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なぜ、私がCS業務にAIを導入したいか。




はじめに


株式会社アンビエントナビ CT(コンサルティング)部署でメインリーダーを務めている横山瑞輝と申します。
当社は生成AIによるコンサルティング事業を強化しておりますが、元来のビジネスモデルは飲食店を対象としたSNS運用代行・コンサルティングサービスです。私はその分野において、生成AIを用いたDX化を中心とした業務改善の中心を担っております。

本日は、当社がなぜ生成AI事業に参入したか、および私がなぜ、どのような視点でCS(カスタマーサクセス)業務に生成AIを活かしていきたいと考えているか、ご紹介させていただけますと幸いです。



・生成AIとは、1990年代のインターネットである


生成AIは、数年後には世界中のITビジネスのスタンダードとなると確信しております。今、ChatGPTやGeminiを中心として、様々な生成AIシステムが世界に普及しつつありますが、今の日本の反応を見ると、それはどこか「すごいけどよくわからない」さながらのリアクションだと感じられます。


しかし、CustomerとBusinessもともども、生成AIの圧倒的な能力には驚かされ続けています。これまで様々なReferenceを参照し、紐解き、それをアウトプットしなければいけなかった我々が、生成AIの力によって、瞬時にこれをクリアすることが可能になっています。


生成AIの情報は登場したての時、あまりアクセシビリティが高くなく、一般ユーザーにとって難解すぎるものでした。正確なプロンプトも求められ、例え整然としたプロンプトを用いたとしても欲しい回答を得られるとは限らない。そんなオモチャのように思われていたAIは過去の話です。今やChatGPTも4oまで進化し、さらに無料ユーザーにもそれが開示されるようになりました。PDFやMP4の解析まで可能となり、人間の仕事をAIが本格的に代替できるようになっています。


この現象を振り返ると、1990年代のインターネットさながらのように感じます。


インターネットが「すごいけどよくわからない」と言われていたご時世に一石を投じてECコマースへの一歩を踏み出した楽天。小さな一室からWEB広告事業を始めたサイバーエージェント。インターネットは必ず普及すると信じて、素早くインターネット事業に舵を切ったライブドア。


どの企業も、不確定な領域であったインターネットに素早く踏み出し、リーダーシップを獲得した企業たちです。私は、弊社が生成AIコンサルティングにおけるリーディングカンパニーになってほしいという思いは多少なりともありますが、個人的に重視しているのは、インターネットで成功した先行者による先見の明をいかに活かしてチャレンジする姿勢を見せられるかということです。



よくICTの世界では「正当性効果」と「競争効果」というものが議論されます。どんな企業もまず、そのビジネスモデルが「正当性」を持つのか、マーケットの観察から始めてしまいます。そしてこれがうまくいくと確信した後に、他の企業を模倣した競争が生まれるのです。おそらく、生成AI関連のビジネスは、数年後には飽和状態というレベルで、開発も実装もコンサルティングも、多くの競争に埋め尽くされています。それであれば、先手必勝で、手探りでありながらも社内に生成AIのテクノロジーを早速活用し、そのナレッジビルディングを通じて、多くの企業様のお力になっていけたらという考えを軸にしております。





・今のCS業務には棚卸しが必要


カスタマーサクセスとは、文字通り顧客を成功へ導くことが仕事です。
しかし、今のカスタマーサクセスの実態は、古典的な固定観念にとらわれ、本来果たすべき重要な役割から離れていってしまっていると感じます。


私の意見としては、対面面談のような、対面コミュニケーション重視のカスタマーコンサルは、今後退廃していく動きが生まれていくと考えています。もちろん、会食を通じたコミュニケーションは非常に大切だと考えています。人間として信頼できない人とはお仕事はできませんし、お酒の場を経てこそ生まれるコミュニケーションは、顧客を深く理解し、求められる役割を果たす上で重要だと考えているからです。



しかし、ただオンラインにうといから、のような理由で、対面で面談を行うことはこれから間違いなく減っていきます。なぜなら、その時間で、少しでも「顧客の成果にコミット」する時間が生まれるからです。



まず、対面面談を繰り返すのであれば、もちろん移動時間が発生することになります。都内であれば、当社のオフィスを構える新宿であれば片道30分でおおかたお伺いできますが、今やSaaS企業で周辺地域だけをターゲットにしている企業がほとんどありません。弊社でもこれまで通算700店舗以上の飲食店さんのコンサルティングを担当させていただきましたが、北海道から沖縄まで、全国にクライアントさんが点在しておりました。もちろん、これから世界展開も考えておりますし、多くのSaaS企業は世界へのスケールを狙わざるをえない状況かと思います。


