時間が止まった君へ。第六話

そうして午前の仕事が終わり昼休憩に入る時間になった。そして俺は碧さんにいつ出かけるかを聞きに行こうとしている。…のだが、

誠「翔太ちゃ~ん。一緒にご飯食べに行こうよ~。ほらほら屋上のベンチ!あそこで一緒に食べようよ~。」
翔太「うるさい。ついてくんな。そもそもあそこカップルたちがよくイチャイチャしながら食べてるで有名な場所だっただろ。というか、今日は用事があるんだ。」
誠「用事があるなんて珍しい。翔太ちゃんといえば部署内でもほかの人と関わりが少ない一匹狼として有名なのに。」
翔太「おまえかなり失礼だな。俺にだって関わりのある人の二人や三人はいる。」
誠「へえ、俺以外にも関わりがある人なんているんだ~。もしかしてその人となんかするってこと~?」
翔太「そんなとこだ。だからはやく行かせてくれ。」
誠「そういうことなら仕方がない。今日は俺は一人で食べるとするよ。じゃあね~。」

騒がしいやつだった。こいつに碧さんとのことがばれたらめんどくさいことになるだろうからな。何とか離れてくれて助かった。と、もういい時間だな。碧さんのところに向かうとするか。

…ということで碧さんのデスクの方に来たわけだが、どう声かけたらいいんだ。そもそも俺の方から行くなんて今までほとんどなかったからな。怪しまれないだろうか。一体何と声をかけたら良いのだろうか。
「せんぱーい、翔太せんぱーい。聞こえてますかー」
ふむ難しい。

碧「翔太先輩!聞こえてますか!」
翔太「わっ、ん、あ、碧さん。ごめん考え事してた。」
碧「それで用事は…その…いつ出かけるかですか?」
翔太「ああ、その話だ。碧さんはいつ頃出かけるのがいい?」
碧「えっとー。明日明後日が会社が休みで…明後日は私は病院が入ってるから…明日が助かります!」
翔太「明日か、明日は俺も空いてる。なら明日行くか。」
碧「はい!それじゃあ明日の11時ごろに駅のそばにある湖の方で集合とかどうですか?」
翔太「そうしようか。ちょうどいい。じゃあ明日そこで集合しようか。」
碧「はい!それじゃあ私はこの後用事があるので、失礼します!」
翔太「うん。ありがと。またな。」

ということで明日か。…結構急に決まるもんなんだな。果たして俺たちは明日どこに行くのだろう。そんな疑問は残るがまだ午後の仕事が残ってるからとりあえず終わらせてはやく帰ろう。そんなことを考えながら俺は午後の仕事に取り掛かることになった。
…時間なくて昼飯、食べられなかったな…。

ということで何とか仕事を終わらせて帰ることになった。…さて、この時間になるといつもあいつがやってくる。さあどうだ…

誠「翔太ちゃ~ん。かーえーろっ♪」
翔太「今日もか。帰ろうか。」
誠「よし!でさでさ!昨日うちの子がね~、ぱぱあーんって言って俺にあーんって、あーんってしてくれちゃったの~!めっちゃ可愛くて!」

始まったか。今日も家族自慢。まあ別にいやでもないからいいんだが。そういえば今頃あかりは何をしてるんだろうか。なにか怪我とかはしてないだろうか。体調は…もう死んでるから大丈夫か。なんだかんだおっちょこちょいなところがあるからやはり心配だ。誠は話しながら帰ってると遅くなるんだよな。ちょっと心配になってきたな。これからしばらくは早めに帰るか。何事もなければそれが一番だしあかりにもずっと待たせるのは申し訳ない。

翔太「悪い誠。ちょっと早めに帰りたいから先に行かせてもらう。というかこれからしばらくちょっと早めに帰りたいから頼んだ。」
誠「え⁉いきなり⁉わ、わかった。じゃあね~。」

ということでいつもより気持ち急ぎ目で家に帰ることにした。なにか起こっていないかの不安もありつつも家にたどり着いた。

翔太「ただいま。あかりー。大丈夫かー?」
あかり「あ、翔太君!おかえりなさい!いまご飯作ってたところだからちょっと待ってて!」
翔太「そ、そうか。なにか問題は起きてないか?」
あかり「うん、大丈夫だよ。なにかあった?」
翔太「いや、なにも起きてないならいいんだ。」
あかり「そっか!じゃあちょっと待っててね。いま終わるから!」
翔太「ああ、ありがとう。それじゃあ準備だけしてくる。」
あかり「わかった!」

どうやら特に何事もなかったらしい。何事もなかったならよかった。それじゃあ着替えて一緒に夕食の準備するか。にしてもあの匂いはカレーか。楽しみだ。じゃないじゃない。はやく行って準備しないと。家に帰ってきたらご飯を準備してくれる人がいる。これはやはりとても幸せなことだな。相手死んでるけど。一人暮らしをしてそのありがたみがよくわかるようになった。と、そろそろ行くか。

翔太「おまたせ。準備しようか…ってもう終わってたか。」
あかり「翔太君!うん!もう準備終わったよ~。たべよたべよ!」
翔太「うん、食べようか。」
あかり「うん!いただきます!」
翔太「いただきます。」

うん、うまい。やはりあかりの作るご飯は俺の口にあっているというのもあるのだろう。第二のおふくろの味のようなものを感じる。やはりあかりの作るご飯に外れはない。じっくり煮込まれてる野菜たちのうまみが口内に広がる。うまい。

あかり「そういえば翔太君。昨日連絡とってた人、碧さんってどんな人なの?ちょっとお話聞きたいかも。」
翔太「碧さんか…話せることなら。」
あかり「なら~、どういう関係性なの?」
翔太「えらくあいまいだな。まあ、何回か二人で遊びに行ってる…結構仲のいい後輩…みたいな?」
あかり「ふ~んで?」
翔太「で?ってなんだよ。」
あかり「好きなの?碧さんのこと。」
翔太「は⁉み、碧さん⁉えっと~、その~、恋愛的な意味で?」
あかり「もっちろん!」
翔太「それは~、その~…わからん。」
あかり「え~わからんって、そんなことある?」
翔太「うん、どっちのことも好きではあるし、二人ともかなり好きの中でも上の方ではあるが、あかりと碧さんに向けられてる気持ちは絶妙に異なるというか…なんか…わからん。」
あかり「なるほどね~。難しい関係性な訳だ。まあ、それもそれでいいと思うよ!」
翔太「そうか。そう思ってくれるならよかった。っと、ごちそうさま。」
あかり「ん、やっぱりはやいね。翔太君食べるの。」
翔太「そんなことはないと思うんだが。それじゃあ俺は食器片したら風呂入って寝るから。あかりもはやく寝ろよ。」
あかり「うん!おやすみなさい!」

という感じで食器の片づけと風呂に入って俺は寝ることにした。にしても明日か。本当に何をするのだろうか、俺たちは。こういうのは男側がある程度考えておいた方がいいんだろうが、いままでも特になにも考えずに出かけて何とかなってたからきっと大丈夫だろう。
というか、あかりってかなり嫉妬深い性格だが大丈夫だろうか。また寂しい思いをさせてしまわないだろうか。そんな不安が頭に浮かぶ。…明後日ってなにもないから一緒に出かけるか。たぶんあかりも特に予定はないだろう。明日あたり話してみよう。そんなことを考えながら俺は眠りにつくことにした。


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