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エヌビディアの最新決算、AI市場での優位性と株式分割の意義

※追記 時価総額でトップに。6/19


6/18の米国市場で、エヌビディア株は上昇しついに、時価総額1位のマイクロソフトを捉えました。エヌビディアの3兆ドルまでの驚異的なペースは、
2023年5月 1兆ドル
2024年2月 2兆ドル
  6月6日 3兆ドル
6/10 10:1の株式分割

そして、6/18に3.3兆ドルへ。
1.エヌビディア 3.34兆ドル
2.マイクロソフト 3.32兆ドル
3.アップル  3.28兆ドル


"コンピューティングへの投資は引き続き旺盛。『次の産業革命が始まった』AIはほぼすべての産業に大幅な生産性向上をもたらし、企業のコストとエネルギー効率を高めると同時に収益機会を拡大する。"

ジェンセン・フアンCEO

2-4月/第1四半期決算,2024年

  • 売上高-前年同期比3.6倍の260.4億ドル(市場予想 247億ドル

  • 1株利益-前年同期比5.6倍の6.12ドル(予想 5.65ドル)

  • データセンター-226億ドル(予想 211億ドル)/ゲーム-26億ドル/プロフェッショナル・ビジュアル-4.27億ドル/自動車-3.29億ドル

  • 粗利益率-79%(予想 77%)

  • データセンター売上の約40%がアマゾン、メタ、マイクロソフト、アルファベットの4社が占める

  • 次期5-7月期,Q2の見通し(ガイダンス)も市場予想を上回る、売上高280億ドル±2%、粗利益率は75~76%

  • 増配(0.04ドル→0.1ドル)と株式分割(1株→10株)を発表

株式分割とは

エヌビディアの株式分割では、1株を10株に分割します。

つまり、分割前に1株保有していた株主は、分割後に元の1株に加えて9株を追加で受け取ることになります。

例えば、分割前に1株持っていた人は、分割後には合計10株を保有することになります。同様に、分割前に100株持っていた人は、分割後には1,000株を保有することになります。

ただし、株式分割によって株主の資産価値が増えるわけではありません。分割後は株数が増える一方で、1株あたりの株価は分割比率に応じて減少するからです。

株式分割は、株価を引き下げて投資家にとって株式をより購入しやすくすることが主な目的です。

注目の新チップ「ブラックウェル」

エヌビディアの新チップ「ブラックウェル」は、H100に比べて訓練速度が最大4倍、推論速度が最大30倍となる次世代のGPUアーキテクチャ。ブラックウェルは現代の高度なコンピューティングニーズを満たすための革新的なソリューション、生成AIの基礎を築く重要な技術とされています。

次の産業革命の鍵を握る

その特徴は、
1.高性能処理能力:ブラックウェルは、最新のAIと機械学習タスクに対応するために設計された高性能なチップ。何兆ものパラメーターを扱う生成AIの基礎を築くために開発されています。

2.フル生産体制:現在、ブラックウェルはフル生産体制に入っており、需要の増加に迅速に対応可能。

3.大規模パラメータ処理:ブラックウェルは、特に生成AIにおいて重要な役割を果たし、大規模なデータセットと複雑な計算を効率的に処理する能力があります。

4.次世代産業革命:ジェンセン・フアンCEOはブラックウェルを次の産業革命の鍵と位置づけており、さまざまな産業における生産性向上とコスト削減、エネルギー効率の向上に寄与することを期待しています。

5.TSMCとの協力:製造はエヌビディア自身では行わず、台湾のTSMCに委託。この協力により、最先端の製造プロセスを利用して高品質なチップを生産しています。

出荷は2024年後半とされています。

エヌビディアの強み

エヌビディアとTSMCの関係

エヌビディア(NVIDIA)は、グラフィックス処理ユニット(GPU)を設計する世界有数のファブレス企業。ファブレスとは、製造設備を持たず、製品の設計とマーケティングに特化する企業形態。エヌビディアは、自社で製造を行わず、*ファウンドリ、主に台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)に生産を委託。この方式により、エヌビディアは設計に集中し、高性能なGPUやAIチップの開発を迅速に進めることを可能にしています。

エヌビディアの製品は、ゲーム用PC、データセンター、自動運転車、プロフェッショナルビジュアルなど、さまざまな分野で広く使用されていますが、特に、AIや機械学習の分野では、エヌビディアのGPUが高い評価を受けており、データ処理や解析の効率を飛躍的に向上させています。エヌビディアは設計のみを行い、製造をTSMCに委託することで、技術革新と市場拡大を実現しています。

CUDAとは

NVIDIAの強みのもう一つは、「CUDA」と呼ばれるソフトウェアにあります。CUDA(Compute Unified Device Architectureエヌビディアが開発した並列コンピューティングプラットフォームおよびプログラミングモデル)。

CUDAは、GPUを効率的に活用するためのソフトウェアで、WindowsのようなOS(オペレーティングシステム)に例えられることもあります。このソフトウェアは、GPUを効果的かつ使いやすく操作できるようにするもので、ほとんどのAIシステムやアプリケーションで活用されています。

