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管理が大変?生産性はどうなの?リモートワークの鍵は"チームワーク"だった

「リモートワークって管理大変じゃない?」
「会って仕事したほうが生産性高いんじゃない?」

よく聞かれる質問だ。自分なりの答えはこうだ。メンバーが主体的であれば管理コストは限りなく抑えられる。メンバー同士が主体的に連携し合っていれば生産性は高まっている。

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僕の所属する株式会社ガイアックスのソーシャルメディアマーケティング事業部はリモートワークを導入していて、その取組みは各種媒体で取材をしていただいたり表彰していただいたりしている。
特に企業のトップである社長ではなくイチ事業部の部長が推進してきたという点は珍しいとのこと。


職場環境の改善を推し進めてきた事業部長の管は、リモートワークによる効果について取材記事で以下のように触れている。

「今では副業もなんでもOKで、ほとんどルールはありません。みんなこの自由や居心地の良さに価値を感じ、手放したくないと思うので、変なことをする人はいないし、メンバー間でも協力的になるんですよ。例えば、たくさん休みたいなら、他のメンバーのサポートが必要になります。そのためには自分も誰かをサポートしなくてはいけない。メンバー同士が助け合って仕事をすることで、チームとしての相乗効果が生まれ、業務の効率や生産性が劇的に高まりました」

今回はこのあたりについて、一年間チームマネジャーとして過ごしてきた視点から、具体的にどんなことをしてみたのか書いてみようと思う。


中途入社して感じたこと「誰が何をしてるの...?」

前職ではオフィスがあり(当たり前だが…笑)、自分の席があり、毎日定時に出社して、タイムカードに打刻して帰るという、一般的な職場環境だった。
中途入社してしばらくは戸惑うことが多々あった。だって出社しても誰もいないのだから。
「誰が何に得意なのか」が当時はわからなかったので、チャットワークで質問しようにも全体部屋で発言するしかない。でもそれは入社したての者には心理的ハードルがちょっと高い、、、

コミュニケーションは特定の人とのやりとりに偏っていった。


チーム制の導入「もっとメンバー間のつながりを密にしたいなぁ…」

リファラル採用が功を奏して、事業部の人数がどんどん増えていった。これまで一人の副部長がコンサルメンバー全体を見ていたのだが、それを2チームに分けてそれぞれのチームにマネジャーを置くことになった。そのマネジャーの一人が僕だ。 

 「個々人で仕事を進めてる。」

当時なんとなく感じていたことだ。事業部内の仲はとても良いのだけど、仕事については単独プレイが多い印象があった。もしかしたらリモートワークの弊害のひとつだったのかもしれない。
ナレッジシェアの観点からも属人化はなるべく避けたかった。あと自分は、だれかと一緒に仕事をすることに楽しみを感じるタイプだった...笑  

「もうちょっと、なんか、”チーム感”がほしいなぁ...」

チーム制の導入にあたり強く意識したことのひとつだった。


コミュニケーションが生まれる土壌づくり

チーム感をビルドしていくにあたって、特に意識したのはコミュニケーションの頻度と深度だ。いかにチーム内のやりとりの量と質が上がるか。

実際に行ったことをハード面とソフト面で整理してみたい。

■ハード面■

1.チーム専用のチャットワーク部屋を作成

当たり前だがチーム内のやりとり用にチャットワーク部屋を作成した。ポイントはチームメンバーだけの部屋にしたことだ。部長や副部長も入れなかった
どうなったかというと、どうでもいい雑談ばかりになった...笑
事業部内にもフリートーク用の部屋があったのだけど、6人という少人数の部屋ということもあって、発言のハードルがかなり下がったのだと思う。明らかにコミュニケーションの頻度は増えた。

そしてそんな雑談の中でも、さすがにやりとりを交わしていればたまには仕事の話題も出てくるようになるのだ。

2.毎週のチーム定例ミーティングと月一のチーム飲みを開催

毎週一時間、チームで集まる時間を設けた。それぞれの案件進捗の共有だったり、事業部全体のアナウンスを再度チーム内で確認したり。
あと定例の議題に入れたのは「今週の良かったこと/悪かったこと」だ。担当する案件でこんな学びがあった、先日のあなたのあの件はこうした方がベターだった、という内容をミーティングに入れた。個々の引き出しに収納されていく知見や経験を、互いに開けていくイメージだ。

あと月に一度はチームで飲みに行った。事業部全体でも月一で飲み会があるのに...笑
ふだんリモートワークで会わないので、こうやって会うときには自然と「重要だけど緊急じゃないこと」の話題が多かったように思う。緊急なことはテキストベースで日々やりとりされている。

