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アルファベットの最新決算。広告とクラウドが牽引する好業績【1-3月/Q1,2024】より。


アルファベットの(1-3月/Q1,2024)決算は、市場予想を上回る内容。特に広告事業とクラウド部門の収益が顕著に増加し、その成長の勢いが同社の業績を大きく押し上げています。アルファベットのルース・ポラットCIO( 社長兼最高投資責任者)は「第1四半期の好業績は、全社的な収益の力強さと、コスト基盤の再構築に向けた継続的な取り組みを反映したもの」と述べています。

決算のポイント

  • 売上高-前年同月比+15%増の805.4億ドル、営業利益率は拡大。

  • 営業利益-255億ドル

  • EPS(1株利益)-1.89ドル

  • 広告収入-617億ドルのうちユーチューブ広告"YouTube ads"は 80.9億ドル(広告収入の13%)

  • Google Cloud(クラウド)-96億ドル(全体の売上のおよそ12%)

"第1四半期の業績は、検索、YouTube、クラウドの好調を反映しています。ジェミニ時代は順調に進んでおり、全社的に大きな勢いがあります。AI研究とインフラストラクチャーにおける当社のリーダーシップと、グローバルな製品展開により、当社はAIイノベーションの次の波に対して有利な立場にあります。"

スンダル・ピチャイCEO

広告事業の拡大

Q1におけるアルファベットの売上高は、広告事業の拡大によって支えられています。中核となる広告事業の収入は前年同期比+13%増、前四半期の11%増に比べても加速していることが明らかになりました。

拡大の大きな要因の一つとして、検索広告のパフォーマンスが挙げられます。特にアジア太平洋地域の小売業者がデジタルマーケティングへの投資を活発化させており、この地域からの広告支出は前年同期比で14%の増加と加速。

また、YouTube広告においても大幅な伸びが見られ、ダイレクトレスポンス広告とブランド広告の両方で強いパフォーマンスを示しています。

YouTube広告の成長率は21%と非常に高く、デジタル広告市場におけるアルファベットの地位をさらに強固なものとしています。デジタル広告の分野で更なる市場シェアを獲得し続けることが期待され、今後も持続的な成長が見込まれています。

グーグルクラウドの躍進

グーグルクラウド部門は前年同期比28%の増収でこちらも加速。営業利益は前年同月比4.7倍の9億ドル(市場予想6.7億ドル)。クラウドインフラへの強い需要と、AIを活用した企業向けオフィスソフWorkspaceの成長が寄与。アルファベットはクラウドサービス全般における成長の背景にAIの効果を提供できていることが大きな要因としています。

配当と自社株買い、財務戦略の新展開

初の四半期配当を発表し、1株当たり0.20ドルを6月に実施予定。これに加えて、700億ドルの自社株買い計画を発表しています。

詳細
アルファベットの取締役会は本日、現金配当プログラムの開始を承認し、2024年6月10日現在の株主名簿に記録されたA種、B種およびC種の各株式に対し、1株当たり0.20ドルの現金配当を2024年6月17日に支払うことを宣言しました。同社は今後も四半期ごとに現金配当を行う予定であるが、取締役会の独自の裁量による検討と承認が必要となる。

アルファベットの取締役会は本日、クラスAおよびクラスC株式の相対的な取引価格や取引量など、経済的コストや市場の実勢を考慮し、当社および株主にとって最善と考えられる方法で、AおよびC株式を700億ドルを上限に買い戻すことを承認しました。

アルファベットを親会社とするグーグル株は、"GOOGL"と"GOOG"という2つのティッカーシンボルで上場しています。違いは『議決権』。議決権がある方が、GOOGLでクラスA、ないほうがGOOGのクラスCになります。両者の株価はほぼ同じ株価になるように動きます。

筆者調べ

アルファベット、グーグルの収益構造

Googleは、Googleサービス、Googleクラウド、その他ベットとしてセグメント業績を報告していますが、それぞれの収益源は以下のようになっています。(*広告収入"Google advertising"は全体805億ドルうち、617億ドルほど)

Google Services
広告、Android、Chrome、デバイス、Googleマップ、Google Play、検索、YouTubeなどの製品およびサービスが含まれます。そして主に広告、YouTube TV、YouTube Music and Premium、NFL Sunday Ticket、Google One などの消費者向けサブスクリプション型製品の利用料、アプリやアプリ内課金、端末の販売から収益を生み出しています。→704億ドル

Google Cloud
インフラストラクチャーやグーグル・クラウド・プラットフォーム・サービス、グーグル・ワークスペース・コミュニケーション・コラボレーション・ツール、その他の企業向けサービスの利用料とサブスクリプションから収益を生み出しています。→96億ドル

Other Bets(その他事業)
Waymo(自動運転技術開発企業)などの有望なベンチャーがあります。AI等の先端技術への投資を通じて、将来の成長の柱となることが期待されています。

まとめ

グーグルがはじめて配当を出し、自社株買いをするいわゆる株主還元策は、ビッグテックの最近の傾向になっているようです。配当や自社株買いは短期的にも長期的にも株価にとっては、ポジティブに働きます。

しかし、株主還元よりも、成長を続け株価を上げることが、ハイテク株としての象徴だったわけですから、老舗優良株のように配当を出すのは、先頭を走る彼らが次のビジネスの形を模索していることに他ないと思われます。

アルファベットをはじめとするマグニフィセント・セブンがここから先も成長していくためには、AIが鍵となると考えているのは当然のことかもしれません。

アルファベットひとくちメモ

  • 設立年: 1998年(Googleとして)→2015年持株会社化→アルファベットへ

  • 上場年: 2004年

  • ティッカー・シンボル:GOOGL,GOOG

  • 2024年第1四半期売上高: 805億ドル

  • 2023年通期売上高: 3,074億ドル(会計年度12月)

  • 時価総額: 2.04兆ドル(2024/6/11)

  • セクター:コミュケーション・サービス(Communication Service)

  • 従業員数: 19万人




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