朱色の葉の上で生まれた朝露は、朝焼けの波の音で目が覚めた。
鳥のさえずりが、朝露の頬をぷるんと震わせる。
風で葉が揺れ、グラスに注がれた。
樹木の枝を滴り、寝ぼけまなこの大地を潤していく朝焼けは、静かに、しかし圧倒的に、世界を飲み込んでいく。
冷たい静寂の闇は、圧倒的な朝焼けの波に恐れをなし、次々と姿を消していった。
目覚めたばかりのトンボが、朝焼けで羽を洗う。
羽を通った光が砕け、ぽろぽろとあたりに降り注いだ。
グラスに注がれた朝露にも、ころん。
鳥の羽毛がふわり、マドラー代わりにかき混ぜた。
柔らかな口どけ、朝焼けジュース。
朝焼けの波に飲まれて、声を失っていた僕は、ジュースで喉を潤した。
#小説 #掌編