他人どうし

みな仕事を終え、狭いホームを歩くその背中達は丸まっている。

私は線路に落っこちないよう、つま先の向く方向を気をつけながら、彼の2、3歩後ろを歩き、そのうなじを眺めてみる。

昨日の夜も、今日の朝も、私はあそこにキスをした。

次の電車に乗る人がわっとホームに流れてくる。入り乱れる。その背中は丸まって、波の間に見え隠れする。

本来の世界を見た。

私は足を止める。
どんどん離れていく背中。
でも怖くはない。
きっと次の瞬間、彼は振り向いて、私を見つける。

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