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家披楽喜(いえびらき) 住宅放浪記 1 ウチとソトの親密な関係/a-blanc 2015.8

オープンハウス、 建築見学会には どんなヒトが やってくるのか。 開かれた家でのひきこもごも。
オープンハウスよく呼ばれるけど発表する機会がなくて申し訳ないなーと思って始めた連載シリーズ。文字数は1000字縛りで凝縮。建築評論というよりは人間模様がテーマかな

*『建築ジャーナル』2015年8月号より転載

建物は、ウチとソトを隔てるもの。だが、a-blancは建つことでウチとソトを媒介する。

猫のすみか 

は本棚にある。30 代のMさんは将来の同居猫との出会いを待つ。奥様の希望は好きな本を読みながら眠りに落ちる、至福の本棚隣接のベッド。裏側は穴ぼこが開き、猫の遊び場に。
 建て売りの住宅はどれも「少なからず残念」だった。そんなとき、コーポラティブハウスという住まい方を知る。設計担当のHさんは、もう何度目かのM邸の訪問。「来るたびに進化するのが嬉しい」と目を輝かせ、旧知の友人のように楽しそう。そんなHさんの提案は、“ 下駄箱兼キッチン” ( ! ) 。 独創的にもほどがあるが、 Mさんいわく「使い勝手は良好」。
 窓からはシンボルツリーのサルスベリの木が臨める。「この季節は青々と葉が茂って目を癒し、日差しもさえぎってくれるんです。冬は葉を落として日を入れてくれます」。木との付き合いも良好。

H鋼の断面

は美しい。メゾネットタイプに住むNさんは、a-blancの設計者。
 料理とパンづくりが趣味の奥様の台所は、パンとお菓子専用の冷蔵庫にオーブンも2台。迫力を感じる。
 引き心地の良いオリジナルの扉の手掛け。H 鋼の断面を見せたかったという手摺。H 鋼に組み込まれたスイッチパネル、などなど。手が触るところにはこだわった。マニアックな欲求を満たせるのも、コーポラティブハウスならでは。地下ドライエリアのウチソト、屋根付き屋外書斎が次の企み。楽しげで羨ましい。

住宅くらい

自由にさせてくれ。江ノ電沿線住民の通路である勝手踏切まで規制か、とニュースは伝える。敷かれたレールならぬ敷かれたルールの上を人間が列をなして進む光景はぞっとしない。
 合理主義、コスト主義の高いヨーロッパ生まれのコーポラティブハウスが今見直される理由。住宅くらい自由でいい、そんなことを教わった気がする。


写真どこかにやってしまったので文字のみ…
建築の詳細/写真は下記↓




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