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【午前十時の映画祭11】映画『アンタッチャブル』を観てきた【27分の2】

ごきげんよう。雨宮はなです。
ショーン・コネリー出演作品月間ということで、『ザ・ロック』と対になっている『アンタッチャブル』も映画館で鑑賞してきました。映画館で観られなくなったタイミングで午後のロードショーにて放映されていたことに驚きました。ナイスタイミングですね。

ギャング臭がくどくなく、パートナーシップや主人公をとりまく環境の描写を楽しめる作品です。
ギャング同士ではなく、取り締まる側とギャング側の争いのためか銃撃戦が長すぎる・多すぎるということがなく、必要な箇所に必要なだけ時間をかけられているのでとても観やすいのも魅力のひとつ。
登場人物に関しても、キャラ付けがわざとらしすぎないのに特徴的かつ魅力的であり、予想できる物語展開にもちゃんとハラハラできます。

フラグ乱立

フラグが立つ…もともとはゲーム用語だったでしょうか、何かのイベントを起こすのに必要な条件を満たした状態を指す表現です。転じて、「その言動をとるということは、このような未来がまっている(シナリオのはずだ)」という指摘をする際に使われることが最近では多くなりました。例えば、「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ」といいながら恋人の写真をみせるキャラクターは必ず戦死してしまう、といった具合です。
それが乱立しているのがこの作品です。そんなつもりがなくても、そう見えてしまう物語展開なのが憎い…!

妻がご機嫌でお弁当をつくり、何かメッセージをしたためてそれをこっそりお弁当にしのばせる…そんな序盤のシーンで「あぁ、きっとこの後に出てくる人物は仕事で大変なことになるんだ」もしくは「妻に不幸が訪れる/妻と不仲になる可能性がある」とみてしまうのです。結果として、お弁当を受け取ったのは主人公で「仕事で大変なことになる(それがこの作品)」が正解でした。妻と幼い娘も少しだけ危ない目に遭いますが、誘拐されたりケガをすることが無かったため、男たちの戦場に集中できました。

とはいえ、ショーン・コネリー演じるマローンがカーテンも窓も開けっぱなしで自宅でそのまま生活しているのも、家の中に気配を感じるのに背後がら空きで扉も開けっぱなし、武器も持たずに索敵するのもフラグでしかないわけです。いくら私たちには家の中に潜む敵が見えているからとはいえ、「この隠れている奴を倒して生きていてくれる」予測は立てられないわけです。

今まで机にかじりついて帳簿を追うだけだったウォレスが手入れを終えて興奮状態のまま「俺、この仕事好きだぜ」と主張しているのも、その仕事のせいで死ぬんだなとしか見えないわけです。

冒頭の少女以外は女子供に被害が無いようにつくっているのか、仲間たちの悲惨な死体や死亡状況のほかに視線を外したくなるようなシーンが無かったのが救いです。

ぼんくら主人公

財務省からシカゴ警察へ出向…有名私立の優等生が田舎の不良校に転校するのと同じです。価値観から考え方から違うし、温室育ちには世紀末を生きる力などあるはずないのです。それを把握して仲間を集めるわけですが、このぼんくら主人公のせいで仲間が死んでしまうのがどうも…。

最初の手入れが失敗してしまうのは仕方ないにしても、それで落ち込むどころか「俺は間違ってない」とばかりに胸を張ったままなのが寄り添えないというか…。いい子ちゃんが鼻につくというか…。
駅で捕獲対象を待ち構えているときも乳母車ばかり気にしてしまって、結局さんざん時間が経ってから手伝いに行ってしまって母子を銃撃戦に巻き込むし(このシーンは主人公にも母親役にもイライラしました)。
自分の立場と今いる場所を認識しきれないままで、あまちゃんが過ぎるのです。そのくせ、自分のプライドや家族はしっかり守ろうとするから猶更気に食わない。家族を守るのは大切なことなんですけど、視野が狭いというか自分の幸せを守るためだけに動いていると感じられてモヤモヤします。

仲間探しや手入れはマローンがいてくれないとできなかったし、法的に追い込むためにはウォレスがめげずに続けてくれた調査が必要だったし、他の戦闘や乳母車にいた子供を守ったのはジョージだった。主人公のぼんくらさが際立ちます。なにしとんのじゃ。

ネタとしては楽しい「禁酒法時代」

禁酒法時代を扱ったエンターテイメントに触れるのは記憶にある限り4つめ。おそらくもっと観ているはずなのですが、他の要素に注目してしまうのか、あまりちゃんと覚えていないです。
覚えていたエンタメは映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と『お熱いのがお好き』、そしてTRPG再現動画「ゆっくり達のジャズエイジクトゥルフ」の3つ。TRPGのほうが視聴が先で、そこで禁酒法を知ったほどです。禁酒法時代の知識はこの動画をキッカケにグーグル先生に教えてもらいました。

ジャズの流れる店内や女の子たちのファッションは舞台を鮮やかに彩ってくれますし、そこに割って入る銃声とそれに続く悲鳴も映像ではよく映えます。ただ、今回はギャング抗争ではないせいか酒場のシーンが無く、着飾った女の子たちを見る機会は無かったのが残念でした。

「禁酒法 映画」で検索すると他にもたくさん出てきました。特に『ブロードウェイと銃弾』は後にブロードウェイでミュージカル版が開幕しているので気になる作品です。

おわりに

ショーン・コネリーのかっこよさに浸りながら、割とあっという間の120分でした。悪役としてロバート・デ・ニーロが出てくるのですが、鉄板中の鉄板。大物感はちゃんと演出するけど、必要以上のことはしないので物語や主人公たちに集中して観られました。
午後のロードショーでやってたら嬉しいけど、スクリーンで観たのが最初で良かったです。TVで楽しめるのはスクリーンで観たからこそ、な気がしました。

今回も最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。

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