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【試写】ネトフリオリジナルアニメ『エデン』オンライン試写&プレミアイベントレポ

ごきげんよう。雨宮はなです。
Filmarksさんのオンライン試写会に当選したので、5月26日(水)に参加しました。他の試写会も企画されているものの中止になってしまっているものが多い中、オンライン試写会だとその可能性が少なくなってとてもありがたいです。この記事ではアニメとオンライン試写会、そしてイベントの感想についてそれぞれ感想を述べます。

目新しさのない、質の低いアニメ

そもそも私がこの試写会に応募したのは、「ロボットが人間を育てる」という設定と主人公以外の声優さんに信頼が持てると判断したためでした。
ロボットと人間の成長譚か冒険物語を期待し、ロボットの描かれ方やタイプはどのようなものか、世界観も併せてどんな魅力があるのかを考えていました。少なくとも演じる側に山寺宏一さん、伊藤健太郎さん、氷上恭子さん、甲斐田裕子さんがいらっしゃれば間違いない。演技は気にすることなく安心してみていられるだろう…。そう考えての応募でした。

感想としては、やりたかったんだろうなというものがアレもコレもと無理やりごった煮になっていて、軸となるものがハッキリしていないのが実情でした。環境保護を訴えたいのか、人間の醜さとそれを受け入れることの提案をしたいのか、少女の成長を通して共感を持たせたいのか…。その流れで行きつくところは日本のお家芸である「お涙頂戴」でしたので、非常にげんなりでした。
何より締めのヒロインの台詞が「有害有機物、確認。排除!」でロボットについた芋虫を指ではじき飛ばすというものだったのですが、それまでの「有害だからなんて排除するという考え方はよろしくない」という流れを無に帰してしまうものであり、絶句してしまいました。

アニメーションそのものも質が良いと思えず…。ロボットのキャラクターデザインは昭和回帰したようなフォルムと色合いで個人の好みとしてはバッチリだったのですが、問題は人間(主人公)のデザインでした。やたらと胸を寄せてあり、胸元が開いたカッティングのトップスで、ヒップラインを強調させるベルトの使い方をしたボトム。日本のアニオタが好むような性的魅力の表現を加えたスチームパンクもどきなその出で立ちは、「自然豊かな美しい環境」であるエデンの中にはそぐわず、意図したものが不明で立ち位置をぼやけさせるには十分でした。
クリエイターを育てるための企画で経験の少ない人が作っているのか動き方も非常に荒く、目はギョロギョロ・パチクリとしているし、口パクも不自然。重心がきちんとしていないため、上半身はそれこそロボットよろしくカクカクしていて、下半身(歩く等の動き)はふわっふわ。肌質はデザインされていないのかのっぺりとしていて、12年ほどまえの素人さんがつくるMMDと同じかそちらのほうがクオリティが高いと判断できるものでした。

開始15分もすれば「ああ、これは失敗だ」と判断を確定するのに十分でした。

再生環境もコンプライアンスも問題だらけのオンライン試写会

オンライン試写会そのものも非常に課題の残るものだったといえるでしょう。見出しの通り、再生環境もコンプライアンスも問題だらけだったのです。

オンライン試写会だというのに再生環境が不安定過ぎることが一番の問題でした。試写会の開始時刻を過ぎてから届く案内メール、それよりまえからログインしスタンバイしているもののブラックアウトしてしまい再生されない本編。更新を繰り返し画面がようやく反映されたと思いきやすでに本編は開始されており、それからも時折停止してはその停止分は飛んでしまっているわけです。それがクライマックスシーンでも起こるのですから、呆れました。一番の見せ場、物語のオチが安心して観られないような再生環境ってどうなの?と。
ウインドウ内の案内文も文字化けだらけで、環境デザインに問題があるのか、セキュリティに問題があるような環境なのかが非常に心配でした。
普段のFilmarksで開催されているような期間を指定してのオンライン試写ではなく、一挙公開イベントタイプの試写なのですし再生環境はもっと気を配るべきだったと指摘できます。

