FOMCの決定で何が変わる?今年最後の会合解説。そして米国の中央銀行、FRBとは?
米国市場に投資信託や、ETF、個別株などを通じ参加するようになると、お決まりの大きなイベント前後に株式市場が揺れたり、弾けたりすることに気がつきますが、その大きなイベントというのが、年8回行われるFOMCです。
今年最後の会合を終えた、FOMCを振り返りながら、短期的に、企業活動や米国、さらには世界経済全体、そしてマーケットに大きな影響を与える、米国の中央銀行、FRBの「金融政策」を、わかりやすく?解説します。
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17-18日のFOMCでは何が?
米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月会合で、**政策金利(FFレート)を0.25ポイント引き下げ、誘導目標を4.25-4.5%にすることを決定しました。3会合連続の利下げとなります。11対1で可決、反対票はクリーブランド連銀のハマック総裁。
パウエル議長
「政策金利をピークから1%下げた(5.25-5.50→4.25-4.50%)ことで景気抑制の度合いが弱まった」と説明。
政策金利のさらなる調整について慎重な姿勢を示すも、「利下げは継続する」と明言し、追加利下げにはインフレ面での進展が必要と述べました。
2025年の利下げ予測は2回(FF金利は3.75-4.00%)にとどまり、前回予測より回数が減少。一部当局者は中立金利の上昇を指摘しており、より少ない利下げで同水準に到達可能とする見解も出ています。
12月会合の最新予測(SEP=Summary of Economic Projections,経済予測の概要)では、25年末の
失業率は4.3%、
経済成長率は2.1%(前回9月より上昇)、
インフレ率は2.5%(前回9月は2.1%)と予想。
長期政策金利見通しは3%に引き上げられました。
トランプ次期政権との関わり方は?
記者会見では、トランプ政権の関税政策への対応が議論にあがりましたが、議長は「影響は不透明」とし具体的な結論を出すには「時期尚早」との立場を表明しています。
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これまでのFOMCは?
FRBは、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年3月に政策金利を0〜0.25%まで引き下げます。パンデミックで、経済が大幅に落ち込むのを防ぐ狙いがありましたが、その反動として急激なインフレに直面します。今度は、
急激なインフレを抑えるために2022年3月から利上げサイクルを開始。それでもインフレ率は数ヶ月後に前年同月比9%でピークに達します。結局、FRBは11回の利上げを実施し、政策金利(FF金利)の誘導目標を5.25%〜5.5%に引き上げた後、2023年7月以降はその水準を維持していました。(FOMCの会合は実に、8会合連続で政策金利を据え置き。)
インフレ鈍化の確認ができたFRBは、雇用情勢悪化のリスクを避けるために、4年半ぶりの利下げを9月のFOMCで実施(▼0.5%)、11月に▼0.25%、そして今回12月会合で、▼0.25%の利下げとなりました。<表1>
そもそもFOMCとは?
連邦公開市場委員会
FOMCは、FRBが主催する重要な会議です。正式名称は連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)。年に8回開催され、米国の金融政策を決定します。
議長会見
FOMC会合後の議長会見は、金融政策の詳細な説明や今後の見通しを提供するため重要です。市場参加者は、金利の方向性や経済見通しに関する議長の発言を注視し、投資判断の材料とします。また、声明文では伝えきれない微妙なニュアンスや追加情報が得られることもあり、市場の反応に大きな影響を与えます。
FRBは何をするの?
FRBは、アメリカの中央銀行です。日本の日本銀行に相当する組織です。
日本では米国の中央銀行を指す用語として「FRS」(Federal Reserve System)「FRB」(Board of Governors of the Federal Reserve System)または
単純に連邦準備制度理事会の「FRB」(Federal Reserve Board)などが良く使われますが、中央銀行機能の総称としての意味を持つ「Federal Reserve System」を略したFed(フェッド)が業界関係者の間では一般的なようです。
FRBは、各国の中央銀行と同様に金融政策を担う組織であり、基本的な目的は共通しています。ただし、FRBの金融政策運営には特徴があり、「デュアル・マンデート(Dual Mandate)」と呼ばれる2つの責務が課されています。
日本含む多くの国の中央銀行が主に物価安定(stable prices)を第一の責務としているのに対し、Fedにはもう1つ、雇用の最大化(maximum employment)という責務があることを意味します。それは、経済予測の中にも「失業率」の項目が出てくることからもわかると思います。
FOMCが米国株投資に重要な理由
長期的にはあまり、神経質になる必要はないと思いますが、
金融政策の決定:FOMCでは、政策金利(FFレート)の設定や、景気刺激策の実施などを決めます。
経済への影響:これらの決定は、米国経済全体に影響を与えます。
世界経済への波及:米国は世界最大の経済大国なので、FRBの決定は世界中の経済や株式市場に影響します。
株価への影響:金融政策の変更は、株価には短期的、直接的な影響を及ぼすことがあります。
まとめ
FOMC会議の日程:年8回の定例会議の日程を把握しておきましょう。
政策金利の動向:利上げか利下げか、その方向性を確認しましょう。
FRB議長会見:短期的に、議長の発言は市場に大きな影響を与えることがあります。しかし、それは、FRBの政策、2つの責務を果たす、つまり、米国の経済が良い方向になるためのものであると覚えておきましょう。
経済見通し(SEP):FRBが発表する経済見通しも重要な情報源です。
FOMCを知ることは、開催される前後の、短期的なマーケットの動揺や興奮に冷静に向き合うことができるという、大きな安心感を得ることができます。
2025年FOMCスケジュール
全て、火曜日と水曜日です
1/28-29
3/18-19
5/6-7
6/17-18
7/29-30
9/16-17
10/28-29
12/9-10
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