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みんな違って、みんな良い-常識を考え直すワークショップ参加レポ

これは、会社で開催しているワークショップの第2部に参加したときのレポ。

第1部の記事はこちら

常識を考え直すワークショップとは

このワークショップは、「ジェンダーに関する常識について対話やワークを通して考え直そう、アップデートしよう」というもの。

第1部は美術鑑賞や実際にジェンダー問題で炎上した、雑誌の表紙リメイクをするというワークを参加者や主催者と「対話」しながら体験し、
その上でジェンダーに対する常識って?差別って?ということを考えるワークショップだった。

「対話」とは
自分の考えや背景に固執することなく、
相手の考えや背景を積極的に取り入れること。
相手の意見は否定せず、「こういう考えがあるんだ」とお互いに受け入れて異なる価値観をすり合わせ、差異から出発したコミュニケーションの往復に重点を置く。

第2部からは、コロナの影響ということもありオンライン上での開催だった。
オンラインでのワークショップって正直どうなのか…と少しの不安を募らせつつ参加。
1日で完結だった第1部とは違い、時間を分割して4日にわたっての開催だったので、短時間で色々考えてワークをしなくてはいけなかったが、気持ちがダレることなく集中力MAXで挑めたんじゃないかと思う。

また、リラックスできるようなアイスブレイクがあったり、BGMの音楽がいい感じだったりして、参加前に感じていた不安はすぐになくなった。(単純)
※Zoomで音楽が流せることとグループごとに分かれて部屋を作れることを初めてここで知った。便利。

第2部のテーマは【ジェンダーへの差別や偏見に関する歴史について】

ワークの内容は、シナリオの創作を通して加害者の変容を考えるというもの。
もう少し詳しく説明すると、「差別をする人たちの常識や思い込みを変えるにはどうしたらいいのか」をワークを通して考えるというものだった。

「加害者」というのは、例えば、
シンデレラに対して「家事をしろ」などと言っていじめていた継母(シンデレラ)
真実の愛のキスをアナにするかと思いきや、実は国を乗っ取ることを考えて近づいていたというハンス王子(アナと雪の女王)
など、物語上では「悪役」とされる、主人公を彼らの価値観や常識で困らせたり傷つける人たちのことだ。

物語に限定せずとも、「女は家事と育児をするもんだ」「男なのに」「同性同士で恋愛なんて…」と言う人たちのように現実の世界にも「加害者」が存在する。

その「加害者」に対して、どういう行動や出来事があれば彼らの価値観や思い込みを変えることができるのか?をシナリオを作りながら考えるというワークだった。

「加害者」が主人公のシナリオを考えるなんて、というかシナリオ作成自体普段やらないことなので、すごくワクワクした。

元になるシナリオの型はこんな感じ。

ある「思い込み」から起こる言動によってAを困らせていたB(主人公)には、「本当はこうありたい」という願いがありながらも、行動を変えられずにいた。
Bともともと関係を持っているYはBの願いをくじき、Bの思い込みを強めようとする。
そこにXが現れ、Bの願いを実現する手助けを始める。Xとの関係に戸惑いながらも、Bはあることを成し遂げ、願いを叶えるのだった。

まずは宿題としてそれぞれが考えてきた、主人公や関わる人達のペルソナをグループ内で発表しあい、どのペルソナでいくかを決めていく。
そして決まった登場人物を元にシナリオを組み立てていった。

物語を組み立てた後は、違う人達とグループを組んで作品の感想を言い合ったり、「差別や偏見によって困らせてしまう人を助ける協力者として大切な要素」について議論したりした。

思ったこと

物語を作成するワークでは、ランダムに分けられた班のメンバーとともに
ああでもないこうでもないとシナリオを考え作っていく工程がすごく楽しかった。
普段仕事で関わったことがない、または始めましてのメンバーからセンシティブな分野の意見を聞いたりするのは新鮮だった。
(逆に仲いい人とは改まってこういう話をしない気がする…)

共感する部分が多かったので対話とはちょっと違うかもしれないけど、話し合いとしては比較的有意義な時間だったと思う。

シナリオ作成後の話し合いでは、
・自分の立場が協力者であることを自覚して、一旦俯瞰してみると良いかもしれない
・俯瞰した上で自分の感情や価値観は押し付けない、相手にどういうニーズがあるかきちんと聞いた上で、その人にとっての困りごとを取り除けるように働きかけるべき
という、メタ認知することが必要なのでは?という意見が出た。

そして話し合いの中で、誰もが「困っている人」「困らせる人」「困らせる人の願いをくじく人」「困らせる人を助ける人」のどの立場にもなりうるということに気づいた。

「困らせる人」が本当に悪いのか。悪くなる要因はどこにあるのか。
そこを見極めて、押し付けがましくなく寄り添える人になれたらいいよね、ということで落ち着いた。

今までは自分が「協力者」ポジションであった場合、良かれと思って「困らせる人」に対して、自分の意見を押し付けてしまっていたと思う。
そうすると、助けたいはずの相手から見たら自分は「困らせる人」になってしまうのではないか。
多分それって傷つけているということは無自覚だし、かなりコワイ。

学んだこと

差別を完全になくすことは難しい。でも減らす努力はできる。
これは第1部で学んだこと。

なくすことは難しいけど、差別している人を一概に「悪」と決めつけるのではなく、どうしてそういう行動をしてしまったのか?を理解して、変えていくために何ができるかを考えること、またそれを実践して行くことが大事だと、今回学んだ。

それぞれに想いがあること、主義や価値観が違うこと、それぞれの生き方があるんだなーと理解することが大事だと思う。

ワークショップが終わったあと、ふと思いついた言葉が妙にしっくりきた。

人は人、私は私。
みんな違って、みんな良い。

キレイ事かもしれないけど、意識だけはそっちに持ってってもいいよね、と思った。
何を思うかは、自由だから。

差別問題はかなり重い。差別意識も根深い。
でも、そこから目をそらすのではなく、歴史を学んで、理解する。
それが分かりあえるキッカケになればいい。

そういうキッカケが増えたら、差別を、それによって起こる弊害を、
少しは減らせるのではないだろうか。

最後に

第2部の最終日、企画を担当している桂さんが「これは新しいコンプラ研修なんだ」と言っていて、驚き半分納得半分だった。
実際に体験し自分で考えるので、映像を見て学ぶより理解できるし身につくと思った。

ワークショップが終わったあと、毎回自分の今までの行動を反省したり見つめ直したりしていて、少しへこむというか重たい気持ちになっていたけれど
少しずつ、自分の持っていた考え方が変わってきたような気がする。
この体験を通して、自分の価値観のアップデートが少し出来たのかもしれないと嬉しくなった。

作ったシナリオでは、何か衝撃的な出来事が起こって、差別的な考えを持っていた主人公の意識が変わっていった。

少し大げさかもしれないが、このワークショップが私にとって、衝撃的な出来事だったのかもしれない。

第3部も楽しみだ。

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