そして、コンプライアンス問題です。具体的には個人情報についての問題です。試写イベント中はコメントチャット欄が解放され、リアルタイムでその場にいる人間がコメントをすることができ、「みんなで一緒に観ている空間」の演出がなされていました。その演出自体は良いものだと思いますし、運営側としてもすぐに反応を観られるのは情報収集の面でとてもありがたいことなのでしょう。ですが、そのチャット欄の名前表示が「本名」だというのは間違いなく大問題だと言えます。
Filmarksが主催であれば普段利用しているユーザーネームが使われているものと思いきや、チャット欄にならぶのは明らかに本名。自分でも挨拶をコメントしてみましたがやはり本名で反映されてしまいました。ログイン状態が本名で設定されていること、その設定方法等はあらかじめアナウンスされておらず、不本意に本名をネット界隈に晒す結果になりました。個人情報の取り扱いを非常に軽んじていることがわかります。これはFilmarksもNetflixも同じ価値観でもって日々の運営を行っていると言って良いでしょう。特にNetflixは個人情報流出の過去もありますし信用度が高いとはとても言えません。むしろ、そんなことがあったのに意識を改めていないのかと、今回のことで改めて驚かされました。

会場を彩るCGセットの技術の高さと、人間の意識の低さ

今回の試写会とトークイベントを通して唯一歓声を上げられたのはトークイベント会場のCG装飾でした。奥行きのあるCGで解像度も高く、今後の舞台美術の展開の幅を広げることが期待できました。特定のキャラクターを操作してその場にいるように反映させることもでき、その技術は拍手物でした。

それに反して、トーク内容はひどかったです。司会者の方は非常にうまくまわしてくれているし、鋭い質問をなげかけこちらのモヤをはらそうとしてくれていましたし、ゲストの氷上恭子さん、伊藤健太郎さんはどうにか上手い方向に展開・収束させようとしてくれているのが伝わりました。問題は主演声優と監督です。
監督の話した内容はどうもうわ滑っていて「本当にそう思っているのだろうか」「思っているのであれば考えや推敲、向上心が足りない」と感じられるものが多く、主演声優に至っては「いくら愛情を注がれたとしても寂しく感じると思う」などと作品を根底から否定するようなコメントをしてしまう始末。インターネット記事で演じ分けだの演技力だのと謳われているものの、司会者に”主人公はアップのシーンが多い”ことを指摘されカメラ設置での演技が反映されていたと思うかと質問された際は「アップが多いだなんて全く気付かなかった」と笑い飛ばしたのです。演技をする際に映像ができていなかったのだとしても、完成した映像をきちんと観ていたとは思えないコメントです。そもそも主人公は音声と口パクが何度もズレていて、ここにもアニメーションとしてのクオリティの低さが窺えました。演じる人間、動かす人間、どちらの技量が低かったのかは確認できませんが、自分の仕事を全うに確認できていないのはとうていプロの姿勢と言って良いものでは無いでしょう。
VRゲームに興じている際に「キャー!」「アハハハハッ」「エェーッ」しか言えない語彙の貧困さにも驚かされました。声と言葉を扱う職業とは思えない。プロ意識が無い。低いのではなく、無い。あのリアクションなら、アイドルかタレントの仕事です。本当に彼女の仕事に”驚かされた”2時間半でした。

おわりに

イベント後24時間の内に何度かSNSやFilmarksでの評判を確認しましたが、感動したり凄いと感じた人がほとんどのようで制作側としてはよろしい結果に終わったのではないでしょうか。個人情報についての問題を誰も気にしていないようで日本人の自分を守るという意識の低さに改めて驚かされました。なんだかネガティヴなものに驚いてばかりのコンテンツでした。とっても疲れた…。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。

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