そんなご時世だからこそ、面談もどんどんオンラインに置き換わっています。オンラインで面談を行うノウハウを蓄積していなければ、優れたSaaS企業を生み出すことは、残念ながらかなり難しくなってしまうのではという所感です。そう考えるとやむをえずのオンライン面談に感じるかもしれませんが、生成AIの発達により、オンライン面談は対面面談よりもはるかにPDCAサイクルを回し、質の向上に繋げやすいプラットフォームになっていることはぜひ気づいていただきたいです。

ACES Meetのイメージ画面


我々が一つ注目しているのは、生成AIを活用した面談録画の分析ツールです。
それが株式会社ACES様の提供する「ACES Meet」というサービスとなります。



「ACES Meet」の面白さは、議事録を生成できることに加え、会話比率などといった数値分析を行うことができること。中でも弊社が注目しているのは「笑顔比率」という数値項目です。話をしている時、話を聞いている時などのパターンで、自ら、そして先方が面談中どれだけの割合で笑顔になっていたかの数値を算出することができるのです。


CSではなく営業ではありますが、実際、様々な企業の営業においても、笑顔の比率が高い商談について、成約率との有意な正の相関が見られていると考えられています。CSも対クライアントワークという視点で、心象というものは非常に大切です。特に、オンラインのセッションは感情が先方に伝わりづらいからこそ、笑顔で先方への好意を示すことが極めて重要だと思われます。


また、ビジネスですので、CSにもアップセル・クロスセルは常に課せられます。近年話題になっているワンストップセールスという用語をご存知でしょうか?長期間のお付き合いで最大のLTVへ導くべく、CSが営業担当として、適切なサービスを提案・販売する潮流が、なんとこれまでThe Modelを提唱していたSalesforce社にさえも実装されているのです。営業でうまくいく印象が、CSにもますます求められていくでしょう。


このように、生成AIを活用してパフォーマンスを向上させれば、結果的には顧客満足度も高められるということに繋がっていきます。そしてそこへ意識を向けるためには、業務効率化による可処分時間を生み出すことが不可欠です。やらなくていいことを生成AIに任せるという姿勢で取り組むことが、現代で働く上では本当に大切なことだと考えております。



・どんな時代になっても、かけがえのない価値を提供し続けたい


生成AIが普及すれば、多くの仕事が入れ替わってしまうことは否めません。

私ごとですが、昔、私は翻訳家を目指していたことがありました。ただ辞書で直接変換しただけだと汲み取れない、言語間の微妙なニュアンスの違いを言語化し、カルチャー間での交換が生まれることに強い魅力を感じていたからです。しかし残念ながら、翻訳家という仕事はいよいよなくなってしまうでしょう。生成AIの翻訳の質が追いついてきていることはもちろん、AIに任せれば、人件費も削減できますし、スピード感も確保できることになります。

翻訳家という仕事のみならず、生成AIのできることを辿れば、残念ながら様々な仕事は自動化され、大幅なリストラクチャーが近い未来に生じてしまうでしょう。その時代に備え、どれだけその時代で価値提供できる存在になれるかが、これからの時代の生命線になっていくと考えています。




そのパターンは2つ。「生成AIを使いこなす人材になる」もしくは「生成AIにどうしても提供できない価値を実現する人材になる」その二択だと考えています。
「生成AIを使いこなす人材になる」とは、生成AIを開発するエンジニア側の人間、実行に移すプロダクトマネージャー系の人間、そしてそれを活用しつつさらなる転用を狙う社員の方々です。生成AIに飼われるのではなく、生成AIを飼い慣らす人材であるべきということです。


または、「生成AIにどうしても提供できない価値を実現する人材になる」ということも考えられます。まだ生成AIに弱い属性は、人間の定性的な認知を理解することだと考えています。この人が何を求めているのか、本当は何をしたいのか、そういったものに思考を張り巡らせられるのは、現状、人間が優れている一つの特性だと考えています。もちろん、生成AIへと社会の基盤を変えていくのであれば、その人間的価値を言語化することになります。ですが、人間にしかわからないものも、きっと現れるはずです。だって生成AIは世の中の情報を単純確率で選んでいるに過ぎないのだから。


長々と語ってしまいましたが、私は生成AIによって今のビジネスが大きく変容すると確信しておりますし、その時代の転換点にこうして頭を働かせていられることを嬉しく思っています。同じような志を持つ仲間と、一緒に顧客の満足を願い、社会をより良くしていけることを、とても楽しみにしております!


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