問われ始めた「メディア」と「広告主」が示す態度

先日、ヤフーさん主催で「記事広告を考える」という内容のイベントがあった。

テーマは

おもしろいだけが記事広告ですか?
~Yahoo!ニュースの編集と業界キーマンが考えるスポンサードコンテンツのあり方~

登壇者もすごい豪華.!
アウディジャパン 井上 大輔 氏
博報堂ケトル 嶋 浩一郎 氏
ノオト 宮脇 淳 氏

僕は行けなかったのだけど、イベントに参加していた人がTwitter上でつぶやいていたので、それを追って大体の内容がつかめた。

今日は、そのTwitter上で流し読みした参加者のコメントから見えた「記事広告を考える」ことで見えたこれからの「メディア」と「広告主」に求められる態度を考えてみた。下記がTwitter上で追った内容をある程度まとめてみたものです。

①記事広告の5か条
②メディアが持つ世界観
③批評性のある記事広告
④記事のPR表記について

①記事広告の5か条

記事広告の5か条として下記が示されていた。
備忘録として残しておく。(解釈間違ってたらすいません)

★記事広告の5か条★
1)コンテクストを整理しよう
そもそも何のための記事広告なのか、目的をはっきりさせておくことが必要。

・知っているけど興味ない人に興味持ってもらうための記事
・商品や会社の名前を知ってもらうための記事
・興味あるけど迷ってる人に機能など説明するための記事
・信頼できる商品だと伝える記事
など記事広告の目的が何なのかを考える。

2)「誰に」「何をしてもらうのか」を明確にしよう

記事を読む前と呼んだ後でどのような変化が起こってほしいのかストーリーを考えるということ。
誰に読んでほしいのか?
その人に読んでもらってどうしてもらいたいのか?
当たり前のようだけど、この部分がないまま制作しても全く意味がない。

3)KPIを「1つだけ」設定しよう
KPIを1つに絞るのは本当に大切。記事1つで全部は解決しないもの。
記事の目的によって、設定するKPIは全く違うけれど、KPIが固まれば作りやすくなる。
逆にあれもこれも解決しようとすると制作側がぶれてしまうし、制作側と発注側のコミュニケーションがスムーズにいかなくなる。

4)拡散力を買うのか、コンテンツ制作力を買うのかを明確にしよう。
メディアは無数にある中で、トラフィック重視で流入をとにかく増やすことを重視するのか?
伝えたい人へしっかりと伝わるストーリーを作りこむことを重視するのか?
どちらの方向によっていくかで記事の内容や届け方も変わってくる。

5)あとはうだうだ口出さずに任せよう。
いくら質のいい記事でも、読者が求めるものではないと読まれない。
読者のことは編集者が一番よく知っている。
発注者はこのあたりのことを理解して、あまり口出しを多くしないように気を付けたい。

②メディアが持つ世界観

メディアは、それぞれ世界観を持っている。
記事広告を買うということは、そのメディアの世界観も含めて買うということ。そのメディアの世界観の中で自分の商品が紹介されるから価値があるということの理解が必要になる。
でも、ネット時代になってこれが難しくなってきてる。
何故ならネットメディアは、世界観を作りにくいから。

世界観を作っている良い例として下記のメディアへの掲載事例が挙がっていた。

・北欧、暮らしの道具店に掲載された無印
・ほぼ日のバルミューダ
・NewsPicksの東京モーターショー」
これらに共通するのは「メディアがブランドを持っている」こと。

北欧暮らしの道具店×無印良品
https://hokuohkurashi.com/note/83524
NEWSPICS×Tms
https://newspicks.com/news/2640668/body/
ほぼ日×バルミューダー
http://www.1101.com/terao_gen/

上記のメディアは世界観ができているから、広告主もメディアの世界観に合わせた記事広告を出すことで、そのメディアでしかできない体験を提供することができる。
逆に、ネットメディアのブランドづくりを阻害している要因の一つとして挙げられるのは、PV至上主義。

雑誌は誌面の限りがあるから、情報を絞り、世界観が生まれ、好きな人が生まれる循環がある。ネットメディアの作り手は「いい世界観が作れたね」とは褒められない。PVで評価される。

