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アップルの最新決算:サービス部門の飛躍と株主還元の強化【1-3月期/Q2,2024】

サービス部門が過去最高の売上を記録した2024年第2四半期決算。さらに、ルカ・マエストリCFOは
『非常に高いレベルの顧客満足度とロイヤルティのおかげで、*アップルのアクティブなデバイスのインストールベースは、すべての製品、すべての地域セグメントにおいても過去最高を記録しアップルの業績は3月期のEPSの新記録を牽引。
我々の将来に対する自信と株式の価値を鑑み、取締役会は1,100億ドルの追加自社株買いを承認しました。また、四半期配当を12年連続で増配します。』としています。

アクティブなデバイスのインストールベースは、2023年1月時点で20億台を超えています。この数字には、iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、Apple TVなどのデバイスが含まれています。

筆者調べ

決算ダイジェスト

サービス部門が過去最高

  • 売上高-前年同期比▼4%減の908億ドル(約13兆8,000億円)

  • iPhoneの売上高も同▼10%減の460億ドル(約7兆円)

  • サービス部門による売上は、四半期で過去最高の239億ドル(約3.6兆円)

  • 中国を含む、大中華圏は164億ドル(2.5兆円)で▼同8%減

  • アップルのアクティブなデバイスのインストールベースは、すべての製品、すべての地域セグメントにおいても過去最高を記録(2023年12月時点で22億台超え。今回は具体的な台数は公表されていません。)

  • 4%の増配(四半期配当0.24→0.25ドルへ)と1,100億ドルの自社株買い枠追加を発表。

  • AIに関連し、*今後数週間以内にエキサイティングな発表を予定。多額の投資を行なってきていることを強調。

製品別売上高

()内は構成比

  1. iPhone 460億ドル(50.6%)

  2. Service 239億ドル(26.3%)

  3. Wearables,Home and Accessories 79億ドル(8.7%)

  4. Mac 74億ドル(8.2%)

  5. iPad 55億ドル(6.1%)

地域別売上高

  1. 米州 373億ドル(41.1%)

  2. 欧州 241億ドル(26.6%)

  3. 大中華圏 164億ドル(18%)

  4. その他アジア太平洋 67億ドル(7.4%)

  5. 日本 63億ドル(6.9%)

*大中華圏(Greater China)とは中国に加えて、香港、台湾、そして華僑国家であるシンガポールを含めた「大中華圏」のことを指します。また、米州(Americas)は北アメリカ<アメリカ合衆国とカナダ>と南アメリカの両方を含む地域。

配当と自社株買い

増配は株主に対する直接的な利益還元であり、安定した収益を見込める企業としての信頼性を高めます。また自社株買いは、株価の支援や株主価値の向上に寄与します。アップルは、

  • 4%の増配(四半期配当が0.24ドルから0.25ドルに)

  • 1,100億ドルの自社株買い枠の追加(前年の900億ドルから大幅に増加)

発表しています。
第2四半期末のネットキャッシュ(手元流動性から負債を差し引いた額)は580億ドルであり、同社は引き続きこれを使い切る方針を示しています。この強固な財務戦略はアップルの財務状況が健全であることと、株主に対するコミットメントを強調するものであり、長期的な投資家の信頼を維持するための重要な要素です。

**決算等の数字は、アップルのIRより。

株価は

2023年は7月の高値(197ドル台)から10月の170ドル割れまで下落。年末にかけハイテク株主導の波に乗り、再び190ドル台を回復。しかし2024年に入ってからはマイクロソフトやアルファベット、アマゾンのビッグテック等に比べ、AIに対する取り組みの遅れが指摘され、また、Q1の四半期決算の物足りない?内容に株価は下落基調で4月にはまた170ドル割れ。しかし、そこから

5月のM4チップのiPadの発売、Q2決算を無難に乗り切ったあとは、急上昇過程に入り、WWDCを挟み、一気に6/12に史上最高値の、220ドルへ。

WWDC(6/11~)では何が?

(World Wide Developers Conference)世界開発者会議

  • Apple Intelligence発表: Appleは、iPhone、iPad、Macを中心に、生成モデルのパワーとユーザーの個人的な背景を組み合わせたパーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」を発表。

  • Apple Intelligenceの詳細: Appleシリコンのパワーを活用し、言語や画像の理解、複数のアプリでのアクション実行、ユーザーの背景に基づいたタスク管理を実現。デバイス上での処理に基づき、ユーザーデータを収集せずにパーソナルインテリジェンスを提供。Private Cloud Computeにより、AIのプライバシー基準を設定し、処理能力を柔軟に拡張。

その他

  • 新OSのアップデート: iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoia、watchOS 11に大幅なアップデート。写真アプリの再設計、生産性ツールの革新、デバイスカスタマイズの新方法などが含まれる。

  • visionOS 2: Apple Vision Pro用の新しい操作方法や空間写真、Mac仮想ディスプレイのアップデートを導入。

  • tvOS 18: Apple TV+のコンテンツに関する情報を提供し、大画面での表示を強化。

  • Apple Vision Proの販売拡大: 日本、中国本土、香港、シンガポールで今月販売開始。来月にはオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、英国でも販売開始。

待ちに待った、アップルのAIの発表を受け、ビッグテック、マグニフィセント・セブンが参加する、AI戦線は次のステップに進みます。どのような展開になるか全くわかりませんが、ユニークなハードとM4など独自の半導体で他のビッグテックとは一線を画す、アップルにしかできない、AIとの関わりを期待したいと思います。

アップルひとくちメモ

  • 設立年: 1977年

  • 上場年: 1980年

  • 2024年第2四半期(1-3月)売上高: 908億ドル

  • 2023年通期売上高: 3,833億ドル(会計年度9月)

  • 時価総額: 3.18兆ドル(2024/6/17)

  • セクター:情報技術(Information Technology)

  • 従業員数: 16万4,000人




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