WindowsやiPhoneのシステムに慣れると、他のシステムに移行するのが面倒だと思う経験は誰しもあると思いますがCUDAはまさに、GPUをスムーズに動かすための、「事実上の標準」。

NVIDIAのGPUを中心にした製品は、半導体の性能だけでなく、ソフトウェアの使い勝手の良さも兼ね備えており、これがライバル企業が簡単に追随できない強みとなっています。CUDAの特徴は

  1. 並列処理能力の強化:CUDAは、エヌビディアのGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)を利用して、大量のデータを並列処理することができます。これにより、従来のCPUでは難しかった高性能計算が可能になります。

  2. プログラミングの簡素化:CUDAはC言語を基にした拡張プログラミング言語を提供しており、開発者は従来のC言語の知識を活かしてGPUプログラミングを行うことができます。また、PythonやFortranなどの他のプログラミング言語とも互換性があります。

  3. 幅広い適用範囲:科学技術計算、機械学習、データ解析、物理シミュレーション、画像処理など、多岐にわたる分野で使用されています。特にディープラーニングの分野では、GPUを活用することで学習速度が飛躍的に向上します。

  4. 大規模な開発者コミュニティ:CUDAはエヌビディアの主要な技術の一つであり、世界中に大規模な開発者コミュニティが存在します。このコミュニティからのサポートやリソースが豊富で、新しい技術や改善が頻繁に共有されています。

  5. 高い互換性:CUDAはエヌビディアのすべてのGPUに対応しており、開発されたプログラムは幅広いエヌビディア製品で動作します。これにより、ハードウェアの進化に伴ってもソフトウェアの互換性が維持されます。

CUDAは、エヌビディアのGPUの性能を最大限に引き出し、様々な分野での計算ニーズに応える強力なツールとして広く利用されています。

データセンターで圧倒的なパワー

米国はデータセンターの世界的なハブとして重要な役割を果たしています。この背景にはいくつかの要因があります。まず、急速なデジタル化の進展に伴い、企業や個人のデータ利用が爆発的に増加していることが挙げられます。また、

クラウドコンピューティングの普及により、*オンプレミスからクラウドへの移行が加速しており、これがデータセンターの需要をさらに押し上げています。ビッグデータの需要増加も重要な要素であり大量のデータを迅速かつ効率的に

処理するためには、高性能なデータセンターが必要です。さらに、米国はインフラの整備が進んでおり、電力供給の安定性やネットワークの高速化がデータセンター運営において重要な利点となっています。これらの要因が相まって、米国はデータセンター産業の中心地として成長を続けています。

*オンプレミスとは、自分たちの会社や学校などの建物の中に、コンピュータやサーバーを設置して使うことを指します。たとえば、学校のコンピュータ室にあるサーバーがオンプレミスです。これに対して、クラウドはインターネットを通じて遠くの場所にあるコンピュータやサーバーを利用する方法です。

筆者調べ

顧客はビッグテック

大規模データセンターを所有する主な米企業は、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)。エヌビディアのデータセンター売上のおよそ40%をこの4社が占めます。4社のクラウド事業やAIに関する今後の設備投資がエヌビディアの成長の鍵を握っています。

エヌビディアのライバルは?

データセンターに関連する企業にはエヌビディア(NVDA)以外にもインテル(INTC)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などがいます。しかしデータセンターのシステムも従来のCPU中心から、GPUを中心とするAIサ

ーバーに移行中であり、エヌビディアの圧倒的な優位性は続きます。エヌビディアのデータセンター向け売上高は、インテルやAMDのそれを大きく上回る成長を示しています。

アップルを追い抜く、時価総額!

*追記を参照してください


GPUをもとに、爆発的な成長を遂げてきたエヌビディア。

株価は、生成AIChat-GPTが世に出た、2022年11月からは7倍。
(今年に入ってからも2.44倍(6/7まで)に)

株式時価総額では3社目(アップル、マイクロソフト、エヌビディアの順番)の3兆ドルを超える企業に。6/6にはアップルを抜いて一時、2位に浮上しています。エヌビディアの時価総額は
2023年5月 1兆ドル
2024年2月 2兆ドル
  6月6日 3兆ドル

のペースですから、いかに凄いかわかります。

時価総額トップ3(6/7現在)
1.マイクロソフト3.15兆ドル(約491兆円)
2.アップル3.01兆ドル(約470兆円)
3.エヌビディア2.97兆ドル(約463兆円)

エヌビディアひとくちメモ

エヌビディア (NVDA)

  • 設立年: 1998年

  • 上場年: 1999年

  • 2025年第1四半期(2-4月)売上高: 260億ドル

  • 2024年通期売上高: 609億ドル(会計年度1月)

  • 時価総額: 3.34兆ドル(2024/6/18)

  • セクター:情報技術(Information Technology)

  • 従業員数: 2万6,200人


次回は、TSMCについて深堀します。




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