上記の3つのメディアは、トップが世界観をきちんと作っているから、そこに広告が気持ちよく馴染んでいる。

よりわかりやすい表現として下記のような言葉を使っていた。

記事広告は人様のパーティにお呼ばれしてスピーチするようなもの。
好きなこと言ったら参加者に嫌われる。
参加するお客さんの理解をした上で、みんなが喜ぶことを言うように。記事広告では読者を理解した上で広告をだす必要がある。
そのときに編集者などが役割を果たす。
Webメディアで世界観が作りにくいのは、出版社の人たちがまだまだネットに来ていないからだと思う。それは給与面も。
とはいえ、ライターさんのギャラも、Webメディアでも上がってきたと思う。クオリティを担保して作ろうという仕事は増えている。

③批評性のある記事広告**

**

ネットでは炎上はつきもの。
炎上が起きるということは、みんなが議論したがってるネタだっていうことでもある。

単なる出稿先としてしか見られないメディアよりかは、批評性のあるメディアの方が価値がある。
みんなが議論したり批評したくなるような「余白」や「隙」「ボケ」の部分を作っておくことが必要だと思う。

④記事のPR表記について

嶋浩一郎さん曰く、

「パブリックリレーションズの仕事をしている人間からみたら、【PR】と表記されるのは屈辱【スポンサード】と表記してほしい。どこかでこの主張をしたかったが、言う場所がなかった…。」

PRは、アピールじゃないということですね。

以上がTwiiterで追えたメインの内容です。
個人的に感じたことを「メディアの視点」「広告主の視点」でまとめていく。

まず「メディアの視点」として大事だと思ったことは2つ。
①メディアの世界観をつくる。
②メディアの世界観を伝える(売る)。

①はメディアのコンテンツを制作する編集者が自分たちのメディアの在り方や世界観をしっかり定義し、それに沿った一貫性のあるコンテンツを作り続けることだと思う。
この点は、少なからずほとんどのメディアの人たちは、意識してできているのではないかと思う。

問題は②で、多くのメディアが自分たちが持っているメディアの世界観を周りに伝えられていない。
本来的には、伝えようとしなくても自然と滲み出るほど世界観が作りこまれているメディア(ほぼ日や北欧暮らしの道具店のような)であればいいのだが、
そんなに簡単なことではない。だから伝える努力をしなければいけない。
少なからずメディアの方向性や価値観、読んでほしい人などをどのメディアも持っているはず。
であれば、それを読者や広告主に「伝える」ことを怠っていることに問題があると思うのです。

高広伯彦さんが下記の記事の中でこう語っている。
「メディアビジネスの基本的なモデルは変わらないが、売り方が新しくなってきてる」
メディアビジネスとしてはPVを換金するという基本の型は変わらないので、PV至上主義というのは、メディアとしての価値を示す一つの基準であることに変わりはない。
だけどそれだけではダメで、売り方を新しくしないといけない。
それが「メディアの世界観を滲み出す」ことであったり、それを伝えるためにメディア側の人が直接、広告主に対して伝える努力をしなければいけない。メディアの売り方の技術と性格が求められている。
メディア側の広告営業のスタイルが問われ始めると思っている。
https://www.fastgrow.jp/articles/takahiro

広告営業の人が自分たちのメディアの世界観を語れないのはナンセンスだし、どういう人が読者で、読者にどのような気持ちになってもらうためのメディアかを広告主に対して語れない営業もまだまだ多いのではないかと思う。

次に「広告主の視点」で大事だと思うことも2つ
①「なぜそのメディアなのか」を考える。
②メディアに対しての物言い力を鍛える。

①は、無数にあるメディアの中で「なぜそのメディアに出稿をするのか」を広告主自身がしっかりと考えを持つべきだと思っている。
広告代理店に丸投げしたり、メディア規模を示す数字だけで判断せずに、
そのメディアの世界観に入り込むことで「誰に対して、どうなってもらいたいから、それを解決できるこういうメディアに出稿するんです。」と
はっきり言えることが必要なのではないかと。

②についてはメディアに対して「言うべき部分」と「言わない方がいい部分」を区別するということ。
「言うべき部分」としては、
自社のメディアの世界観を説明できなかったり、数字だけ並べて提案をしてくる広告営業マンに対しては、しっかりと文句を言うべきだと思う。でないと自分立ちが出稿できるかどうかの判断ができないから。

逆に、編集者に対して「こういう書き方にしてほしい」「こういう言葉に変えてほしい」など記事の細かい専門的な領域に対しては、
あまり、つべこべ言わず、編集者を信頼してあげた方が結果的に良い記事になると思う。
読者を一番い理解しているのは編集者だから。

以上、「#記事広告を考える」から考えたこれからのメディアの在り方についてでした。

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