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散歩道と音楽 水に浮く


この道の先を
目で緩やかに上り
古の塔を拝観する
この散歩道が好きだ
道の辺でそれを描く
おばあちゃんも好きだ
口元を緩ませつつ
邪魔せぬように早く小さくなれ
と、私は足を速める
気づけば
イヤホンから溢れ出る水の中
そこから眺む尊容
横行く人の電子音
正午の鐘の音
素材も質も年齢も
時代も場所も空間も違うのに
すべてが混ざり水中に浮く心地良さよ
この世には
決まりも色分けも線引きも
なにもないのかと信じる瞬間