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GPIFの運用成果から学ぶ、個人投資家の戦略!最新の運用状況を参考に。


7月5日、我々日本人の公的年金を運用する、GPIF(Government Pension Investment Fund -年金積立金管理運用独立行政法人)の2023年度運用状況が公表されています。このnoteでは安全、安心をモットーとする公的年金でさえ長期運用においては国内外の株式を運用対象とし、成果を上げていることに注目します。


過去最高の運用収益額、45.4兆円

ポイント

2023年の運用収益率は、22.67%(2020年ついで2番目)。
資産ごとの収益率は
国内債券:▼2.0%
外国債券:+15.83%
国内株式:+41.41%
外国株式:+40.6%

となっており、外国株式運用によるキャピタルゲイン(値上がり収益)、インカムゲイン(配当による収益)が大きく貢献。外国株式の存在感が高まっています。

2023年の運用実績は?

  • 運用収益額: 45.4兆円

  • 収益率: 22.67%

  • 累積収益額: 153.8兆円(2001年度から)

この結果、運用資産額はおよそ246兆円(2023年度末)、自主運用を開始した2001年度以降の累積収益額は153.8兆円。下記の表はGPIFのサイトより引用したものになります。

*GPIF2023年度の運用状況より

GPIFの投資対象

  • 国内債券: 安定した収益を見込むための投資

  • 国内株式: 成長企業への投資

  • 外国株式: グローバルな成長を取り込むための投資

  • 外国債券: 海外の安定した収益を見込むための投資

GPIFの各資産の目安は運用資産額の約25%。例えば、成績が良かった外国株式は大半がパッシブ運用であり、23/未時点の株価・保有株数と比較すると、基本的には「上がった銘柄は着実に利益確定」スタンスを採り、成果に繋げていることがうかがえます。

国・地域別に分類した投資額(トップ5,2024年3月末)

1.日本   117.6兆円/株式61.2兆円,債券56.4兆円
2.アメリカ 72.7兆円/株式41.7兆円,債券31兆円
3.フランス  7.4兆円/株式1.9兆円,債券5.4兆円
4.イギリス  6.3兆円/株式2.5兆円,債券3.8兆円
5.ドイツ 5.4兆円/株式1.4兆円,債券兆円

外国株式の大半が米国株

外国株式の大半が米国市場に連動するパッシブ運用ですので、GPIFもS&P500等の主要株価指数を構成する企業と同じような銘柄になります。これら以外で注目されるのは、8位にTSMC(台湾セミコンダクター,2330,TW/保有時価5,220億円)に名前が上がっています。

外国株式保有時価(トップ5,2024年3月末)

  1. マイクロソフト(MSFT,2.67兆円)

  2. アップル(AAPL,2.23兆円)

  3. エヌビディア(NVDA,2兆円)

  4. アマゾン(AMZN,1.49兆円)

  5. アルファベットA+C(GOOGL,GOOG,1.47兆円)

アクティブファンドの株式ポートファリオ構成%上位

GPIFは、今回初めて2022年度下半期から積極展開を始めた「株式アクティブファンドの選定」(外部の運用会社に委託した分)による、アクティブファンドのポートフォリオ(各運用会社のファンドマネージャー等の腕に委ねる)の上位銘柄も開示しています。↓

  1. マイクロソフト(MSFT)

  2. エヌビディア(NVDA)

  3. ウーバーテクノジーズ(UBER)

  4. リジェネロン・ファーマーシューティカルズ(REGN,最先端のバイオテクノロジー企業)

  5. コノコフィリップス(COP,原油・天然ガスの探査・生産を行うエネルギー企業)

2024年3月末時点での、アクティブファンドと呼ばれるものは、10兆円程度です。世界最大クラスの機関投資家、政府系ファンド、その資金規模から「クジラ」にもたとえられる、GPIFが手がける、アクティブファンドの今後成果に注目が集まります。

ここでもマグニフィセント・セブンが活躍!

GPIFの運用パフォーマンス(成績)を見るまでもなく、もはや米国の彼らをはじめとするビッグテック、M7なしには、運用成果は得られないことは明白です。個人投資家は、S&P500に連動するファンドをはじめ、個別米国企業に自信をもってのぞんで良いと思います。マーケットが不透明で、調整をむかえ不安になった時には

"安全・安心をモットーとする日本の公的年金も株式、特に米国株式によって成果を上げている"ことを思い出したください。

 GPIFとは何か?

  • 正式名称: 年金積立金管理運用独立行政法人

  • 役割: 日本の公的年金(国民年金や厚生年金)の積立金を運用するための組織

  • 目的: 年金の受給者に安定した給付を行うために、積立金を効率的かつ安全に運用すること。

年金財政における積立金の役割
積立金は年金財政の安定化に重要な役割を果たします。現行の仕組みでは、年金財政を約100年間で均衡させるために、初期段階では年金給付の一部に積立金の運用収入を充て、その後は積立金を少しずつ取り崩していきます。最終的には約100年後に年金給付の1年分程度の積立金が残るよう計画されています。現在の年金給付の財源の9割は保険料収入と国庫負担で賄われ、積立金の運用収入は1割です。短期的な市場変動は年金給付に影響を与えません。

GPIF

まとめ

個人投資家がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から学ぶべき重要なポイントは、長期投資と時間分散です。GPIFは長期的な視点で資産を運用し、安定した収益を上げ続けています。個人投資家も短期的な市場の変動に惑わされず、長期的な視点で投資を行うことで、リスクを抑えつつリターンを追求できます。

GPIFが長期にわたって定期的に資金を投入し続けることで、市場の高低を均す効果を得ているように、個人投資家も毎月一定額を投資することで、時間分散を図りリスクを分散できます。

また、直接債券を保有するのが難しい個人投資家は、バランス型の投資信託やETFを利用することで、株式と債券を組み合わせた分散投資が可能です。これにより、リスクを抑えつつ安定したリターンを得られます。GPIFの成功事例を参考に、自身の投資方針を再確認してみましょう。

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*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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