。

いくつものセッションに、「越境」という言葉が出てきました。イノベーションは、BTCの連動によって生み出されると言われます。そのB/ビジネス・T/テクノロジー・C/クリエイティブ、それぞれの領域を越えるという意味です。これまで、ビジネスとテクノロジー、ビジネスとクリエイティブのように、越境したスキルを持つ人材が必要とされる時代と、そうでない時代が交互にやってきたとのことでした。

ソニー等の創業者が現れた当時、技術革新によって従来の枠組が壊れ、越境したスキルを持つ人が時代をリードしていました。第4次産業革命と呼ばれ、急速にデジタル化が進んでいる今、再び越境型のスキルが求められる時期にさしかかっています。現実に、BTCの中間業務が増えているのです。

グラフィックにおけるBTCとDTP

ここまで聞いて、グラフィックにおけるBTCを考えてみたら、テクノロジーに当たるのは組版(DTP)・製版・印刷・製本、クリエイティブはデザイン・編集という見方ができると思いました。

金沢デザイン会議で「デザイン経営」と表現しているのは、デザイナーがクリエイティブからビジネスへ越境していく時代という宣言でしょう。

テクノロジーとクリエイティブの越境に関しては、『アイデア』元編集長の室賀清徳さんと、同雑誌のデザインと組版を担当していた白井敬尚さんの話しを思い出しました。互いに越境して意見を出し合って雑誌を作り上げていたという、松本タイポグラフィ研究会の講演をです。

また、組版の中でも、アナログから写植、そしてDTPへとツールが移行するに従って、1人が担う仕事の幅が広がり、技術の越境が進んできました。その過程は、大阪DTPの勉強部屋の「文字と組版、印刷展」でよく分かりました。

グラフィックとデジタルのBTC、そして未来

近年、紙の書籍用に編集したものを、電子書籍用に変換したりWEB用に再編集しています。また、デジタルファーストの流れもあり、グラフィックとデジタルのBTCが交わり、その距離が近くなっている感覚があります。

この先、AI技術が発達した未来でも、人が何も見なくなったり認識しなくなることはないでしょう。紙かディスプレイかメガネ型デバイスか3Dホログラムで、文字や静止画あるいは動画を見るのか、それとも網膜直接照射デバイスか脳への直接アクセスで認識するようになるのか、手段は変わるでしょうけれど。そして、世の中の流れで嗜好の変化はあっても、五感で受ける欲求は変わりません。

そこへ用意するコンテンツの制作ツールは変化を続け、やがて多くの人が良いと感じるコンテンツを作成することは、機械学習によって容易になるでしょう。一流デザイナーのビジュアルとタイポグラフィと同様のものを、選択するだけで仕上げられるようになるかもしれません。

しかし、こんな目的で、こんな場合に、こんな人に見せたいと状況設定をしてコントロールするのは、当面、人であり続けるのではないでしょうか。

少し、妄想が暴走しました……

つまり、これからどんな世の中に変わるとしても、先に挙げた「勉強会の4つのカテゴリ」の学びは、今後の私にどれも有益に感じると言いたかったのです。

来年に向けて

「1つの技術を身につけるのに5年。だから、5年単位、10年単位で、今の技術を掘り進むか、隣に行くか選択するタイミングがある」という話しも、Designshipで聞きました。

現在、DTPオペレーターの技術を掘り進めながら、編集とデザインへの越境を試みています。そして、やがて来る「選択のタイミング」を見据えて、隣接するデジタルのBTCに越境する道を確認しつつ、ビジネスの視点も学んでおきたいです。

来年も、各地の勉強会にできる限り足を運んで学びたいと思っています。名古屋DTPの勉強部屋DTPの勉強会(東京)DTPerのスクリプトもくもく会さいたまデザインDTP勉強会に行けていませんが……。そして、とやまデザインDTP勉強会も開催を予定しています。皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。


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