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嘘をリセットする

関東に引越し、新生活のキッチンでパチリ。
あちこち全部白いマンションなので、小物でいろいろ楽しくアクセントを。
時計はマンハッタナーズ。関東に留まることなく、次はニューヨークへ行くぞ!の願いを込めて。

東向きの小さい窓から入る朝日が明るくて好い。
これが、けっこう心に効く。
この部屋を選ぶ時、東側にキッチンのある角部屋であることが決め手の一つになった。

東京には、10代からの合計で14年くらい暮らしたことがある。
関東の晴れ具合はやっぱり段違いで気持ちいい。そういえばこんなだったな、と、久しぶりに暮らす太平洋側の街が懐かしい。
海まで車で4分、自転車で10分。
桜をたどりながら海までの散歩にも慣れていく日々。


引越して早々、いくつか仕事のお誘いもいただいたりしているけれど、今年1年は、これまでのゴタゴタしていた数年間の疲れを癒すべく、のんびり過ごすと決めた。
離婚してお金も無くなったけれど、一度、このゼロに浸ってみるのも良い。

2、3年のバタバタが過ぎてみると、もっとずっと過去の日々まで思い出されて、そこに私はどれだけの犠牲を払ってきてしまったのか、ようやく自覚できた。
かなり遅いけれど、遠回りで、ほとんど時間の無駄を過ごしたけれど、「どこに行って何の理想を掲げようと、必要な場所にちゃんと戻ってくる」ということを、回帰の現実が教えてくれている。
今また自分の原点に、私は居る。全部捨てて。
足掻いてみたところで、あるいは自分を無視して蔑ろにしたまま、世の中の流れに乗って納得しようとしたところで、堂々巡りのようにちゃんと戻されてしまうのだと知った。

“ そこじゃないよ、あんたのいる場所は “

囁かれ続けたその声が、20数年経ってやっと聞こえた。
声は私自身からのものだった。
幸せは、作るものでも、目指すものでも、探すものでもない。
そこにあることに、ただ気づくことから始まる。
「自分の本当」に気づきさえすれば、この遠回りは要らなかった。
あの冒険も、騒動も、勘違いも苦労も、気遣いさえ、そもそも要らなかったのに。
20年前の私に言いたい。そこじゃないんだよ、何を期待するというの?目を開けて、気づきなさい。

昔、ミュージカルの舞台でチルチルミチルのミチルの役を演じたことがある。『青い鳥』の象徴は深いと、あらためて思う。
どこに行かなくても、何を選ぶでもなく、私の「本当」は、いつもずっと昔から私のすぐそばにあるはずだったのだから。
長年、自分についてきた巧妙な嘘を、リセットできるのは自分しかいない。
ここは新しい場所だけれど、私は、やっと戻ってこれたのだ。



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