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遠距離恋愛の果て、満点プロポーズの話

タイトルの通りです。
ご推察の通り、ただの長い惚気です。
せっかくの機会なので当日のことを文字に残しておきたく。


わたしの2度目の転勤により、少し近くなったとはいえまだ新幹線必須の遠距離恋愛。そして彼はこれから論文作成に追われる超絶忙しい身。ぼんやりといつかはなんて思いつつも、まあ正直今じゃないわな、と全く想定していなかったタイミングでのサプライズだった。

そもそもは記念日も近いことだし、今月のデートはおいしいものでも食べに行こうかという話で始まっていて
日本酒と京フレンチのお店が3周年記念ディナーとして選ばれていたのでした。
日本酒には目がない私、即快諾。まさかそれが今後一生の思い出になるであろうプロポーズ会場になるなど、1ミリにも思わずに。

ランチは私希望のスパイスカレーを食べるため、当日お昼に大阪集合。
一応お祝いもあるしなあと悩んだ結果、服装は水色のフレアワンピースにレースのインナー、以前プレゼントしてもらったネックレスを合わせた。普段は丸く伸ばすだけのショートヘアも少し巻いてみたりして、やや「それらしい」装備になっていたはず。
今日の私可愛いじゃん!とTwitterでひとり自画自賛した記憶があるので……。

選べるランチの牡蠣カレーとポークキーマカレーをシェアしながら「今日(の服装、記念日のよそいき)ぽいでしょ」というと、「うん、ぽい」と笑ってくれた。気付いていたけど言いそびれた時の顔をしていたので、やはりほめてほしい時は自己申告に限るなと思った。
スパイスカレーは爽やかで旨味たっぷり、どちらもとってもおいしかった!勇気のいる外観だけど素敵な内装だったのでぜひともまた伺いたいなあと思っている。


メインは夜だし、その後は特に決めずぶらぶらとお散歩した。桜はまだあまり見られなかったけど、暖かい日だったのもあってか家族連れやカップルがあふれていて、なんと平穏な日曜日の昼下がり。
普段ブルーライト漬けの身に、ぽかぽかの日光が染みたな……。

歩き疲れたところで休憩していると、カメラを持った女性2人に「練習の被写体になってほしい」と声を掛けられた。
お世辞も込みだと思うのだけど、彼女たちの目には初々しい付き合いたての大学生カップルに見えていたようでびっくりした。なんだかごめんなさいの気持ち、もうすぐ付き合って満3年の24歳と31歳です。

撮影されるあいだ緊張で固まる彼がなんだか新鮮で、内心めちゃくちゃ面白かった。
今となっては、こんな記念になる日に撮りたいと声をかけてもらえたのも、何かの縁だったのかなあなんて思ったりもする。

カメラ女子とお別れした後は、人気カフェの行列に耐えかねてスコーンだけテイクアウトし、ひとまずおうちに退散。並んでたらディナーに間に合わないところだったので、良い判断だった!とお互いを褒め合った。
おうちでゆっくりお茶を淹れて、お腹がいっぱいになると困るのでスコーンは1つを半分こして楽しんだ。これも温めるとバターの香りが素晴らしくおいしかった。なんだか食べ物の話しかしていないな。


いよいよお待ちかねのディナーの時間!彼に連れられて立派な日本家屋風のレストランに到着。
たまたま他にお客さんはいなくて、あまりの静寂具合に最初は二人ともやや緊張気味だった。
コースは料理を選ぶことができたので、前菜と魚や肉のメインをそれぞれ違うものを頼み、白ワインで乾杯。どれも素敵で目も舌も楽しいお料理ばかり、最初の緊張はどこへやらでお喋りは弾んだし、お酒も進んだ。日本酒も美味しかったな…。

あとはデザートを残すのみ、というところで彼がお手洗いに立った。鞄を持って行ったので珍しいなあと思った記憶はある。
そこまで気が付いたにもかかわらずここで微塵も察せなかったあたり、私はほんっとうに、相当油断していた。

彼が戻ってきてから少し経った頃、デザートプレートがやってきた。
「お連れ様からのメッセージでございます」とサーブされる。
実はプレートメッセージの存在については予約の時点で知っていた。せっかくだし3周年記念!とか書いてもらおっか~などと2人で話していたので、ここまでは私も想定内だったのだ。

想定外だったのはここから。目の前に置かれたプレートには、思っていたそれとはまったく違う文字列が並んでいた。


『Will you marry me?』


文字列を認識し、その英文の意味を認識し、そうしてようやく「えっっ?!」と絞り出した後には何も続けられない。時間が止まったような、なんていう表現が人生で最も腑に落ちた瞬間だった。

