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イタリア発「アルベルゴ・ディフーゾ」の温泉版!?城崎・小林屋のブランディング戦略に見る、地域活性化に賭ける熱い思い

こんにちは。
広報の小池です!(note初登場です)

さて本日は、最近私が知ったばかりの、イタリア発「アルベルゴ・ディフーゾ」という、分散型ホテルを活用して地域活性化につなげる取り組みについて、気づいたことをシェアさせていただきたいと思います。

少し長くなりますが、ぜひお付き合いいただけたら嬉しいです^^


先日、あるMTGでのこと。

霜竹さんに「最近、”泊まるように暮らす“をコンセプトにしている宿が増えていますよね」と、お話ししました。

たまたま話の流れで出たふとした一言でしたが、どんなに些細なことであっても真摯に受け止め、いつも驚くほど的確に、予想を上回る回答やヒントをくださる、霜竹さん。

そんな私の言葉もしっかりキャッチして、今回もこんなふうに答えてくださいました。

「“アルベルゴ・ディフーゾ”っていうのがあるんですよ。イタリアから始まった取り組みで、すでに成功事例もあります」と。

なかなか聞きなれない言葉ですよね^^;

知らなかった…!と思い、早速調べてみると様々な情報が出てきました。

〜アルベルゴ・ディフーゾ(以下AD)〜

ADは、1980年代、地震で崩壊した北イタリアの小さな村を復興するためのプロジェクトの一環として始まったが、現在ではイタリア、欧州を始め世界各国で過疎化に悩む町や村の救済策として熱い視線を浴びている。アルベルゴはイタリア語で「宿」、ディフーゾは「分散」、ADは文字通り「分散型の宿」という意味である。下図のように町全体でホテルの機能を構成する分散型ホテルシステムであり、そこに歴史的なバックグラウンドを加えて、その土地に根付く歴史、文化、人の営みを、観光資源化する点がポイントである。

山梨総合研究所のサイトより

農林水産省のHPにも、「持続可能な農村ツーリズムに向けてのアルベルゴ・ディフーゾの可能性」というテーマの資料が。


他にもたくさんの情報が出てきました。


さて、アルベルゴ・ディフーゾに関する情報をいくつかのサイトで調べていく中で、色々なことが見えてきました。

アルベルゴ・ディフーゾのポイントをまとめると…

・町の空き家をホテルの一室として活用し、町や地域全体を活性化しようとする取り組み

・ADでは、ホテル(宿)は、観光のレセプション機能を持つ旅の起点であり、地域と人を結ぶ拠点でもあるので、とても重要な存在

・ホテル(宿)、歴史文化遺産、農業体験、アクティビティなど、地域の観光資源を最大限に活かすことで、地域に新たな雇用をもたらし経済活性化につながる

というところに集約されると思います。

中には「アルベルゴ・ディフーゾは地域活性化のカギ」と伝えているサイトもあり、なるほど!と思いました。

たしかに、地域全体で相互連携ができて、宿と人、宿と観光資源、アクティビティなどの体験と様々なバリえーションで、地域のポテンシャルが最大限に引き出されて活性化し、観光客を呼び込むことにつながるでしょう。


となると、やはり重要なのは、信頼関係をベースにした、横のつながり、
地域コミュニティの強さ
が、鍵を握るのでは?と思いました。

信頼関係という大事な資産、土台があってこそ、「みんなで協力しよう」「町を盛り上げていこう!」という協力体制ができてくると思うからです。

――――

その時ふと心に浮かんだのが、城崎温泉の小林屋さんのこと。

先日、館主の永本さんがおっしゃっていた言葉が、フラッシュバックしたのです。

その時、私から、

日本は全国各地に温泉があり、それぞれ特色がありますが、城崎温泉ならではの魅力はどんな点にあるのでしょう?

