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サイレント映画鑑賞-王子、北とぴあ

 今回のサイレント映画は、王子の北とぴあで上映されるという。題目は「ちびっ子ギャング モンキービジネス」、「ちびっ子ギャング DOG DAYS'」、そして泉鏡花原作の「折鶴お千」だった。
 この「折鶴お千」は、泉鏡花の売色鴨南蛮という小説が原作だという。この「売色鴨南蛮」、このサイレント映画を見た帰りに読んだのだが、内容がよく掴めなかった。すくなくとも映画の方が面白く感じた。まあ、この2日後に39度台の熱を出しているため、ただ単に頭が朦朧としていただけという可能性もある。
 あとで原作を読んでみたところ、「高野聖」などの作品と違って説明が少なく、少々物足りなく感じた。初期の作品かとも思ったのだが、どうやらずいぶんと後の作品のようだ。かなり作風が替わっていたため、ひょっとすると新しい方面への展開、その試金石とも言える小説だったのかも知れない。
 時間はたっぷりあるし、弁士の方も超一流。原作では触れられていなかった悪役についての細かい描写、主人公の背景などもすべてが語られている。
 この前の「血と砂」や「椿姫」をみていても思ったが、映画は楽しまないのであれば―腹を抱えて笑うような作品でなければ―サイレント映画の方がはるかに面白い。
 前回の講演ではほぼ満席だったために今回もそうなるだろうと読んでいたのだが、流石によみが甘かったようだ。
 使われたのが「北とぴあ6階のホール」であったことが原因の一つだろう。もともとプラネタリウムとして使われていたらしく、天井がドーム型で、すべてスクリーンとなっている。今回は前方に映写されたために殆ど問題がなかったのだが、いかんせん狭い。画面が目と鼻の先に在ると行っても良いような状態であったため、はじめの頃は目を薄く開けているのに苦心していた。
 それに、講演時間は終わりが8時40分頃とあって人はそこまでいなかった。調布の時よりも人が少ないのだから、来た人全員の顔を見ることが出来る。明らかに学生と思われる人は、誰もいなかった。それが残念で仕方がない。
 このときもらったチラシに返還映画(アメリカから返還された、戦前・戦中の映画)の上映日程などがあったため、皆に勧めている。これであの存外に面白いサイレント映画に興味を持ってくれれば幸いだ。

この日のチケットと、その裏

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