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秋空に溶けたサイダー【Base Ball Bear】


"New Maxi Single『SYUUU / ドライブ』3/24(水)リリース!"

という告知を目にし、
あ〜ベボベの新譜出たんか〜!また後でSpotifyで聴こ〜っと。

そんな簡単で簡潔な思いのままなんとなーくその情報を飲み込みました。

しかし、私がSpotifyで曲を再生する前に、
意図せず、たまたま、曲の感想を目にしてしまいました。


「この曲って、津野さんのこと歌ってるよね…?」


色んな人がそんなことを呟いていました。


"津野さん"
それは間違いなく、
赤い公園の、"津野米咲さん"のことでしょう。

こいちゃん(ベボベのボーカルの小出さん)は、
津野米咲さんが自宅で亡くなったというあの報道後、
津野さんについて、赤い公園について、一言も言葉にしていませんでした。(少なくとも私が知る限りでは。)
もちろん、SNSやメディアでそのことについて何かを言わなければいけない、
なんて義務はないし、赤い公園と石野理子を引き合わせてくれたこいちゃんが、あの報道を受けて、何を思い、考えたのか。
それはきっと私達には計り知れない、いろんな思いを抱いていることも想像ができました。


だからこそ、
表現の場である音楽を通して、"今"を表現するこいちゃんなら、
本当に曲にその気持ちを乗せてるのではないか、と思いました。

私達が目にしなかった、
こいちゃんの思いや考えが表現されてるかもしれない曲…


少しドキドキしながら、
私はそっと曲を再生させました。




今回のシングルには、
少し前に先行配信された「ドライブ」と、「SYUUU」が収録されています。

先行配信されていた「ドライブ」は、配信されてすぐ聴きました。
前回リリースされたC3含め、ベボベのこれからの音楽の道が確立したな、と感じた曲でした。
「ドライブ」を聞いた率直な感想は、
なるほど。今のベボベはこういう路線なのか。
という印象でした。

以前、「いまは僕の目を見て」という曲については、noteに書きました。
(良ければこちらも是非◎)


本当に、3人体制が確立された、今のベボベ
という感じがひしひしと伝わってくる曲でした。
言葉にするなら、

ベボベの新しさ。新しい一面。

そして、これから表現していってくれる新しさ。

ドライブには、"ベボベのこれから"が詰まった曲だと感じました。


そして、先に「ドライブ」を聴いていたからこそ、
「SYUUU」を聴き、衝撃を受けました。


「SYUUU」は、
私が先に挙げた、
新しさ
をさらっと覆してきたんです。

「SYUUU」は紛れもなく、
4人でやっていた頃のベボベを感じさせる曲でした。

2020年にリリースされた『C3』にもアップテンポの曲はもちろんあったんですが、その時は、懐かしさよりも、新しさを強く感じました。

始まりからドラムがアップテンポでリズムを刻み、ギターがそれに合わせてせわしなく動き、一定したリズムで安定感を出すベース。
曲調だけでいうと、私が個人的に好きなアルバム『(WHAT IS THE)LOVE&POP?』や『深呼吸』の中に入っていても違和感を感じないほど、懐かしさを感じる、以前のベボベでした。

新しいベボベも、もちろん好きなのですが、
この曲を聴いて、確信しました。
私はやっぱりまだ過去のベボベに囚われているのだな、と。

きっと、バンドの進化・変化に、私の脳みそがついていけていない。
そして、ずっと、以前好きだったものを追い続けている私がいて、
その私は過去にいるまま前に進めていないのだな、と。

正直、これは、いろんな変化があるバンド全般に言えることでもありますが。
あの頃が良かった、あの頃が好きだった、と思ってしまう、要因、ですね。


今までちょっと目をそらしていた気持ちに、正面切って突きつけられた気分でした。

逆に考えると、
4人から、3人体制へと変わり、その体制が確立した今、
ベボベが、以前のような曲を作り出したこと、
それに意味があるんじゃないか、とすら思えてきます。

過去への決別、というと、少し大げさで随分勝手な解釈かもしれませんが。
少なからず、この曲で、ある一点にピリオドを打ったんじゃないかな、と私は感じました。


さて、冒頭で少し挙げた、
この曲に隠された真意について、ですが、

津野さんのことを歌っている、とも取れる。

というのが私の感想です。


「もう会えないなら さよならなんか言わなかった」
「降れ 降れ 涙を隠して」
という歌詞からは、別れや悲しみが伝わりますし、

「透明な花」
「おやすみと持ち上げたサイダー」
という歌詞が、赤い公園を彷彿とさせる人がいるのも事実でしょう。

"大切な人との別れ"ということがテーマになっている以上、そう連想してしまうのは当然、というか、必然だと思います。


こいちゃんは、度々、楽曲について、
"楽曲の解釈については聴く人に委ねています"
と発言しています。

きっとそれが、音楽の面白いところの1つで。

その人の境遇や、音楽を聴く環境によって、
曲を聴いて思い浮かべるものが人によって異なりますよね。

「SYUUU」では、リスナーの多くが、「津野米咲」のことを思い浮かべた。

それだけ、みんなの心の中に、「津野米咲」という人物がいた。
それほど、みんなにとって大切で大きな存在だった、ということではないのでしょうか。




色々と解釈だったり、考えを連ねてきましたが、
「SYUUU」とっても好きです。
アルバムジャケットや歌詞カードも銀紙で、手にすると、自分が映るようになっています。
"自分や自分の部屋がテーマの作品"だから。

曲だけでなく、ジャケットや中身までテーマを一貫して表現している作品。
これこそ、"音楽で表現する"ことだな、と。
ジャケット含めてお気に入りの一枚になりました◎


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かなーり久しぶりの更新となってしまいました。
更新しない間に、緊急事態宣言が発令され、いつもと変わらない街が少しだけ変わって、でも私自身は何も変わってなくって、なんだかなぁ、とやるせない日々を過ごしています。
でも、身体はとっても元気です!

ずっと書きたかった、ベボベの新譜の記事。
仕事が遅番の日なのに間違って早番の電車に乗ってしまって、近場のマックで時間潰しのために執筆していたのですが、
筆の進むこと進むこと……
書く意欲が削がれてしまったんじゃないかと少し不安になっていたのですが、そんなこと微塵もなかったようです。一安心。笑

スローペース(マイペース)になりますが、
これからも書き手であり続けようと思ってますので、
私に書く時間と心の余裕をください神様〜〜



きいろ。

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