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最悪

上野アメ横のガード下の立ち飲み屋で飲んでたら右隣にいたおじさんが話しかけてきた。
一期一会で知らない人と喋るのがなぜか上野ではよくある。それが好きなところでもある。

おじさんとの話は弾んだ。おじさんは53歳で福祉事務を市川でしてるらしい。そうやって楽しく喋っているともう一軒行こうということになった。
これはよくあるのかは分からないが、以前にも上野で一度、飲み屋のカウンターで隣になった歯が抜けててなに喋ってるかよく分からないおじさんと同じようにはしご酒をしたことがあった。

一軒目僕らが居たのは大衆居酒屋だった。二軒目は僕が好きな近くのもつ焼き屋に行くことになった。

そのおじさんは話が上手くてかなりこちらが喋らされる感じで楽しかった。
そして二軒目も楽しく飲んで店を出て帰ろうかなぁと思っているとおじさんが言った。
「ホテル行かない?」
は?
だいぶ酔っ払っていた僕の頭でもこのセリフの異常さは理解できた。
「ホテル行こうよ」
腕を掴まれる。恐怖を感じた。振り払って走って逃げた。その日ニューバランスの靴履いてて本当に良かった。とても走りやすかった。電車に乗って帰った。走って酒がめちゃ回ったのか寝過ごした。

分からないのが、あの会話のどこにおじさんを踏み切らせるほどのものがあったのだろうかということだ。僕が同性愛者だとカミングアウトでもしない限りないだろう。それに僕は同性愛者ではないしだとしても初対面の人に言うことではない。
安い博打を打たせるほどに僕はお人好しに見えたのだろうか?……。よく道聞かれるし。

それも最悪だが、2軒の好きな居酒屋に行けなくなったことも最悪だ。あいつの顔なんかもう見たくもない。
それとおっさんおすすめの飲み屋も教えてもらって行きたいなぁと思っていたがそこも行けない。グーグルマップで見てみたらレビュー500件で星4.3という間違いなく良い店なのに。
新年開けてこれかよ。はぁ〜最悪。

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