6月、雨、紫陽花。
私の紫陽花が泣いています
真っ赤な傘の下で
あなたの思い出からは消えてしまっても
それでも私は咲いています
真っ赤な傘の下で
青くて小さな花を咲かせています
通りすがる人に
あなたの姿を重ねながら
私の紫陽花が泣いています
並ぶ街路樹の片隅で微睡みながら
あの恋の痛みを優しく飼い慣らして
この青葉を天に広げながら
降りやまぬ6月の雨に何度も何度も濡れて
私の紫陽花が泣いています
真っ赤な傘の下で
青い小さな花を咲かせています
あなたに気づいて欲しくて
またあなたに見つけて欲しくて
夏が終われば
ゆっくりと眠りに落ちて
夏が始まれば
ゆっくりと目覚めます
あなたに会えるのなら
私の紫陽花は今日も微睡みながら
静かに涙を流すのです
真っ赤な傘の下で
青い小さな花を咲かせながら