とお伺いしたところ、こんな答えが返ってきました。

「外湯です。これは城崎温泉唯一の財産で、この外湯文化がしっかりと根付いているからこそ、地域に助け合いの精神が生まれる。共存共栄、相互扶助の精神が長い歴史をもって、こんなにも保たれている温泉地を、私は他に見たことがありません」

と。

この言葉をお聞きした時、純粋に「すごい!」と思いました。

永本さんのストレートなお返事、さらに実感のこもった言葉からは、これが表向きのものではなく、心底思っているからこそ伝わる、不思議なオーラのようなものを感じ取りました。

さらにお話をお伺いしていく中で、城崎温泉ならではの他にはない特性が見えてきたのです。

“他の温泉地というのは基本的に旅館の中に温泉がある。内湯のことですね。

つまり、宿泊客はそのお宿にある温泉に入るのが一般的です。

しかし城崎温泉は、旅館の外に温泉が7ヶ所あるので、そこに入ってくださいねと言って、宿泊客を宿の外にご案内するんです。外湯めぐりですね。

外に出ていただいたら各々の温泉を自由に、無料で巡れるパスポートがあるので、さまざまな温泉を楽しんでいただけるんです。

もちろん、外湯めぐりだけでなく、その道中でお土産やさんやお食事どころ、昭和の懐かしい遊び、射的やゲームを楽しめる場所もあるので、街と人が常に賑わっているのですね”

永本さんの言葉を手がかりに、私も調べてみると…

やはり「外湯(そとゆ)」は城崎温泉ならでは。貴重な観光資源であることが見えてきました。

城崎温泉は、歴史と伝統のある温泉地帯ではあるが、湧出量が少ない。そのため貴重な源泉を枯渇させないよう、外湯にして温泉地帯を共同体で守っていく相互扶助のしくみができた

さらに、1925年、北但馬地震でまちが全焼したため、住民が意思を統一して、震災前と変わらない景観を復元したため、城崎温泉のシンボルともいえる、大谿川と柳並木の風情ある景観が残った

ということが、わかったのです!


 永本さんのおっしゃる通り、城崎の地に共存共栄と相互扶助の精神がしっかりと根付いているのは、こうした歴史と伝統によって育まれてきたものなのか、と納得しました。 

そして、一見マイナスに見えるポイントを守り、それをむしろプラスに転換しようと地域が一丸となって尽力されてきた歴史は、改めて素晴らしいと思いました。 

今、地方創生に取り組んでいる自治体、企業は多くありますが、

 地域ならではの「強み」をどのように発信したらよいのかわからない 
それ以前に、そもそも「強み」が見つからない
 

などと、悩んでいるところも多い印象を受けます。

それは自治体だけでなく、宿泊施設も同様です。 しかし、それは単に気づけていないだけ。隠れた魅力はどこにも「必ずある」のではないか?

というのが、私たちが最近強く思っていることです。

https://note.com/ametsuchi_design/n/n4249f66b475c

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さて、話をアルベルゴ・ディフーゾに戻しますが、すでに日本でもいくつかの成功事例があるようです。


・上野谷中の「HAGISO」
・岡山県矢掛町の「矢掛屋Inn&suites」
・宮城県石巻市 牡鹿半島の「あたご荘」
・東京蒲田の「ホテルオリエンタルエクスプレス」

 
とはいえ、温泉地として、城崎温泉のように長い歴史をもって保たれている事例は他にはなさそう。
 
そうした中で、他にはない唯一無二の観光資源を最大限に活かすために、地域のエンジンとなるべく頑張っていきたい!という思いで、真剣にお宿のブランディングに取り組んでいらっしゃるのが、小林屋さん。
(小林屋さんは、今、世界的な旅行トレンドの一つである、スモール&ラグジュアリーを体現していらっしゃる点にも注目です!)
 
その館主である永本さんは「小林屋からその魅力を発信していくことで、地域全体を元気にしていきたい」という確固たる意思をお持ちです。
 
その思いは、
 
「一つの宿だけが良ければいい、そこだけが栄えればいいということは、誰も考えていないんです。いつもみんなで助け合っている。一つの共同体で、皆、同志であり仲間なんです」
 
というお言葉にも表れています。
 
地域全体のことを考えている姿勢と熱い思いが、いつも伝わってくる方なのですね。
 
私たちも城崎温泉全体の活性化に少しでも寄与できるよう、陰ながらサポートさせていただきたいと思っています。



弊社HPでは、小林屋の永本様がお宿にかける思い、その先に見据える地域活性化へのビジョンを語っていただいていますので、ぜひチェックしていただけたらと思います。

 

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