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アマゾンの成長戦略:北米と海外部門の成功プラス、AWSとAIの融合。最新決算より。
2024年第1四半期(Q1,1-3月)のアマゾンの決算では、コスト削減の取り組みとクラウド部門AWSの成長が好調な業績を支えことが明らかにされました。特に、北米部門の営業利益は前年同期の5.6倍に達し、海外部門も黒字を回復。AWS部門は前年同期比で17%の増収と84%の営業増益を達成、市場予想を上回る結果となりました。
決算ダイジェスト
コスト削減とAWSの成長
売上高-1,433.1億ドル(前年同期比+12.5%増)
営業利益-153.1億ドル、営業利益率は10.7%(予想7.6%)
オンラインストア-546.7億ドル
サード・パーティ-346億ドル
AWS-250.4億ドル
広告事業-118億ドル(プライム・ビデオの動画広告導入が新収益源に)
サブスクリプション-107億ドル
実店舗-52億ドル
アマゾンは小売部門のコスト削減と収益性向上を目指し、数千人の従業員を解雇。効率的な倉庫ネットワークの構築に邁進してきました。
スピード配送
その効果により、迅速で便利な配送で顧客満足度をアップすることに成功しています。第1四半期には全世界で20億個以上が当日または翌日に到着し、アマゾンはプライム会員に過去最速のスピードで配送。ロンドン、東京、トロントでは、4件中3件が当日または翌日に配達されたとの報告がありました。
"今年は事業全体が好調なスタートを切ることができ、顧客体験の向上と業績の両方にそれが表れています。当社のストア事業は、品揃えの拡大、毎日低価格の提供、配送スピードの高速化(第1四半期にプライム会員向けの配送スピードで新たな記録を樹立)を続けながら、サービス提供コストを引き下げています。どの事業もまだ始まったばかりですが、今後さらにお客様の生活をより良く、より簡単にできることに引き続き期待しています。"
北米部門と海外部門の拡大
北米部門の営業利益は前年同期の5.6倍に拡大し、市場予想を上回りました。海外部門も赤字予想を覆し、2021年9月以来の黒字に回帰。両部門では、配送網の分割などのコスト削減が成果を上げています。
AWSとAIの融合
AWSにコスト削減効果
AWS部門は売上高250億ドル(前年同期比+17%)、営業利益94億ドル(同+84%)と市場予想を大きく上回りました。売上高増収率は前四半期の13%からさらに加速しており、インフラコストの効率的な管理が収益向上に寄与していると思われます。
AIとの相乗効果
アマゾンはAI技術への大規模投資を続けており、特にAWSのAI関連サービスが顧客企業の近代化と効率化を推進。AI非関連の美術部門も成長しており、新たなITプロジェクトへのシフトが見られます。
顧客となる企業は近代化の取り組みを刷新、AWSのAI機能の魅力が相まって、AWSの成長を再び加速させています。AWSの年ベースで売上高が1,000億ドル規模に達成しているとの発表もあり、AWSの第1四半期の利益は94億2000万ドル、営業利益率は37.6%にものぼり、クラウド事業の売上高を開示して以来、最も高い水準となっています。
株価は堅調に推移
分割、AI関連、そしてNYダウ採用
アマゾンは2022年6月にアマゾンにとって史上最大の1:20の株式分割をしています。この時の株価が125ドルほど。その後は
2023年4月105.45ドル
8月138.01ドル
9月127.12ドル
2024年1月 155.2ドル
2月180.38ドル
5月176.44ドル
*株価は各月末の終値。先週末6/14の終値は183.66ドルでした。
エヌビディアを筆頭とする生成AI関連銘柄に名を連ねる*アマゾンとしても
昨年から現在に至るまで、AIの大きな波も捕らえているといえます。
*アマゾンはAIチャット「Claude 3」を開発する米国のAnthropicに対して、
2023年9月に最大40億ドル(6,120億円)の投資計画を明らかににしており、この時に12.5億ドル、そして今年3月に27.5億ドルを追加投資を発表。(40億ドルの投資計画は完了。)
また、今年2月にNYダウの構成銘柄に採用されたことも新なアマゾン株購入の需要となり、株価上昇につながっていると思います。
第2四半期(4-6月期)の見通し
第2四半期の売上予想は1,440億ドルから1,490億ドルで、市場の期待に若干届かないものの、前年同期比7-11%の増収が見込まれています。営業利益も100億ドル-140億ドルの会社計画となっています。
フランスへの投資
アマゾンは5月13日、*フランス事業に12億ユーロ(約13億ドル)以上を投資し、3,000人以上の常用雇用を創出すると発表。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は生成AIの大きな商機を支えるため、パリ地域圏のクラウドインフラを強化(オーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏では物流インフラを増強も)、AIの普及によるクラウドサービスの需要拡大にも備えています。
フランスはミストラルやプールサイドといった有望な新興企業を擁し、AIハブとなっており、メタやグーグルなどもAI研究センターを設立。先月にはフランス政府は投資誘致イベント「チューズ・フランス」を開催。投資額の合計は150億ユーロ(約162億ドル)にのぼり、昨年の130億ユーロを上回り過去最大。フランスはユーロ圏第2位の経済大国ですが、財政赤字や成長低迷に直面しており、イベントを通じて欧州のビジネスの中心地としての評価を高めることを目指しています。今回の「チューズ・フランス」によりフランス国内で1万人の新規雇用が創出される見通し。AI、脱炭素化、医薬品、金融部門での大型案件を含む、56件のプロジェクトになったと仏政府は発表しています。中でもマイクロソフトは、同社によるフランスへの投資額として過去最大となる40億ユーロを投資すると発表。パリとマルセイユにある拠点を拡張し、次世代GPU(画像処理装置)を高性能化することで、フランスのクラウドおよびAIインフラを拡充、さらには2027年までにスタートアップ企業2,500社のAI導入を支援するとしています。
アマゾンひとくちメモ
設立年: 1994年
上場年: 1997年
『地球上で最も顧客を重視する会社』を目指す
2024年第1四半期(1-3月)売上高: 1,433億ドル
2023年通期売上高: 5,750億ドル(会計年度12月)
時価総額: 1.91兆ドル(2024/6/14)
セクター:一般消費財(Consumer Discretionary)
従業員数: 134万7,000人
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