呆然と見上げた私に微笑む彼の手には、指輪の入った白い小箱がある。
全てを理解して既に涙の止まらない私、手渡される12本の薔薇の花束と「僕と結婚してください」の言葉、サイズぴったりの指輪、想像もしなかったドラマのようなプロポーズ。
このあたりは驚きすぎて混乱していて、正直、記憶が前後している。もちろん、だか、よろしくお願いします、だかの返事をしたような気がする。

お店の方に撮ってもらったこの時の写真、見事に泣き顔の私でありました。
(ちなみにおうちに帰ってから笑顔で撮り直した)


彼の良いところの1つとして、こんなサプライズをした後でも裏側エピソードを洗いざらい語ってくれる素直なところがある。デザートを食べながら全部種明かしをしてくれた。

落ち着く9月末まで伸ばすか迷っていたこと、まわりの諸先輩方に相談した結果、それからでは諸々の準備が遅くなっていくためまずは婚約だけでもと3月に決行したこと。
指輪についてはプロポーズリングといって、婚約指輪とは違うあくまでパフォーマンス用のカジュアルなものであること。
とはいえ私が嫌がりそうなデザインを外しながら、極力シンプルなものを選んでくれたこと(プロポーズリングとなるとチャーム付きのものが案外多いらしい。絶対に要らんので彼氏は本当に本当によくわかっている)。
婚約指輪は気に入ったものを着けてほしいので、また一緒に探しに行きたいということ。

指輪は以前右手用に買ってもらっていて、その時のサイズは覚えていたらしい。それでも念のためと、お店に確認までしてくれたという話には驚いた。さすがすぎる。

花束も近所の花屋さんから吟味してくれたとのこと。薔薇の深い色味も、かすみ草とグリーンとのバランスも華やかですごくすごく素敵なブーケだった。
ちなみにそのお花屋さんは彼の家からも近かったので、翌日2人でお礼を言いに寄った。すごく人の良さそうなお兄さんが「うまくいきましたか!よかったー!」とニコニコと対応してくれた。他人から祝われて、この時少しだけ結婚するという実感がわいた。

隅から隅まで私を想って練られたことは十分すぎるくらいにわかる。これ以上のプロポーズはきっとない。完璧すぎて感謝しかない。

翌日、新幹線に乗るまでの間、京都駅ですこしだけ結婚指輪を下見に行ってみた。
勝手のわからないウィンドウショッピングはどっと疲れたけど、夢を見ているようだった一夜からようやく、じわりと現実が追い付く感覚がした。


とりあえずあと半年ほどは、彼が無事卒業できるよう応援に徹しようと思う。

長い惚気をここまで読んでくださってありがとう。
今後とも、よろしくお願いします。

2023/03/26
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2023/10/9 追記

無事に彼は修士論文を提出し、専門職大学院を修了した。
婚姻届けを出す日も決めた。

プロポーズからここ半年、なぜ結婚したいと思ったのか、と何度も考えました。彼と付き合うまでは結婚願望、正直本当になかった。今も結婚そのものへの憧れや夢みたいなものはないに等しいかもしれない。
色々と理由のようなものは思い浮かんだけれど、結局のところ
「楽しくてもしんどくても、この人とならなんだか生きていけそうだ」
「この人がそばにいてくれるのなら、なんだか大丈夫な気がする」
と思ったから、ということに尽きる気がしている。
付き合った当初から彼氏、と呼ぶのが何だかしっくりこなかったのは、絶大な信頼とはんぶん保護者・家族のような安心感のある関係値が起因していたのかもしれない。
自分の意志が強すぎて頑固で誰にも譲らない私は、この人のいうことなら一旦は聞く姿勢になる。(それを聞き入れるかは別だけど。)

この回答では彼はきっと納得してくれないのだけれど、ひとまとめにしてしまうと結果これ以上でも以下でもないような気がするのだ。
私が私のことを好きでいられるこの人を、私の隣に繋ぎ止めておきたくて、その手段として結婚を選んだ、それだけ。要するに自分のためだ。
とはいえ、もしも相手に何か障害が起こったとしてもそれは変わらないし、これまでたくさんもらってきたものをきちんと返していきたいとも思っている。

長く遠距離恋愛だったし、結婚そのものへのあこがれゼロの現実主義者なもので、甘い結婚生活などはなから期待していない部分はある。でも、楽しいことは共有できて、ダメな時はお互いに掬いあっていたわりあって、穏やかに生きていけたらいいなあとは思う。

こんな話をこれからもたくさん彼とするだろうし、したいとも思っている。

隣にいることがすぐにあたりまえになってしまうのが怖いけど、そんな時ちゃんと立ち戻れるようにこの記事にセーブしたつもりだ。

私を大事にしてくれる彼のことを、私も迷わず大事にしたい。


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