3.チームメンバーとの1:1レビューを設定

レビューの頻度は個々のメンバーに任せることにした。自分より若手のメンバーは週一で行うこともあったし、自分より先輩メンバーは隔週とか月一にちょこっとというケースもあった。
少人数のチームになっても、それでもみんなの前では言えない意見や、個々の本音は必ずある。もちろんマネジャーの自分にもある。それらをこっそり話し合う時間を定期的に設けた。

■ソフト面■

4.配慮は必要だけど遠慮は不要

一人で悩んだり調べたりしてることが、人に聞いたらすぐ解決するなんてことは案外よくある。「こんな質問してもいいのかな…」と思ったら遠慮せずに聞いてしまおう!という雰囲気は大事にした。

一方で配慮に欠ける質問や依頼があったらなるべく指摘した。テキストコミュニケーションでは情報量が少なくなってしまう。背景や意図もしっかり伝えることで、相手の時間はいただくけど奪わない、という文化も大事にした。

5.マネジャーがヒエラルキーを積極的に無くしていく

中途入社でマネジャーになったので、自分より経験のある先輩メンバーもいる。後輩メンバーだってその人の得意領域がある。もちろん僕にも得意不得意がある。マネジャーだからって何でもできるわけではないので、苦手な作業や不得意分野は包み隠さずどんどんオープンにした

それからマネジャーではあるけど、マネジメントはなるべくしたくないと常々宣言していた。上から管理するのではなく、チーム内のハブになって下支えしたいという、自分の考える役割を伝えていた。

6.主語を一人称にして発言する

事業部としてこうしましょう、チームは今こうすべきだ、という発言はなるべく控えた。「僕は今こうしたいと考えている」「あなたはどう感じるか」というように、お互いが一人称で、主観を込めて意見を出し合えるように気をつけた。
そのプロセスがチームないし事業部の方針に対する個々のエンゲージメントを高めることに繋がったように思う。


転職も視野に入れていたメンバーにある変化が

実はチーム制を導入して最初に行った1:1レビューにて、転職も視野に入れている旨を話してくれたメンバーがいた。マネジャーに就いて早々、まさかこんな話が出るとは。。シンプルに「え、まじか…」って思った。笑
と同時に、「この人を絶対に楽しませてやる」とひそかに心に誓ったのであった。笑

一年経った今、そのメンバーは事業部に在籍している。それどころかこの一年、チーム内で誰よりも積極的に主体的にチームメンバーとコミュニケーションを交わし、難易度の高い案件をメインに担当しながら他メンバーのサポートにあたっていた。
他メンバーの案件進行にサポートで入り改善点を洗い出してフィードバックしたり、散乱している事業部内の知見や情報を集約したシートを作成したり、チーム内質問箱を用意して不明点や疑問に答えていた。

いつかの1:1レビューでそのメンバーはこう言った。「誰かの役に立つことは嬉しいし、力になれることがあるならやる」。とても嬉しい言葉だった。


日本理化学工業㈱が取り組む”働く幸せ”とは

チョーク製造を主とする日本理化学工業は、全従業員の70%以上が知的障がいのある社員だそうだ。障がい者雇用の取組みによって得られる気づきを伝えることも一つの使命として掲げていらっしゃる。その取組みの背景にある”働く幸せ”ついて、ホームページで以下のように書かれている。

このような障がい者多数雇用を目指したのは、禅寺のお坊さんから「人間の究極の幸せは、1つは愛されること、2つ目はほめられること、3つ目は人の役に立つこと、4つ目は人に必要とされることの4つです。福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが人間を幸せにするのです」と教わったからでした。


小さな貢献感の積み上げがやがて主体性につながる

リモートワークによって個人プレイになったり知見や経験が属人化されやすくなる、というのは一概には言えないかもしれない。うちの中でも僕が個人的にただ感じていただけかもしれない。
一方で、「リモートワークって管理大変じゃない?」「会って仕事したほうが生産性高いんじゃない?」という質問をよく受けることから、世間のイメージはまだまだ”特殊”で”難しい”といったものなんじゃないかと思う。

自分なりの答えはこうだ。メンバーが主体的であれば管理コストは限りなく抑えられる。メンバー同士が主体的に連携し合っていれば生産性は高まっていく。

どうしたら主体性のある集団になれるか。それは日々のコミュニケーションの中で些細な課題(しかし本人にとっては重大の場合もある)でさえ共有され、それを誰かが解決する。
そんな小さい貢献感の積み重ねが”働く幸せ”にまで大きくなり、幸福感が他者への思いやりを生む。そうやって恩が循環し、気づけば主体性が自然な文化になっている

リモートワークによって生じる物理的な距離はさほど問題にはならない。リモートワークの鍵はチームワークだ。

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