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第百二十二夜 『十五少年漂流記』

「今日はやけに粘ったな。」

娘の寝かしつけを終え、寝室から出た私は時計を確認する。
もう22時近い。昔はなんだかんだ21時くらいまでには寝ていたのに、最近は寝かしつけを開始してから2時間はかかる気がする。もう少し暴れまわらせないと寝れないくらいエネルギーが有り余っているのかもしれない。

仕事の連絡が来ていないか社用携帯を確認する。

彼から着信が入っていた。
折り返してみるも、出ることはなかったので、しばらく自身の作業を行う。

23時を回った頃だろうか。
再び彼から入電だ。

業務がちょうど佳境だったこともあり、一瞬、迷ったが電話をとる。

「夜分遅くにごめんなさい。ちょっと話したいことが、業務のことで。」

ふむ。どうやら彼はお酒が入っているらしい。
少し日本語の節々に違和感がある。彼の酔いの段階は何段階化あるが、せいぜい2段階目くらいなので、話はできるだろうと判断し会話を続ける。

「先ほどはごめんなさい。子どもを寝かしつけておりました。どうしたんですか。」

少し間。寝たのだろうか。

「単刀直入に言います。言わせてください。人を増やすことを、どう思いますか。」

「人を増やすことは目標にしている通り達成させますよ。」

「そうではなくて、、例えば、さっき送った。15人とか増やすとしたらどうですか。」

彼は私が寝かしつけ業務を行なっている間にポエムを送っていたのだが、確かに15人というワードが入っていたのである。

「15人増やすのはもちろん良いと思います。」

「逆にデメリットはありますか。」

考える必要もないので、私は即座に答えた。

「単純に予算ですね。組織として機能していないのに、15人を養い続けるほどの予算を準備が現状できません。逆にそれさえクリアできるならすぐにでも雇用したいくらいですよ。」

本音である。
予算の件も人の件も。

「それを聞けてよかったです。」

彼は満足したようであった。
ここの小さい好みはあっても、舵取りにおいて彼と衝突することはこの1年ほとんどなかった。
本来、私は割とぶつかっていくのが好きなスタイルなのだが、お互いの向く方向は大体一緒であった。

「デメリットは何かありますか。」

「それは先ほど答えましたよ。」

ボケたわけではない。
お酒を飲むといつも彼は得心いったことを繰り返し聞いてくるのである。

そんな会話を何度か繰り返し、彼は自身の目指す営業組織が作れるのだろうと期待感を抱きながら、満足そうな言葉で締めた。

「話せてよかったです。また明日よろしくお願いします。」

後半は酔っていなかったのだろう。呂律も随分回っていた。
組織を作ること。それは2期の我々の課題になるのだろうが、彼の中ではその解決の糸口も見えているのだろう。

物語の続きはまた次の夜に…良い夢を。

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